ダンテの像が中央に立つシニョーリ広場は、サンタナスタシア教会の南に位置しています。
すぐとなりにあるエルベ広場が商業の中心なら、シニョーリ広場は政治の中心といってもいいでしょう。
ダンテ像の後ろに立つ建物は、
ルネサンス風の美しいアーチを持つロッジァ・デル・コンシリオ(Loggia del Consiglio)です。
その隣のギベリン狭間の建物はスカリジェリ家の館で、今はヴェローナ県庁などに利用されています。
ダンテは一時期スカリジェリ家のもとに身を寄せていたといわれていますが、
教皇派(グエルフィ)のダンテを皇帝派(ギベリン)のスカリジェリ家が温かく迎えたのは、
ダンテの名声がそれだけイタリア中に知れ渡っていたということなのでしょう。
シニョーリ広場は、
市庁舎の入り口に通じています。
市庁舎には「ランベルディの塔」
と呼ばれる塔があり、
ヴェローナのランドマークのような
役割を果たしています。
高いところはとりあえず登ってみる
私たちですが、
残念ながらこの塔には
登ることができませんでした。
塔の上から見るヴェローナの街は
どんなふうに見えるのでしょうか。
ホテル コロンバ・ドーロ (Hotel Colomba D`oro)
ヴェローナで泊まったホテルは、旧市街の中心、
アレーナのあるブラ広場から徒歩2分、
カステルヴェッキオからも徒歩5分という
最高のロケーションにあるホテルです。
小さいながらも4つ星の、とても快適なホテルでした。
リストランテは併設されていませんが、
まわりにいくらでも食事できる場所があります。
部屋はきれいで、
特にバスルームは下手な5つ星ホテルより上かな、
と思えるほどでした。
バスローブなど、アメニティグッズも充実しており、
滞在中は本当に気持ちよくすごせました。
朝食は、あまりよく覚えていないのですが、
イタリアのホテルの中では
比較的ボリュームのある内容だった気がします。
ちなみに、夕食はブラ広場で
アレーナを眺めながらの食事をおすすめします。
高級店からセルフレストランまで、
いろいろな種類の店がそろっています。
ただし、中にはカメリエーレの接客態度が
あまりよくない店もあるので気をつけて。
食事を楽しんだあとは、バールでエスプレッソを一杯飲んでホテルに帰りましょう。
ホテルコロンバ・ドーロのホームページはこちら
http://www.colombahotel.com/
ヴェローナは、夏の間「アイーダ」などの野外オペラが上演されることでも有名です。
この野外オペラが上演されるのは“アレーナ”と呼ばれる古代ローマの円形闘技場跡です。
アレーナには、もともとはローマのコロッセオのような外壁があったのですが、
壊されて内壁がむき出しになっています。
「ロミオとジュリエット」に代表されるように、中世の印象が強いヴェローナですが、
実は古代ローマ時代から重要な都市として発展した長い歴史のある街なのです。
“アレーナ”の他にも、ローマ劇場跡、ローマ時代の門や橋などが残っており、
街を掘り返せば、いたるところにローマ時代の遺構が現れるそうです。
こんな風に実際に掘り返してある場所もありますが、
ローマ時代の広場の上にさらに中世の広場が造られている場所もあり、
そのすべてを発掘調査するわけにはいかないようです。
“アレーナ”は旧市街のほぼ中心、ブラ広場に面して建ち、街のシンボル的な存在となっています。
イタリアには、ローマのコロッセオをはじめとして数多くの古代ローマ時代の円形闘技場が残っていますが、
この“アレーナ”は、規模の点でも保存状態の点でも国内有数のものです。
また、夏の間はオペラの劇場として、
そのほかの季節にもコンサートの会場などとしても利用されているユニークな遺跡です。
私たちが訪れたときにも、コンサートの舞台装置などが撤去されずに残っていました。
また、ここでは観客席や闘技場の様子だけでなく、
観客席の下を通る通路なども
直接歩きながら見学することができます。
通路には赤いカーペットが敷かれ、
暗いところには照明も設置されているので、
古代ローマそのままのようすが
再現されているわけではありませんが、
実際にどう使われていたのかを
イメージしやすくなっています。
ローマのコロッセオとは
また一味違った面白さがありますよ。
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みなさんは『ヴェローナ』といえば何を連想しますか?
