グランデ広場から東のほうへ下ると、一見したところ教会とは思えないファサードの建物があります。
これがジェズ教会、つまりイエズス会の教会です。
でも、ここにもコントラーダの旗が掲げてありますね。この地区の人はみんなイエズス会なのかな?
教会の入り口には、小さいながらも、ちゃんとイエズス会の紋章が掲げられています。
内装は、ほかのイエズス会の教会よりは地味ですが、
モンテプルチアーノのシンプルな教会を見なれてきた目には華美に映ります。
この教会の内装にも、アンドレア・ボッツォが関わっているとのこと。大活躍ですね、ポッツォ。
モンテプルチアーノの南のはずれに、目立たないようにひっそりと立つ教会があります。
この教会が、サンタ・マリア・デイ・セルヴィ教会です。
こんな風にファサードからは雑草が顔をのぞかせています。
ところが中に入ると、18世紀にアンドレア・ボッツォによって改装された美しい内装に驚かされます。
アーチが多用され、曲線で構成された空間は、どちらかといえば現代風です。
すっかり改装された教会の中に、
おそらくこの教会が建てられた当時のものと思われる聖母子像を見つけました。
内と外でまったく異なる印象を受けるこの教会ですが、
地区の人たちにとっては変わらず大切な教会だったのですね。
ようやくたどり着いた市庁舎の塔の上からは、写真のようなパノラマが広がっていました。
東のほうに目を向けると、遠くアレッツォやコルトーナ方面まで、キアーナ渓谷を一望することができます。
西のほうには、オルチャ渓谷ののどかな田園風景がどこまでも広がります。
下を見下ろすと、モンテプルチアーノの街並みが中世そのままの姿を見せています。
大きな鐘楼が見えているのは、サン・フランチェスコ教会です。
ドゥオーモの鐘楼もこんなに大きく同じ高さに見えます。
真下を見下ろすと、グランデ広場が一望できます。
モンテプルチァーノの旗投げをここから眺めたら、新体操のTV中継のように見えるのかもしれませんね。
そういえば、映画「トスカーナの休日」でも、ダイアン・レインたちが旗投げを見物していたのは
市庁舎の2階からでしたね。
モンテプルチアーノのグランデ広場に面して立ち並ぶ建物の中でもひときわ目立つのが、この市庁舎です。
フィレンツェのヴェッキオ宮殿を参考にしてたてられたこの建物は、現在でも市庁舎として使われています。
建物の上には、写真のような塔が。
これは登ってみるしかないと思った私たちは、さっそくチャレンジしてみることにしました。
市庁舎の1階には吹き抜けの中庭があり、このあたりもヴェッキオ宮殿とよく似ています。
2階まではエレベーターで上ることができますが、そこからは例によって階段を上ることになります。
この階段はいったい何段あるのでしょうか…。
イタリアのこの時代の建物としては、階段の疲労度レベルは中くらいといったところでしょうか。
それでも、狭くて急な階段を上るにはけっこう体力と気力が必要です。
まだ着かないのかな、なんて思い始めたころに、やっと一番上の鐘が見えました。
塔の上からは、いったいどんな景色を見ることができるのでしょうか。
グランデ広場に面して立つ、荒石積みのレンガがむき出しの教会がモンテプルチアーノのドゥオーモです。
ファサードの形から想像するに、ルネサンス様式で建てられたようですね。
ファサードが完成していたら、どんな雰囲気の教会になったのでしょうか。
鐘楼から想像すると、化粧レンガで装飾する予定だったのでしょうね。
内部は18世紀になって改装されたようで、身廊の両脇に側廊がある、
モンテプルチアーノではめずらしい三廊式です。
主祭壇にあるのは、15世紀の初めに描かれた「聖母被昇天」です。
この教会はこの地区のドゥオーモであるのと同時に、「サンタ・マリア・アッスンタ教会」でもあります。
だから祭壇画は「聖母被昇天」なのですね。それにしても見事な細密三連画です。
こちらは市庁舎(Palazzo Comunale)の塔の上から見たドゥオーモです。
こうしてみると、教会がきれいなラテン十字型をしていることがわかります。
よく、モンテプルチアーノのドゥオーモはファサードが未完成だからいいんだ、という人がいますが、
こうやって全体を見ると、本当にその通りかもしれませんね。
ドゥオーモと市庁舎に面した、まさに「街の中心」です。
この2つの建物の他にも、市民隊長の館(Palazzo del Capitano)や、タルージ宮(Palazzo dei Nobili Tarugi)、
大きなカンティーナであるコントゥッチ宮(Palazzo Contucci)などが立ち並んでいます。
写真右が市民隊長の館、写真左がタルージ宮(Palazzo dei Nobili Tarugi)です。
タルージ宮は「貴族たち(Nobili)の館」という名前の通り、貴族たちの集まる場所だったようです。
