小さなアトラーニの街の入り口にあるのが、ウンベルトⅠ世広場です。
スカイラインをちょうどバス通りの高さにそろえるように四方を建物にかこまれ、
わずかに開いた正面にサン・サルヴァトーレ教会がファサードを見せています。
ちなみに、この写真の建物の上がバス通りです。
広場には、バールやカフェがテーブルを広げ、ゆったりした空気が流れています。
どうやらここが、この街の唯一の社交場のようです。
サン・サルヴァトーレ教会は残念ながら修復中。
海に向かって、小さなアーチが2ヵ所に開いています。
あまり日のあたらない広場からアーチ越しに見える海岸は、まるで別世界のようです。
広場から伸びる唯一の大きな道がこのドージェ通り(Via dei Doge)。
ドージェ通りから絶壁のはるか上に見えるのが
告示の聖マリア教会(Chiesa di S.Maria del Bando)です。
さすがにアソコまで登ってみようという気にはなれませんでした。
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アトラーニは、アマルフィの東側、サラセンの塔を越えたひとつ隣の入り江にある小さな街です。
アマルフィからは、バス停1つ、わずか3分ほどで到着します。
バス通りが海岸と街をへだてていますが、もともとの城壁の上に道が走るようになったのか、
道ができて海岸と街がへだてられるようになったのかはよくわかりません。
バス停から街を眺めたところです。アマルフィ以上に険しい崖の下に街がつくられています。
中央の時計台はサン・サルヴァトーレ教会のファサードで、
この教会はアマルフィ海岸一帯が共和国だった時代に
ドージェ(総督)の戴冠式が行われていた由緒ある教会です。
街の東側には、岩山がせり出すようにそびえています。がけ崩れとかしないんでしょうか?
その一方で、海岸には美しい砂浜が広がっています。
アマルフィのビーチから車で5分ほどの所にあるとは思えない静けさです。
アマルフィの旧メインストリート、ドゥオーモからすぐのところにあるリストランテです。
中もかなりのテーブル数があるようでしたが、
私たちは店の前の小さな広場に置かれたテーブルを選びました。
だいぶ観光客慣れしている雰囲気で、一部日本語メニューもありましたが、
サービスの感じは悪くなかったです。
ワインはトラモンティの白、コスタ・ダマルフィです。
パンは袋に入った温められたものが出てきました。
アンティパストはお店におまかせ。
ありがちメニューの盛り合わせですが、なかなかおいしかったです。
もう一品、小エビのマリネ風もオーダーしました。
こちらは久しぶりに食べたルッコラなどの生野菜が、体に良さそうな気がしました。
そして、このあとにチェターラ産のコラトゥーラ(しょっつるみたいなもの)の
リングイネをオーダーしているのですが、あまりにおいしそうだったので、写真がありません…。
セコンドはすずきのアクアパッツァ。まあ、ふつうにおいしくいただきました。
日本との違いは値段ですね。日本の半額くらいです。
ドルチェは例によって2品。レモンタルトと「アマルフィの月」です。
ガイドブックなどには載っていませんが、場所も悪くありませんし、
そんなに気どらず利用できるオススメのリストランテだと思いますよ。
リストランテのホームページはこちら
http://www.maccusamalfi.it/
ワイナリーのホームページはこちら
http://www.giuseppeapicella.it/index.html
カプリ島で“青の洞窟”に入ることができなかった私たちは、
今度はアマルフィ近郊のコンカ・ディ・マリーニにある
“エメラルドの洞窟”にチャレンジすることにしました。
こちらは青の洞窟とは違って、かなり海が荒れていないかぎり入れるということなので、
とりあえず現地へと向かいます。
エメラルドの洞窟までは、ポジターノ行きのバスで20分ほど。
アマルフィから船で行くこともできます。
上の写真で小さな船が浮かんでいるあたりの小さな入り江の奥に洞窟はあります。
いよいよ現地に到着です。
この黄色い建物はエレベーターで、浜まではエレベーターに乗って降りていきます。
その向こうに見えているのが、前にも少し紹介したコンカ岬と“コンカの塔”です。
バス停の前には、こんなおみやげ物やさんもあります。
マヨルカ焼のお皿や器、壺まで売っています。こんなところで壺を買う人って…?
