イタリア語で「甘い水」という名のこの町は、ネルヴィア川の清流に沿って開けた町です。
ヴェンティミリアやボルディゲーラから近いこともあって、多くの観光客でにぎわっていました。
ドルチェアックアのシンボルは2つ。
ひとつは町で一番の高台に立つドーリア城、そしてもうひとつはネルヴィア川にかかるヴェッキオ橋です。
ロマンティコ橋とも呼ばれるこの橋は、15世紀の半ばごろの姿を今もとどめています。
また、この橋とドーリア城は、モネが絵画の題材にもしています。観光客が多いのは、そのためかもしれません。
実際に橋を渡ってみると、意外と傾斜が急です。この橋の向こうがいわゆる旧市街、テッラ地区です。
橋を渡り終えた先には、こんなアーチのトンネルがありました。この上に家が建っているわけです。
アーチを抜けると、小道が続いています。平坦な道はほとんどなく、どこへ行っても坂道です。
ドーリア城には入場することができなかったので、再び川に沿って散策です。
上の写真は川沿いに立つサンタンドレア教会です。
ファサードの豪華さを見ると、この町がこの一帯の町や村の中でも、
比較的裕福な(あるいは規模の大きな)町であることがわかります。
だいぶ日も西に傾いてきました。もっともっと歩いてまわりたい魅力的な街並みですが、そろそろお別れです。
リグーリア州といえば、東西のリヴィエラ海岸ばかりがクローズアップされがちですが、
内陸にもこんなに美しい町や村がたくさんあるんですね。
結局イゾラボーナからドルチェアックァまで歩くことにした私たち。
今度は距離も長く、県道沿いを歩くということもあって、ただ黙々と歩くことになってしまいました。
そんな中、ハプニングは起こりました。
道沿いの一角、マスの養殖場の入り口で飼われていたロバ。
まるで映画「ピノッキオ」に出てくるロバそっくりです。
私たちが写真を撮ろうと思ってそばに近づいていくと・・・。
突然「ぶおーん、ぶおーん」と大きな声でロバが鳴き出しました。
柵がなかったら今にも襲いかかってきそうな勢いです。
結局、上のような写真は撮れたわけですが、
ロバにしてみたら「マス泥棒がやってきた」とでも思ったのでしょうか。
でも、ひとつだけ確かにわかったことがあります。
怒ったときのロバは怖い・・・。
Bar Piombo (ピオンボ)
イゾラボーナの県道64号線沿いにあるバール兼リストランテです。
行き当たりばったりでアプリカーレから歩いてきた私たちは、
一休みしつつドルチェアックァまでの交通手段を考えるためにこのバールに立ち寄りました。
パッと見は、どこにでもあるバールです。
まずはバリスタにバスの時刻を尋ねたところ「一時間以上は来ないね」との返事。
そこで私たちはテーブル席に座って休憩することにしました。
で、オーダーしたのがこれ、“Caffe Freddo”です。
ふだんイタリアでは冷たいコーヒーなんて飲まないのですが、これは大ヒット。
日本のアイスコーヒーとは全くの別物です。
リキュールがアクセントになっていてとてもおいしかった・・・。
イゾラボーナはネルヴィア川とその支流が合流する場所にある小さな町です。
ちょうど中洲のようになっているので“Isolabona”という名前がついたのかもしれませんね。
この町も中世の面影をよく残しています。
町の中に入ると、小さなメインストリートからいくつもの路地が枝分かれしているのがわかります。
サンタ・マリア・マッダレーナ教会の前までやってきました。
ここでメインストリートは2つに枝分かれしています。
この教会がこの町の教区教会のようです。
ファサードは第二次世界大戦後に修復されたのでしょうか、現代風のデザインです。
教会からネルヴィア川に向かって、少し広めの道がのびています。
といっても、道幅が広いのは川の手前まで。距離にして100mもありません。
振り返って教会を眺めていると、ハッと気づきました。
もしかしたら、この道は広場の役割をかねていたのかも・・・。
わき道に入ると、ますます中世の香りがします。目立つのが、フライングバットレスの多さ。
街のいたる所に写真のようなフライングバットレスが見られます。もしかして、地震が多かったのかな?