背景と同じ色なのでわかりにくいのですが、タルージ宮の横、市民隊長の館の前に、
「グリフィンとライオンの井戸(Pozzo dei Grifi e dei Leoni)」と呼ばれる井戸があります。
グリフィンはモンテプルチアーノの象徴、ライオンはフィレンツェの象徴だとのこと。
よく見ると、2羽のグリフィンは両端に追いやられ、真ん中にはメディチ家の紋章が。
モンテプルチアーノの人はこれをどんな思いで眺めていたのでしょうか。
そしてこちらがコントゥッチ宮。地下深くまで広がっているカンティーナの見学もできます。
最近ではツアーでも訪れるようなので、興味のある人はぜひのぞいてみてください。
市立美術館の斜め向かいに、リッチ館(Palazzo Ricci)があります。
私たちは、はじめこの建物が何なのかを知らずに入り口の門をくぐりました。
バラッツォには立派な中庭があり、その一角にこんな入口があります。
「entrata」と書いてあるし、とりあえずのぞいてみようかな、くらいの気持ちで中に入っていくと…。
壁にこんな立派な紋章のある階段が下へ下へと続いていきます。
およそ4階分くらいは降りたでしょうか。
私たちの目の前に突然ワインの大樽が現れました。
ここはモンテプルチアーノでも有数のカンティーナだったのです。
ちょうど私たちの前にはどこかの国(英語圏)の人たちがガイド付きで見学中。
そのあとをついていくことにしました。
ここには少し小さめの樽がたくさん寝かされています。
ブドウを絞る機械です。こんな地下の奥深くにあるんですね。
でもよく考えたら、樽のすぐ近くにないと不便ですよね。
そしてこちらはエトルリア時代から使われていたという井戸。
現在はさすがに使われていないそうですが、こういった古くからの設備をうまく使いながら、
モンテプルチアーノのワインづくりは発展してきたんですね。
カンティーナのホームページはこちら
サン・フランチェスコ教会のあたりも、古い街並みが広がっています。
このあたりには、建物のすみだけが切石積みになっている家を多く見かけました。
この家はそれとは別に、扉の上に胸像が飾られているのがおもしろいてせすね。
カンティーナもあちこちで見かけます。
全部でいくつのカンティーナがあるのでしょうか。
サンタ・ルチア教会で見かけたのとは別の旗や紋章が掲げられています。
さっきとは別のコントラーダ(地区)を歩いているのですね。
このコントラーダの教区教会はどこなのでしょうか。
この家はすみの部分だけでなく、入り口のアーチも切石積みです。
そしてやっぱりコントラーダの旗が。
この建物はネリ-オルッセリ館です。モンテプルチアーノではめずらしいゴシック建築です。
現在は市立美術館として使われています。中ものぞいてくればよかったかな?
昼食を終えた私たちは、再びモンテプルチアーノの一番高い場所を目指します。
たどり着いたのは、サン・フランチェスコ教会の前の広場です。
残念ながら教会の中を見ることはできませんでしたが、
かわりに広場からのすばらしい眺めを楽しむことができました。
さっきまで間近に見ていたサン・ビアージョ聖堂があんなに下のほうに見えます。
東のほうに目をやると、トスカーナらしい田園風景が広がっています。
北のほうには、丘の上に町を見ることができます。ふもとの駐車場のそばから見たのと同じ町です。
調べてみると、モンテフォッロニコ(Montefollonico)という町でした。
時間があれば、足をのばしてみるのになぁ…。
サン・ビアージョ聖堂は、マドンナ・ディ・サン・ビアージョ教会という名前でも呼ばれる、
モンテプルチアーノを代表する建築物です。
アントニオ・サンガッロ・イル・ヴェッキオによって16世紀に建てられたこの聖堂は、
ギリシア十字型の平面プランを採用していますが、
アプシス(後陣)の部分だけが半円状に張り出しています。
また、まわりが一面の芝生なのもこの聖堂の美しさを引き立たせていますね。
そして、晴れたりくもったり忙しかったこの日のモンテプルチアーノですが、
空もちょうどよい青空です。
こちらがファサード側です。鐘楼のデザインがいいですね。
写真そのものは、逆光のためいまいちですが…。
内部は修復中のため立ち入り禁止です。どうやらもう1年以上修復中のようです。
というわけなので、正面扉から撮った写真がこれです。
おそらく、これが主祭壇なのでしょう。これだけでも、聖堂の豪華さが想像できます。
これは聖堂の脇に立つ「司祭館」(Canonica di S.Biagio)です。
司祭様は今もここに住んでいらっしゃるのでしょうか。
La Grotta(ラ・グロッタ)
サン・ビアージョ聖堂のすぐ向かいにあるリストランテです。
テラス席からはサン・ビアージョ聖堂を眺めることができるので、
予約をしていくといいでしょう。
というわけで、予約通り案内されたのはテラス席。いい天気でよかった…。