おそらくシェークスピアの“ロミオとジュリエット”を連想する人が多いのではないでしょうか。
ツアー旅行のパンフレットなどでも、
ヴェローナを紹介するのに「ジュリエットの家」の写真がよく使われているようです。
でも、この物語、本当はまったくのフィクションなのです。
「えーっ、それならなぜ家が?なぜお墓が?」と思う人もいるでしょう。
実はこれらは現代になってから、ヴェローナ市が観光用に作ったものなのです。
一応「ジュリエットの家」と「ロミオの家」は中世に対立関係にあった貴族の館とされる建物で、
物語的にはつじつまが合うようになっています。
で、ここからがイタリアらしいというか、えーっと驚く話なのですが、
「ジュリエットの家」は物語にあわせて1940年に改築して、
もともとなかったバルコニーをつけ加えてしまっているのです。
しかも、その材料は昔の石棺だというのだから、二度びっくりです。
つまり、「ジュリエットの家」を訪れて、バルコニーで写真を撮っている人は、
どこかの誰かのお棺の中に足を突っ込んで写真を撮っているということになりますね。
それにしても、物語の人気に便乗して、
世界中に売り出しているヴェローナってすごいですよね。
でも、世界遺産に指定されるくらいの街ですから、
街の人たちは“ロミオとジュリエット”だけでなく、
中世の面影を残す街並みや、ローマ時代の遺跡、
美しい数多くの教会などをもっと見ていってほしいと
思っているかもしれませんね。
ヴィツェンツァの郊外には、パッラーディオが貴族に依頼されて設計した別荘が点在しています。
その中で最も有名なものが「ラ・ロトンダ」です。
「ラ・ロトンダ」とは「円形の建物」という意味で、中の広間が円形をしているためにこう呼ばれています。
外見は完全な方形で左右対称に作られており、
東西南北どの方向から見ても大きな階段と神殿風の玄関があって、まるで同じ姿に見えます。
同じような様式の建物は、後世になってイギリスやアメリカで盛んに建てられています。
(アメリカ建国の父と言われるトマス=ジェファーソンの自宅も、ラ・ロトンダにそっくりです。)
私たちが訪れたときには、残念ながら一部修復中で、建物の全容を見ることはできませんでしたが、
それでもその美しさは十分に感じることができました。
また、小さな丘の上に建てられているため、建物から見る周囲の景色もすばらしく、
どうしてここに別荘を建てたのかがわかるような気がしました。
ヴィツェンツァの旧市街からラ・ロトンダまでは、歩いていけないこともないですが、
バスかタクシーを利用するほうが無難です。
また、帰りにはタクシーを捕まえるのは難しいので、バスの時刻をよく確認しておきましょう。
私たちは、帰りのバスに乗り遅れてトボトボと町まで歩いて帰るハメになりました。
ヴィツェンツァのドゥオーモは、シニョーリ広場から少し西へ進んだところにあります。
パッラーディオの設計した建築物ばかりが注目されがちなヴィツェンツァの街ですが、
ドゥオーモも時間が許せば訪れたい場所です。
ここのドゥオーモは、前面に大きな広場を持たず、他の重要な建物とも離れているため、
訪れる人もさほど多くありません。
しかし、ヴェネツィア・ゴシック風のファサードは、色の微妙に違う大理石で模様がつけられていて、
やさしい印象を受けます。
このドゥオーモは、第二次世界大戦中に破壊され、現存するものはその後再建されたものだそうですが、
パッラーディオの力強い建築にちょっとおなかいっぱいになったら、
こんなやさしい雰囲気のドゥオーモでお口直ししてみるのも悪くないと思いますよ。
パッラーディオ大通りの東のはずれにあるこの劇場は、
古代の野外劇場をイメージして作られたユニークな劇場です。
建物の外観は特筆すべきところはありません。
しかし、いったん中に入ると、パッラーディオの斬新なアイディアにびっくりです。
まずは客席。古代ローマの劇場のように、
半円形につくられた客席は天井には
書き割りの青空が描かれて、
それらしい雰囲気をかもしだしています。
そして、客席の上には数多くの大理石の彫刻たち。
と、思いきや、
これらはなんとすべて木製なんだそうです。
それだけではありません。
この劇場は舞台も含め、
すべて木からできているそうなんです。
これにはちょっとびっくり。
どう見ても大理石にしか見えませんよね。
舞台の背景は、パッラーディオの死後、弟子?のスカモッツィが完成させています。