再びメインストリートに戻って、橋を渡ります。この川がネルヴィア川です。
ネルヴィア川の対岸、下流から見たイゾラボーナです。
こうしてみると、谷あいの村だということがよくわかりますね。
この川を下っていくと、ドルチェアックァの町です。
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BS日本 |
アプリカーレのせまい坂道をしばらく下っているうちに、
私たちはいつのまにか村のふもとまで歩いてきていました。
見覚えのある広い道から見上げると、急斜面の上に家々が立ち並んでいます。
村のはずれには、使われなくなった教会がひっそりと立っていました。
日本だけでなく、イタリアでも過疎化が進んでいるのです。
アプリカーレのようなプチ観光地でもそうなのですから、名もない村ではもっと深刻なのかもしれません。
私たちは、この美しい村がいつまでも名前の通り「太陽の村」であることを願いながら、
アプリカーレを歩いてあとにしました。
バスやタクシーを使わなかったのは、最後にもう一度この村の全景をゆっくりと眺めたいと思ったからです。
バスは本数が少ないし、タクシーはヴェンティミリアから呼ばなくちゃいけないっていうこともありましたが…。
アプリカーレの遠景です。この眺めに出会うまでに15分ほど歩いたでしょうか。
私たちはこのまま隣町のイゾラボーナまで歩くことにしました。
アプリカーレからイゾラボーナまでは4km弱。あと30分ほど歩くことになります。
道沿いには、たくさんの小さな花々が咲いています。
これはカタバミの仲間ですね。道沿いのあちらこちらで見かけました。
こんなピンクの花も咲いています。セントランサス(ベニカノコソウ)という植物のようです。
これはポピーの仲間ですね。岩だらけの斜面に負けずにりっぱに花を咲かせています。
気がつくと「ISOLABONA」の標識が。イゾラボーナの町はもうすぐです。
道の脇を流れる川の向こうにイゾラボーナの町が見えてきました。
アプリカーレは、中世の山岳都市がそのままの姿で残っているかのような村です。
路地は狭く入り組んでいますが、斜面に開けているためか、薄暗い感じはあまりありません。
こんなかわいらしい郵便受けを見つけました。
よく注意してみると、どこの家も郵便受けをカラフルに飾っています。
誰もいない石畳の道を歩いていると、本当にタイムスリップしてしまったかのようです。
こんな山奥でも、どこの家も花々で飾られています。郵便受けは、やっぱりカラフルですね。
ある家の前で、ネコがひなたぼっこしていました。
時がゆっくり流れているようなこの村は、ネコにとっても住みやすいのかもしれませんね。
いつのまにか、もうずいぶん下ってきてしまいました。もう村の出口はすぐそこです。
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video maker(VC/DAS)(D) |
城塞の入り口にまわってみると、あれっ?なんだか普通の家みたいです。
でも、門の上には確かにCastello della Lucertolaと書かれています。
門をくぐると、フレスコ画で飾られたちょっとした廊下があって、中庭に続いています。
上の写真は中庭側から門を見たところです。
中庭は、お世辞にもよく手入れされているとは言えませんが、
けっして荒れ放題なわけでもなく、自然な感じが逆にいい雰囲気です。
建物の中に入ると、やっぱり城塞らしい作りになっていますが…。
突然、古い楽器が飾ってあったりして、いかめしい感じは全くありません。
そして、ついに発見。王様です。この脱力感が何ともいえません。
再び外に出て、塔を見上げると、そこには大きな時計がありました。
針を見るかぎり、かなり古いもののようです。
でも、なぜ算用数字?いつから算用数字?
