パドヴァには、聖アントニオを祀っているサンタントニオ教会があり、カトリックの一大巡礼地となっています。
聖アントニオは、聖フランチェスコで有名なフランチェスコ会の修道士で、生まれはポルトガルだそうですが、
パドヴァの近くで亡くなったため、この町に教会(墓所)が建てられたそうです。
病気や怪我の治癒に、また失くし物にご利益があるそうです。
この教会の外観は一種独特で、ファサードだけを見るとゴシックやロマネスクの様式のように見えるのですが、
その後ろにはビザンチン風(イスラム風?)のドームが8つ、上から見ると十字状に並んでいます。
一方、内部は、これが質素を旨とするフランチェスコ会の教会なの? と言いたくなるくらい絢爛豪華で、
特に聖ア ントニオの墓はひときわ目立つ場所にあって、触れようとする人たちで行列ができ、
またたくさんの願い事の書かれた紙がかけられていました。
朝は、鐘の音で目を覚まし、窓を開けると、朝のお祈りに向かうたくさんの人たちが教会に入っていきます。
夜は、教会前の広場の街灯でほのかにライトアップされた教会が、静謐な姿を見せてくれます。
サンタントニオ教会は、俗世間の願いが満ちている空間と、聖なる空間の凛とした雰囲気をあわせ持った、
そんな教会でした。
パドヴァは、ヴェネツィアからFSで30分くらいのところにある町です。
私たちは夜の10時頃プルマンでAutostazioneに到着したので、
無謀にもAutostazioneからサンタントニオ教会前のホテルまで
スーツケースを引きずりながら歩いていったのです。
次の朝、目を覚ました私たちは、とりあえず交通機関のチェックをするため、
前の晩歩いた道を引き返しながらFSの駅へ向かって歩き出しました。
前の晩はまったく感じなかったのですが、街が大きい!そして都会だ!駅がとてつもなく遠い!
計画変更です。とりあえず街をぶらぶらしてみよう、というわけで、パドヴァの街歩きです。
まず初めに気づいたのは、ボローニャほどではありませんが、ポルティコが多いこと。
パドヴァはボローニャに次いでイタリアで2番目に大学ができた都市。
中世の住宅事情はどこも同じだったのか…。なんてことを考えながら歩いていると、「COIN」発見。
こんな旧市街の中にデパートがあるのは、フィレンツェみたいな都会くらいです。
そして、スーペルメルカートも。思わず水や果物を買い込む私たちなのでした。
というわけで、買い物袋をぶら下げながら、
ラジョーネ宮、シニョーリ広場、カピタニアート広場と歩き回る私たち。
じっくりと見てまわるのはとりあえず明日にしよう、と思いつつ、
なかなかホテルへと戻らない私たちなのでした。
Osteria La Compagnia del Ripa
ホテルに併設されているオステリアです。
地元ではそれなりの有名店らしく、少しおしゃれをしたグループのお客が多いように感じました。
メニューはフェッラーラの伝統料理が中心です。
まずはワインをオーダーします。
ハウスワインを頼むと、平べったいデキャンタといっしょに、
小さなバケツ風の器に入った殻つきピーナッツが出てきました。
アンティパスティは生ハム・サラミ・ラルドなどの盛り合わせです。
真ん中にのっているペーストがフェッラーラ風とのことです。
プリモはCappellacci di zucca al ragu(カボチャの詰め物をしたパスタのミートソース)。
代表的なフェッラーラの郷土料理です。
セコンドはポルチーニのバルサミコソースをかけたビステッカ。
そしてドルチェでおしまいです。
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フェッラーラは不思議な街です。
小さな街なのに、地域ごとに違う時代に開発されたためか、
1つ通りをへだてると全く違う顔を見せてくれることがあります。
最も歴史を感じさせてくれるのは、街の南にある“ビザンチンの野営地”と呼ばれている地区です。
くわしいことはよくわかりませんが、おそらくこの付近がフェッラーラ発祥の地なのでしょう。
この付近から、ヴォルテ通りにかけては、道幅は狭く、家々は密集していて、
ボローニャのポルティコの原型のような構造の建物も見ることができます。 少し北の地域、スキファノイア宮からドゥオーモにかけては、
また少し様子 が変わります。
道はやはり細く曲がりくねっていますが、
裕福な貴族の館らしきものがところどころに現れるようになります。
このエリアがフェッラーラで最も見どころの多い地域でしょう。
また、少しずつ緑も増えてきます。
中庭や庭園があるだけでなく、
窓辺を花で飾った家々が見られるようになってきます。
教会は、ドゥオーモのほかには
“必見”というものはありませんが
“見る価値のある”教会は数多くあります。
個人的なオススメは、エステンセ城のすぐそば、
レプッブリカ広場に面して立つ
サン・ジュリアーノ教会です。
教会というより礼拝堂といったほうがよいくらいの
小さな教会ですが、飾り気のない宝石箱のようで、
広場に腰かけて眺めていると、
なんともいえないホッとした気持ちになります。