海のほうに目を向けると、真っ青な海に白い波を立てながら、ひんぱんに観光船がやってきます。
私たちが訪れた時期には、ブーゲンビリアの花が見事に満開になっていました。
それではエレベーターに乗って、浜へ降りてみましょう。
エレベーターを降りると、そこは洞窟になっていました。
向かい側に見えるのがエメラルドの洞窟の入り口です。
洞窟の中へと入ったところです。どことなくテーマパークのアトラクションのようです。
私たちの乗ったボートのこぎ手兼ガイドのマリオです。
右手にある青いボートに乗って、洞窟内を15分ほど巡ります。
いよいよボートに乗り込んで洞窟内を見てまわります。
マリオは、お客さんの国籍にあわせて、カタコトで何ヶ国語も使ってガイドをします。
日本語は、「キレイデスネー」と「チップクダサーイ」だけでしたが。(笑)
ご覧の通り、たしかに“エメラルドの洞窟”です。
海底にはキリスト像なども沈められていて、
マリオは盛んに「奇跡だ!奇跡だ!」と繰り返しますが、
そんなに驚くほどのものではありません。(笑)
奥のほうは、青の洞窟にも劣らない深い青色の海面を見ることができます。
マリオのガイドが神秘的な雰囲気をぶち壊しにしてくれますが、
エンターテイメントとしてはそれなりに楽しめた体験でした。
アマルフィ・エクスクルーシヴガイド(2版) | |
楫野 圭一郎,楫野 忍,祝 美也子 | |
ジーノズ・コンシェルジュサーヴィシーズ |
ムリーニ渓谷の北のはずれに、手すき紙の博物館があります。
ここは、一階はアマルフィ紙の販売所になっていて、何人かの人が集まるまで待っていると、
地下の紙すき工場にガイド付き(イタリア語と英語のチャンポン)で連れて行ってくれます。
取水口です。この下に水車があります。
紙の原料が混ぜられた水の中に紙すき板を入れて引き上げると、
ご覧の通り、紙の原料が薄く板の上に残ります。
これを半円柱状の板の上で裏返すと、紙が板の上に貼り付いて残る、というわけです。
あとは乾くまで館内を見学して回り、つくった紙はお持ち帰りができます。
写真手前に見えているのが、紙を貼り付ける板です。
その奥にある木製の大きな道具は、パルプを細かく砕くための道具だったような気が…。
ご覧の通りのガイドさんがイタリア語に英語も交えて、親切丁寧に説明してくれるのですが、
残念ながら二ヶ国語合わせて半分くらいしかわかりません。
でも、自分でつくった紙はしっかりと持って帰ってきましたよ。
手すき紙博物館のホームページはこちら
アマルフィのメインストリートの北のはずれに、ひときわ目立つ赤い家が建っています。
1階にはお世辞にもあまり美しいとは言えないプレゼッピが飾られているこの建物の下をくぐると、
そこから先がムリーニ渓谷です。
「ムリーニ」とは「水車」という意味で、
それまでは道の下に隠れていた
カンネト川が姿を現し、
ところどころに古ぼけた製紙工場のあとが
残っているのを見ることができます。
一見廃墟のように見えるそれは、
アマルフィの製紙工業が
もはや過去のものであることを
物語っているかのようです。
しかし、最近になって、アマルフィでは
伝統的な手すき紙がよみがえりつつあり、
街中でもお土産として売られたりしています。
道の上をまたぐようにして工場跡があります。
巨大な煙突が、華やかな観光地としてのアマルフィとは別の一面を見せてくれます。
通りはこんな風に、まるで時間が止まっているかのような静けさです。
ただ、右手の家では現役の水車が活躍していました。
ほとんどの水車小屋が川の上に建っているので、
川の流れはところどころでしか見ることができません。
石臼の一部でしょうか。あちらこちらにこんなものが転がっていました。
この先には手すき紙博物館があり、紙すき体験ができるということだったので、
私たちはそこを訪れてみることにしました。
アマルフィは、
カンネト川の深い谷あいにひらけた街です。
メインストリートはもともと川だった場所で、
今も道の下に水が流れているそうです。
(渋谷川遊歩道みたいですね)
したがって、中世のメインストリートは、
現在のメインストリートよりやや高いところに、
谷あいをぬうように作られた細い道でした。
今回はそんなアマルフィの裏通りを紹介します。
まずは現在のメインストリートから
脇に入る階段を登っていきましょう。
階段を登る途中でメインストリートを振り返ってみると、こんな感じです。
旧メインストリートは川の左右にあり、こちらは川下から見て左(街の西側)の通りです。
見てのとおり、どこまでが道で、どこまでが個人の土地なのかよくわかりません。
上の写真のように空が見えるところもありますが、通りの半分ほどはアーケードになっています。
さらに脇道に入り、階段を登っていくと、道はほとんどマンションの階段のようになります。
あちらこちらにきれいに飾られたタベルナコロを見ることができます。
街のかなり上のほうで、こんな風に飾られたタイルが貼られているところを見つけました。
