ローマでは今でもトラムが重要な交通手段の一つです。
“地面を掘れば遺跡に当たる”ローマでは、東京やロンドンのように地下鉄網が発達していないため、
今でもいくつかの路線が残っています。
ホテルからの最寄りの停留所は「Villa Giulia」。
今はエトルリア博物館になっている、教皇ユリウスⅢ世の館のすぐ近くです。
大きな地図で見る
こちらがVilla Giulia。ルネサンス風の建物で、中庭がきれいです。
建物の向こう側には、ボルゲーゼ公園が広がっています。
Villa Giuliaのホームページはこちら
ご覧の通り、交通量の激しい道を、自動車とトラムが共用しています。
写真のトラムの終点は、Ottavianoの南、リソルジメント広場(Piazza Risorsimento)。
つまりヴァチカンのすぐそばです。さあ、トラムに乗ってヴァチカンまで行ってみましょうか。
Matricianella(マトリチャネッラ)
スペイン広場から東側の一帯は、ローマでもおいしいレストランが集まっています。
その中でも特においしいローマ料理が食べられると評判なのがこのお店です。
店内は多くのお客さんであふれかえって、ワイワイガヤガヤ、とてもにぎやかです。
とりあえずはワインをオーダー。カメリエーレがすすめてくれたのがこのワインです。
しっかりしたフルボディ系ですが、飲みやすいワインです。
それから、ローマならではのパスタを2品。ひとつ目は「リガトーニ・コン・バイアータ」。ローマ料理お得意のいわゆる内臓系です。といってもクセはなく、ワインとの相性もぴったりです。
もう一皿は、「ボンボロッティ・グリーシャ」。
カルボナーラの原型といわれる料理で、シンプルな味付けですがクセになりそうな味です。
そしてセコンドは「サルティンボッカ・アラ・ロマーナ」。
定番中の定番ですが、とりあえずはこれを食べておかないと。ハーブがしっかり効いていました。
3皿とも大満足。当たり外れの大きなローマのレストランで、値段・味の両方とも納得のお店でした。
大きな地図で見る
お店のホームページはこちら
Hotel Lord Byron(ホテル ロード・バイロン)
ローマのホテルはちょっとリッチに5つ星の隠れ家的ホテル。
旧市街を囲む城壁の外、ボルゲーゼ公園から少し歩いたところにあるこのホテルは、
大型ホテルにはないきめ細やかなサービスと、ホスピタリティが魅力です。
出迎えてくれたホテルマンの彼は、私のつたないイタリア語にいつも根気強くつきあいながら、
いろいろと相談にのってくれました。
事務的な冷たさはみじんもなく、大規模ホテルでは考えられない親切な対応です。
客室は、ちょっとリッチにジュニアスイート。インテリアデザインが美しいだけでなく、使い心地も抜群です。
ウェルカムドリンク代わりに、オーナーのメッセージが添えられたワインがテーブルに置かれていました。
ロッソ・ディ・モンテファルコ、D.O.C.Gです。
バスルームも落ち着いた雰囲気のデザインで、機能性も申し分ありません。
こじんまりとしたロビーです。一度も使わなかったのは、もったいなかったかも。
朝食メニューも多彩です。一週間泊まっても飽きないでしょう。
ツアーでローマのホテルに泊まって、いろんな点でがっかりしたことのある人に、
ぜひ一度泊まってみてほしいホテルです。でも、あんまり有名になってほしくないような気も…。
大きな地図で見る
ホテルのホームページはこちら。
クイリナーレの丘のもっとも南に、大きなオベリスクの立つ広場があります。
この広場が、ローマの政治の中心、クイリナーレ広場です。
広場に面して建っているのは、
コンスルタ宮殿(Palazzo del Consulta)とクイリナーレ宮殿(Palazzo del Quirinale)です。
コンスルタ宮殿は現在は憲法裁判所として使われている、バロック風の堂々とした建物です。
建物の上には大きな彫刻と紋章が。
一方のクイリナーレ宮は、外観こそやや簡素な感じですが、
今は大統領官邸として利用されているローマでもっとも警備の厳重な?建物です。
こんな感じで、ローマ帝国の兵士を連想させるいでたちの衛兵によって守られています。