サンタ・マリア・イン・ヴァド教会。
スキファノイア宮のそばにあります。
サン・パオロ教会。 街の中心近く、ドゥオーモから少し南へ行ったところにあります。
サン・ジュリアーノ教会。広場の角にひっそりと立っています。
ドゥオーモ方面からサヴォナローラ通りに入り、しばらく東へ歩くと、
右手に一見何の変哲もないけれど、まわりに比べてやけに大きなレンガ造りの建物が見えてきます。
ここは「ロメイの家」と呼ばれ、
ルクレツィア・ボルジアがフェッラーラでの大半をここで過ごしたことで知られています。
中に入ると、きれいに整備された中庭を取り囲むように数多くの部屋が並び、
2階には、回廊にもフレスコ画の一部が残っている場所があります。
その波乱に満ちた生涯でよく知られている
ルクレツィア・ボルジアですが、
この家では穏やかに瞑想にふけることが多かったといいます。
父や兄には政争の具として3度の政略結婚をさせられ、
巷ではさまざまなうわさを立てられながら、
40歳に満たない若さでなくなった彼女は、
どんなことを考えながらここで過ごしていたのでしょうか。
こちらはコルプス・ドミニ修道院。
ロメイの家からほど近い場所にあり、
彼女をはじめ、歴代のエステ一族の墓所があります。
残念ながら今回は内部を見学することは
できませんでした。
旧市街の南東には、エステ家の別荘として利用されていた
スキファノイア宮があります。
外観は決して派手ではない建物ですが、
見どころはこの中にたっぷりと詰まっています。
なんといっても
フェッラーラを統治していた貴族の別宮ですから、
壁といい天井といい、これでもかというくらいに
フェッラーラ風の装飾がされています。
エステンセ城と比べると、実用性より装飾性が優先されて、
彫刻類が多いような印象を受けます。
また、ややグロテスク風味が強いでしょうか。
一番の見どころは“12ヶ月の間”と呼ばれる大広間でしょう。
壁面全体にコスメ・トゥーラをはじめとした
フェッラーラ派の画家たちによって、
当時の信仰や祝祭の様子が独特の作風で描かれています。
中段には黄道十二宮のシンボルが描かれているそうです。
イタリアの人たちは今でも星占いが大好きですが、 このあたりにルーツがあるのかもしれませんね。
「4月」の一部。あざやかな色調に目を奪われます。
宮殿の裏手は庭(庭園でも中庭でもありません)になっています。
人工的な庭園でないところが、なんだか少しほっとさせられます。小さなバールもありました。
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フェッラーラ旧市街の南を、東西に貫いている中世そのままの細い小道があります。
道幅は車一台がやっと通れるくらいの幅で、道の両側には石造りの家が立ち並び、
所々でフラインクバットレスを兼ねたアーチが道の上をまたいでいます。
この小道はヴォルテ通りと呼ばれ、フェッラーラで最も古い街並みが残る通りといわれています。
まるでタイムスリップしたように静かな通りに一歩足を踏み入れると、
馬車の通り過ぎる音が聞こえてくるかのようです。
家々の屋根には、ヴェネツィアの古い建物で見られるのと同じような煙突があります。
なんとなく中世の「普通の人々」のくらしがイメージできそうな気がしますね。
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週刊ユネスコ世界遺産 No.33 (ラヴェンナの初期キリスト教建造物群(イタリア) ルネサンス都市フェッラーラとポー川のデルタ地帯) |
株式会社講談社 |
エルコレ1世通りとビアジオ・ロッセッティ通りの
交差点の角にある4つの建物のうちの1つは、
通称“ディアマンティ館”と呼ばれています。
名前の由来は見ての通りで、
建物の壁一面に四角すい状の装飾が
ほどこされているためです。
現在は美術館として転用されており、
フェッラーラ派の絵画などを見ることができます。
コの字形をした建物の内側には、簡素ですが整えられた中庭があります。
ディアマンティ館といえば、その外観のみがクローズアップされがちですが、
美術館とこの中庭はもっと知られていてもいいかもしれませんね。
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Via borgo dei Leoni (エルコレ1世大通りの東側に並行して走る通りです)
エステンセ城から北に伸びる通りは、エルコレ1世大通りと呼ばれ、
15~16世紀に街が拡張されるのとあわせて整備された通りです。
この通り沿いには、パラッツォと呼ばれる大きな館が立ち並び、
有名なディアマンティ館もこの通り沿いにあります。
Palazzo Canonici Mattei エルコレ1世大通りと
ビアジオ・ロッセッティ大通りの交差点は
特に4つの大きなパラッツォが立ち並び、
それぞれが際立った個性を見せています。
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ダイヤモンド社 |