まず出てきたのが「オレンジのプチサラダ風」。この後の料理の味が期待できる美味しさです。
アンティパストは2品。1品目は「ベコリーノチーズのスフォルマート、ルッコラとトマト添え」。
ベコリーノチーズが苦手な人でも食べられそうな、上品な味です。
もう1品は「ポーチドエッグのホウレンソウソース」。
ホウレンソウのソースはピューレに近い感じです。
どこがイタリア料理なの?と言われると困ってしまうのですが…。
ここで一息ついて、私たちの席から見えるサン・ビアージョ聖堂です。
さて、プリモは「カルチョーフィのラヴィオリ」。
本当は6個あったのですが、シェアした後なので3個だけしか写っていません。
これはどう表現していいのかわかりませんが、とにかくおいしかった。
セコンドも2品。「キアーナ牛のフィレステーキ」。
いつもチャレンジの多い私たちのオーダーの中では、ふつうな感じです。
安心して食べられる味でした。
もう1品はチャレンジで「チーズの盛り合わせ」。
それぞれのチーズの味の違いが際立つ料理でした。
個人的には、チーズとはちみつが合う、というのが新たな発見です。
ドルチェは「サンブーカ・アイスクリームのハチミツがけ」。
自然な甘みが感じられました。この地方のハチミツは、本当に素晴らしいです。
最後はエスプレッソですが、お茶うけでカントゥッチー二がついてきました。
大満足です。ただし、予約を忘れないほうがいいでね。
お店のホームページはこちら
モンテプルチアーノの街のふもと、
城壁の外にモンテプルチアーノのシンボルと言っていい美しい教会があります。
この教会がサン・ビアージョ聖堂です。
モンテプルチアーノの旧市街からサン・ビアージョ聖堂へは、
緑豊かな坂道をのんびりと下っていきます。
途中には、色とりどりの花が咲いていました。
途中にはこんな置物も。どこかの教会かバラッツォの玄関からここへ運んだのでしょうか。
それとも、ここにかって何かの建物があったのでしょうか。
坂のちょうど真ん中あたりに、こんな休憩所があります。
下りはともかく、上るときには助かりますね。
一息ついて、ペットボトルの水を飲みたくなります。
正面に、サン・ビアージョ聖堂が見えてきました。思わず足取りも軽くなります。
エルベ広場(Piazza delle Erbe)からエルベ通りを上っていくと、
つきあたりに小さな広場があります。
その広場の前にあるのが、サンタ・ルチア教会です。
17世紀に建てられたこの教会は、
どう見ても一度も修復してないよね、というファサードが印象的です。
正面扉のまわりの装飾を見ると、バロック風ですね。
それにしても、切石と切石の間に、あんなにすきまがあっていいんでしょうか。
教会の内部も、たぶん改装はされていないのでしょう。
小さいけれど、歴史を感じさせる装飾です。
また、コントラーダの旗が掲げられています。
きっと、Bravio delle Botti(タルころがし競争)の前には、
チームでここに必勝祈願に来るのでしょうね。
モンテプルチアーノは中世の面影を色濃く残した町です。
ただ、観光地として古くから栄えてきたからでしょうか、
壁をクリーム色などの明るい色に塗り替えている家が多いように思います。
道も、アスファルトで舗装されているのと、石畳とでは、趣きが違ってきますね。
丘の上にある町なので、坂道を上ったり、下ったり。
ずいぶん坂道を上ってきたように思いましたが、まだあんな上に教会の鐘楼が見えます。
お年寄りにとっては、住むのが大変でしょうね。
でも、こういう田舎町にこそ、柔和な顔をしたお年寄りを多く見かけます。
ローマみたいな大都市よりは、ずっと住みやすいのかもしれませんね。
サンタゴスティーノ教会の向かいに立つブルチネッラの塔はこれまた16世紀に建てられたものです。
こうしてみると、モンテプルチアーノの街は16世紀に急速に発展したことがよくわかります。
ブルチネッラとはイタリアに伝わる道化師のことで、
17世紀のナポリが発祥の地だと言われています。
この塔の上でブルチネッラが鐘を鳴らすようになったのは、
それより前のことでしょうから、昔から各地で伝えられてきたのかもしれませんね。
イタリアでのブルチネッラは白い服に白い帽子、顔には黒い仮面をつけている、
というのが一般的なようですが、アップで見るこのブルチネッラは、
色が剥げ落ちて、顔に仮面をつけているのかどうか、はっきりとはわかりません。
ただ、どうやら赤い帽子をかぶっているようですね。
いずれにしても、この塔とブルチネッラは、
400年近くモンテプルチアーノのシンボルのひとつだったことはまちがいないようです。
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ブルチネッラは、ナポリの「真のナポリピッツァ協会」 | |
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