広場は三方を威圧感のある建物に囲まれていますが、視界が開けている方向には、
ご覧のようにサン・ピエトロ大聖堂のクーポラがシルエットになって浮かんでいます。
夕暮れ時にはクーポラが夕日に映えて、きれいな眺めなのでしょう。
クレーンとかアンテナがなかったら、もっといいんですけど…。
大きな地図で見る
クワットロ・ フォンターネの交差点からクィリナーレ広場に向かう道の途中、大統領官邸の斜め向かいに、
ベルニーニが設計した教会、サンタンドレア・アル・クイリナーレがあります。
サン・カルロ・アッレ・クアットロ・フォンターネ教会(Chiesa di S.Carlo alle Quattro Fontane)と同じく、
小さな教会ですが、ベルニーニのユニークなアイディアを随所に見ることができます。
教会内部は、色大理石がふんだんに使われ、
また、直線的なファサードとは対照的に曲線が多用されたデザインになっています。
主祭壇上部の装飾です。やっぱりベルニーニ、ただ者ではありませんね。
小さな天窓が開けられ、天窓の上下に彫刻が配されています。
床面の装飾もこだわりが感じられます。さまざまな技法が使い分けられて、見事な効果をあげています。
そしてこのクーポラ。ややおとなしめに装飾されたクーポラの中心からは、金色の光が差し込んできます。
この天窓からの光に、きっと多くの人が“天国”の存在を実感したのではないでしょうか。
天窓部分のアップです。「天窓」という表現を使いましたが、正確には天井に窓が開いているわけではなく、
金ぱくを貼って装飾された小円蓋です。よく見ると、こんなところにまで天使の彫刻が…。
大きな地図で見る
![]() |
図説 バロック (ふくろうの本/世界の文化) |
中島 智章 | |
河出書房新社 |
クィリナーレ通りと、ポポロ広場からサンタ・マリア・マッジョーレ教会を結ぶ通りの交差点に、
「四つの泉(Quattro Fontane)」と呼ばれる泉があります。
どことなくナヴォーナ広場の「四大河の噴水」や、パレルモの“クアットロ・カンティ”を連想させる
この交差点のすぐそばに、小さな教会がたっています。
これがサン・カルロ・アッレ・クアットロ・フォンターネ教会(Chiesa di S.Carlo alle Quattro Fontane)です。
交通量の激しい交差点にあるため、排気ガスで黒くすすけていますが、
なめらかな曲線で構成されるファサードのデザインは、まぎれもないバロック様式です。
この教会、設計の大部分がボッロミーニによるものです。
ボッロミーニという人は、建築家としてのベルニーニのライバルで、
“バロックの奇才”などといわれることもあります。
個人的にはベルニーニの方が好みなのですが、この人の才能は大きな建築物より、
むしろこの教会のような小さな建物でより発揮されるような気がします。
内部も曲線を多用したデザインで、独特のリズム感があります。
そしてこれが、あまりに有名なクーポラの内側です。
正円のルネサンスにたいして楕円のバロックなんて言い方もしますね。
見れば見るほど、考えつくされたデザインに驚かされます。
モーゼの泉のすぐそば、クィリナーレ通りに面して、ローマでも有数の豪華な教会があります。
これがサンタ・マリア・デッラ・ヴィットリア教会(Chiesa di S.Maria della Vittoria)です。
ファサードは典型的なバロック様式です。教会自体はあの(サン・ピエトロ大聖堂のデザインを台無しにした)マデルノの設計だとのこと。
内部は、色大理石の壁面のあちこちに据え付けられた数多くの彫刻が劇的な印象を与えている、
いかにもバロックらしい装飾です。
一歩足を踏み入れると、まるで自分自身が天国へと引き込まれていくような印象を受けます。
主祭壇から後陣にかけてもきらびやかな装飾がなされていて、どことなくメキシコあたりの教会のようです。
クーポラもご覧の通り吸い込まれていきそうです。
おそらく意図的に窓を少なくして、数少ない開口部から差し込む光を、
より効果的に見せようとしているのでしょう。
天井部分はこんな感じです。