こちらは川の右側(東側)の旧メインストリートです。
こんなアーケードがずーっと続いています。
左へ折れて、階段を汗だくになって登っていくと、
やがて視界がひらけてレモン畑にたどり着くことができます。
街のいちばん上まで登るには、かなりの苦労ですが、
その先にはそれまでの疲れをいっぺんに吹き飛ばすようなすばらしい眺めが待っています。
アマルフィの東斜面から、ドゥオーモ広場付近に戻ってきた私たちは、
今度はアマルフィのメインストリートを散策することにしました。
ドゥオーモ広場付近には、観光客相手と思われるさまざまな店が軒を連ねています。
中でもひときわ目をひくのが食料品店です。
リモンチェロなどの酒屋、生ハムやチーズなどの加工品を売る店に交じって、
トウガラシやレモンといった生鮮品を売る店が目立ちます。
この地方のレモンのもっともポピュラーな品種は「リモンチェドロ」という名前の、
ふつうのレモンの3倍近い大きさのものです。
大きさのわりに果肉は少なく、
厚くて柔らかめの皮の部分を使ってリモンチェロや香水がつくられています。
やがて通りは少しずつ道幅を狭めて、車がすれ違うことができないくらいの広さになります。
(もっともこの道は原則として歩行者専用で、許可車両以外は立ち入ることはできませんが…)
そこに現れるのがこの建物です。
知る人ぞ知る陣内秀信さんがガイド役でイタリアを縦断したNHKの番組で、
陣内さんと住吉アナが訪問した、あの建物です。
家のたもとには仕事場である革製品のお店もちゃんとありました。
さらに歩き続けると、道幅はさらに狭くなり、向かい合う建物のあいだに、
フライングバットレスの役目をしていると思われるアーチが見られるようになります。
道が枝分かれするところにある小さな広場には、こんな噴水も…。
15分も歩くと、肉屋兼トラットリアがあって、そこで商店街は終わりです。
ここまでずっと海のほうから歩いて来たわけですが、
上の写真は商店街の終わりでUターンをして写したものです。
ここで道はゆるやかに左にカーブし、この先の山沿いには、
家々に覆いかぶさるかのようにせり出す山のふもとに、住宅がまばらに建っています。
その先には「紙漉きの里」と呼ばれる地区があります。
「紙漉きの里」については、また別の機会に。
IL TARI(イル・ターリ)
アマルフィのメインストリートの中ほどやや先、
にぎやかな通りが少しずつ落ち着きをみせるあたりにある気どらないお店です。
開店直後に入ったため、まだ店内は人気がありません。
が、私たちが帰るころには満席で、お店の外で待っている人が並んでいました。
アンティパスティはいろんなサルーミの盛り合わせ。鹿肉もあれば、ラルドや内臓もあります。
ワインはカンパーニャの定番、ファランギーナ。
アンティパストと相性ぴったりです。
クロスティーニも頼んでみました。
上に乗っているのはトマトではなく、パプリカです。
プリモはパッケリの“ターリ風”。トンノ(マグロ)がベースの不思議な味です。
もちろん、おしいかったですよ。
セコンドは「海の幸のトマトソース煮」。イカ・タコ・エビが入っています。
中でもイイダコがいい感じでした。
ドルチェは2品。
プロフィットロールのレモンソースがけと、
マチェドニアです。
マチェドニアを頼んだのは、
体が疲れてきていたのでしょうか、
野菜やフルーツがほしくなっていたからです。
全体的にはかなり満足のいく料理でした。
コストパフォーマンスを考えたら、
ホテルのリストランテで食事するより、ずっといいのではないかと思います。
オススメのお店です。
お店のホームページはこちら
Hotel Luna Convento(ルナ・コンヴェント)
街の東のはずれにある、
中世の修道院を改装したホテルです。
“Luna Convento”とは日本語で
「月の修道院」という意味です。
中世そのままの回廊などは
宿泊客でなくとも自由に見学ができます。
私たちも、このホテルに宿泊したわけではありませんが、
とりあえず雰囲気だけを味わいに行ってみました。
中世そのままの雰囲気は、
ハネムーナーにはぴったりでしょう。
ただ、市街からホテルまでは、
車の往来の激しい道を少し歩くので、
酔っぱらってホテルに戻るときには
気をつけたほうがよいかもしれません。
通りに面した入り口からエレベーターを使ってホテルのある階まで上ると、
いきなり目の前に回廊と中庭が広がっています。
このホテルには、いわゆるエントランスホールはなく、
写真左手の回廊の中ほどにある木の机がフロントです。
中庭の中央には修道院時代そのままの井戸があり、草花で美しく飾られています。
周囲にはテラス席が設けられていて、ロビー代わりになっています。
このほかに、ホテル内には中世の礼拝堂も残っています。
フロント近くの窓からの眺めです。
リストランテやプールサイドからの眺めは、おそらくさらにすばらしいのでしょう。