まあ考え方によっては、それだけ村の人たちから大切にされ続けてきた時計だということですよね。
視界が開けると、そこはまさに「太陽の村の広場」でした。
左手上に見えるのは聖バルトロメオ礼拝堂(Oratorio di S.Bartolomeo)です。
イタリアではまだときどき見かけるオート三輪、いい味だしてます。
それにしても、ここまでいったいどうやって来たんでしょう。
広場では、子どもたちが遊んでいます。
広場の一番高いところには、古い城塞の跡がありました。
ふもとから見えていたのは、この城塞の塔だったんですね。
ルーチェルトーラ城(Castello della Lucertola)というそうです。
その隣には参事会教会(Chiesa Parrocchiale)があります。
ファサードはかなり新しそうで、現役バリバリの教会のようです。
参事会教会の前まで登っていくと、隣の城塞のアーチのところに何やら人形のようなものが…。
これは行ってみるしかなさそうです。
La Capanna da Baci(ラ・カパンナ・ダ・バーチ)
アプリカーレの村の路地にひっそりとたたずむリストランテです。
この小さなアプリカーレの村にあって、大都会のリストランテに負けない料理を出すお店です。
店内は田舎家風、というより実際に田舎の家ですね。
窓から見える景色は一面の緑です。山のてっぺんにペリナルド(Perinaldo)の村が見えています。
メニューはおまかせコースのみ。まずはアンティパスティ。リコッタチーズのブルスケッタです。
さらにチーズとパンチェッタのフリット、ポレンタのフリット、パネッレ?がでてきました。
それぞれに味わいがあって、甲乙つけがたいおいしさです。
写真を撮り忘れたのですが、フリッタータもありました。
プリモは2種類。「ラグーソースのニョッキ」と、「ルリヂシャのラヴィオリ」。
ルリヂシャというのはハーブの一種です。
この店の料理は、すべてアプリカーレ近郊で採れる食材を使っているそうです。
セコンドは「ウサギの赤ワイン煮ポレンタ添え」。オリーブが味にアクセントをつけています。
最後はやっぱりエスプレッソ。こんな山奥の村にこんなリストランテがあるあたりがイタリアらしいですね。
お店のホームページはこちら
それではいよいよアプリカーレの村の中に入ってみましょう。
少し歩くと、古い家の壁にフレスコ画を見つけました。
見るかぎり、古い時代のものではなさそうだし、
壁全体に描かれていたものがここだけ残ったというわけでもなさそうです。
しばらく歩くと、ここにもありました。イタリアだけど、どことなくゴーギャン風?
ここにもありました。ここのは描かれてからそんなに年月がたってなさそうです。
壁画の村といえば、ドロミーティの南、チビアーナ・ディ・カドーレや、
サルデーニャのオルゴゾーロが有名ですが、アプリカーレもちょっとした壁画の村だったのでした。
さて、そろそろ食事にしましょう。
実はアプリカーレは、おいしいリストランテがたくさんあることでも有名なんです。
すぐそこにもピッツェリアの看板が出ていますしね。
近くで見るアプリカーレの村は、まるで緑の海に浮かぶ船のようです。
急斜面にテーブルクロスをかけたかのように家が立ち並んでいます。
ウンブリアやラツィオの山岳都市とはまた少し違った雰囲気です。木々が生いしげっているからでしょうか。
下から見上げると、村の中心と思われる場所に尖塔が見えます。
たぶん教会の鐘楼でしょう。あんなところまで行けるのかな…。
とか何とか言いながら、結局その場所までやってきました。
見上げると、尾根伝いにまだまだ上のほうまで家が建っています。
確かにこれなら家の日当たりもよさそうですよね。だから太陽の村なのかな。
でも道にはまったく陽があたりそうにないけど。
右手を見ると、まだここより山奥へと道が続いているのがわかります。
この先にも、まだ村があるんですね。それはともかく、さっそく村の中を散策してみましょう。
わたしたちは、海辺の町ヴェンティミリアから、リグーリア州の内陸にある小さな村々を訪れることにしました。
バス乗り場は新市街のメインストリートにあります。
このお店がバス乗り場の目印です。
こんな風にオレンジ色のバスがやってくる、と思いきや、
アプリカーレ方面へのバスはミニバンに近いマイクロバスですから、気を付けてください。
リグーリア州は平地が少なく、海辺から少し入るとすぐに山深くなるため、内陸部には大きな町がなく、
ちょうどフランスの「鷹の巣村」のように山岳集落が点在しています。
写真の中央奥に見えているのがアプリカーレの村です。
近づくにつれ、その独特な景観がはっきりわかるようになってきました。
山の尾根に沿って、へばりつくように家々が立ち並んでいます。
いったい村の中にはどんな風景が広がっているのでしょうか。
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