もちろん、この立派な凱旋門風の背景も木製です。
そして、アーチの後に続く道は
かなりの奥行きがあるように見えますが、
実はここにも秘密があります。
遠近法をたくみに駆使してつくられているため、
実際の奥行きはほんのわずかしかないのです。
こんな風にユニークなアイディアが満載の
オリンピコ劇場は、今も現役の劇場として
利用されています。
もし時間が取れるようなら、
ぜひここで実際の演劇鑑賞をしてみてください。
私たちの感想とは別の
新たな発見があるかもしれませんよ。
Teatro Olimpicoのホームページはこちら
http://www.cisapalladio.org/veneto
旅名人フ゛ックス43 ウ゛ェネチア・北東イタリア 第3版 (旅名人ブックス) 価格:¥ 2,100(税込) 発売日:2008-09-25 ヴェネト州の町々を網羅して紹介している本です。 もちろんヴィツェンツァも紹介されています。 |
以前書いたとおり、ヴィツェンツァは街全体がさまざまな建築の博物館のようです。
Palazzo Thiene(ティエーネ宮:古いほう)
ヴィツェンツァでも比較的古い時代の建物です。
パッラーディオの建築のような力強さがないのは、オーダーが強調されていないからですね。
代わりにアーチが多用されていて、壁にはフレスコ画も残っています。
英語圏のツアー客にガイドが一生懸命説明していました。
くわしいことはこちらで。(イタリア語のページです)
Palazzo dal Toso“Ca d`oro”
(トーゾ宮: 通称カ・ドーロ)
ヴェネツィアン・ゴシック建築の代表です。
かっては外壁が金箔でおおわれていたそうなので
「カ・ドーロ」とも呼ばれています。
ヴェネツィアにある本家の「カ・ドーロ」と
どことなく似かよった印象を受ける建物です。
もちろん、パッラーディオとは無関係です。
Palazzo Barbaran da Porto
(バルバラン・ダ・ポルト宮)
これもパッラーディオの代表作の1つです。
写真ではわかりにくいのですが、
ギリシア風の破風が多用されています。
現在は建築研究センターになっていて、
展覧会などのイベントも行われます。
わたしたちが訪れたときには、
パッラーディオやスカモッツィの
デッサンなどが展示されていました。
やはり、くわしくはこちらで。
(イタリア語のページです)
Palazzo Chiericati(キエリカーティ宮)
マッテオッティ広場に面して立ち、
オリンピコ劇場の向かいにあります。
建物の正面はオーダーが強調され、
いかにもパッラーディオといった風の
建物になっています。
現在は市立美術館として利用されています。
ヴェロネーゼの絵などもあります。
ここについても、
くわしくはこちらで。(イタリア語のページです)
建築ガイドブック パッラーディオ | |
Caroline Constant | |
丸善 |
ヴィツェンツァの街の中心は、ここシニョーリ広場です。
東西に長いこの広場は、私たちが訪れたときには青空市が立って、なかなかのにぎわいをみせていました。
左はしに見える赤茶色の建物は、Loggia dei Capitaniato(ロッジア・デイ・カピタニアート)
と呼ばれています。これもやはりパッラーディオの作品です。
広場の南側には、パッラーディオの代表作である「バシリカ」が堂々とした姿を見せ、
東の端には、他のヴェネトの街と同様にヴェネツィアによる支配の象徴である
「翼を持つライオン」の円柱が立てられています。
広場の周囲を取り囲んで、さまざまな時代のさまざまな建築様式の建物が立ち並んでいます。
どこへ行っても、パッラーディオの作品に出会う。
ヴィツェンツァはやはりパッラーディオの街でした。
シニョーリア広場の南側の大部分を占めるこの建物は、通称「バシリカ」と呼ばれていて、
ヴィツェンツァの市庁舎として長く利用されてきました。
16世紀に大規模な改修が行われ、このとき多くの先輩建築家をしりぞけて採用されたのが、
当時はまだ無名だったパッラーディオの案で、これが実質的なパッラーディオのデビュー作です。
今では1階はショッピングアーケードになっていて、
全体の雰囲気はパドヴァのラジョーネ宮とよく似ていますが、こちらのほうが重厚な印象を受けます。
それにしても、これだけ大きな建物を取り壊すことなく改修して、
それを現代まで利用し続けているのには驚かされますね。