絵画と彫刻を融合させて、臨場感を高める典型的なバロックの手法が用いられています。
それにしても、天井の彫刻は、どうやって取り付けたのでしょうか。
そして、この教会でもっとも有名なものといえば、ベルニーニの彫刻「聖テレーザの法悦」でしょう。
最近は映画「天使と悪魔」の“火”としても知られていますが、
まちがいなくベルニーニの彫刻の中でもベスト3に入る傑作です。
今まさに天使にその胸を貫かれようとしている聖テレーザの表情や手の動きは、
物語の動きのある一瞬を切り取ってみせるベルニーニの真骨頂といってもいいでしょう。
また、衣服のひだなどの細部のやわらかさは、それが石でできていることを忘れてしまいそうです。
物体としての男性の肉体美にこだわったミケランジェロと、
女性のしなやかさや物語にこだわったベルニーニの違いが、ここで改めて実感させられます。
「聖テレーザの法悦」に正対するように置かれている「聖ヨセフの夢」です。
こちらはドメニコ・グイディという人の作品です。
ほんとはこの2つの彫刻、もっとアップの写真を撮りたかったんですが、
前にも書いたように、この教会は窓が少なくて暗いんです。
思いっきり強調したい部分がクローズアップされるように計算されているのかもしれませんが、
写真を撮るのはなかなか大変です。
![]() |
ベルニーニ―バロック美術の巨星 (歴史文化セレクション) |
石鍋真澄 | |
吉川弘文館 |
ローマといえば「トレビの泉」が代名詞のようになっていますが、
ローマにはそのほかにも数多くの泉や噴水があります。
そのひとつがここ、モーゼの泉(Fontana del Mose)です。
この泉は、1589年に教皇システィーノ5世が整備再建した「フェリーチェの水道(Aqua Felice)」の終着点で、
設計はドメニコ・フォンターナです。
クィリナーレ通り(Via del Quirinale)とバルベリーニ通り(Via Barberini)とが出会う、
交通量の多い場所にあるためか、立ち止まって眺める人はほとんどいませんが、
できた当初はトレビの泉以上に重要なモニュメントだったはずです。
また、この付近には官公庁が立ち並ぶイタリアの行政の中心でもあります。
日本の霞ヶ関のようなものですね。
![]() |
十戒 スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD] |
クリエーター情報なし | |
パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン |
サンタニェーゼ・フォーリ・レ・ムーラ教会(Chisa di Sant`Agnese fuori le Mura)の前の
細い坂道をのぼったところに、サンタ・コスタンツァ教会(Chiesa di Santa Costanza)があります。
紀元4世紀ごろに建てられた古いこの教会は、
もともとはコンスタンティヌス帝の娘コスタンツアの墓所だったそうです。
結婚式などのときを除き、ふだんは非公開になっているとのことでしたが、行ってみると、
この日はまさに結婚式が行なわれている真っ最中でした。
円形の集中式教会では、中央に祭壇が置かれ、それと向かい合うように新郎新婦が座っています。
列柱に沿って、そのまわりを取り囲むように参列者が座り、
さらに座りきれないたくさんの人がその後ろに立ち並んでいました。
大きく開けられたクーポラの窓からさしこむ光が、神聖な日にふさわしい雰囲気をかもしだしています。
まわりを取り囲む回廊には、いくつかのニッチ(壁がん)が設けられ、
ニッチのうちの2つは大きめのアプシス(祭室)になっていて、写真のようなモザイクで飾られています。
素朴な、どこか心温まるようなモザイクです。
主祭壇のうしろがコスタンツアのお墓です。もっともこれはレプリカですが。
回廊の天井は、ポンペイやアクイレイアで見られるようなモザイクで装飾されています。
ごらんのような幾何学模様やつる草模様が、柱と柱のあいだごとに異なるデザインでぐるりと一周しています。
そういえば、今は結婚式の真っ最中でした。どうぞ末永くお幸せに・・・。