カターニアの市場は旧市街の南のはずれにあります。
狭い路地いっぱいに色とりどりの野菜や魚が所せましと並べられています。
野菜はどれも大ぶりで、日本では見たことのないものもたくさんあります。
こちらはオリーブの専門店。どれも色鮮やかで興味をそそられます。
赤いのは唐辛子。黒オリーブの唐辛子づけです。
シチリアではめずらしいチーズや生ハムのお店もありました。
ちょっとグロテスクな肉屋さん。真っ二つになっているのは子羊です。
この市場で一番にぎわっているのは魚介類の売り場です。もともとここは魚市場として始まったとのこと。
近くの海で取れるのでしょうか、ありとあらゆる魚が売られています。
これはペッシェ・スパーダ。こんな風に売られているのを間近に見られるのは、シチリアならではです。
もともとは、13世紀にフリードリヒ2世によって建てられた要塞です。
地震やエトナ山の噴火によって荒れ果ててしまいましたが、
20世紀になってから修復され、現在では市立博物館として利用されています。
城はきれいな正方形の建物で、4すみに円柱状の見張り塔が張り出しています。
さらに正方形の辺の中点にあたる部分にも半円状の張り出しがつけられています。
こちらは見張り塔というよりも、敵からの攻撃に対して応戦するためのもののようです。
たくさんのスリットのような窓がついています。
もともとこの城は海に面していたそうですが、
17世紀のエトナ山の噴火による溶岩流でまわりが埋め立てられ、今では海から遠く離れています。
サン・ニコロ修道院の脇を通った溶岩流がここまでやってきたんですね。
城のまわりを取り囲んでいたはずの堀も、写真の通りです。
市立博物館は、残念ながらこの日はお休み。
何人もの人が、入り口までやってきては、恨めしそうに帰っていきました。
カターニアの旧市街を東西に走るガリバルディ通りのドゥオーモ近くに、
交差点に面した建物の角を切り取ってできた広い空間があります。
ここがマッツィーニ広場です。広場というよりは見通しのいい交差点といった感じですが…。
4つの建物はそれぞれデザインが異なりますが、どの建物にも全く同じデザインの柱廊があります。
この建物はPalazzo Gagliani(北西の角)。
ここにもありました、カターニアの溶岩が使われている建物。
この建物はPalazzo Scammacca(北東の角)。
こちらはPalazzo Asmundo Gisira(南東の角)。
お客が来ないのでしょうか、トラットリアのカメリエーラがさかんに客の呼び込みをしていました。
そして最後にPalazzo Peratoner(南西の角)です。
広場のすぐ先、ガリバルディ通りのつきあたりには、ドゥオーモのファサードが見えています。
それにしても、ガリバルディ通り、マッツィーニ広場という名前から想像すると、
今のような姿になったのは19世紀になってからなのでしょうか。
ちなみにカヴールの名前のついた場所はカターニアには見つけられませんでした。
やっぱりシチリアでは人気ないのかな、カヴール。
古代ローマ劇場の隣は、イタリアのオペラ界を代表する作曲家、ベッリーニの生家です。
ベッリーニはオペラ「ノルマ」などで知られる、カターニア出身の作曲家です。
わずか34歳という若さで世を去ったため、作品はそれほど多くありませんが、
カターニアのオペラ劇場には彼の名がつけられ、市街の北には「ベッリーニ公園」もあります。
この建物の一部は、今はベッリーニ博物館になっていて、彼の自筆の楽譜なども展示されています。
(中央奥の建物が、ベッリーニ劇場です)
ヴィットリオ・エマヌエレ2世通りに面した、これといって特徴のない、
この建物が古代ローマ劇場跡への入り口です。
劇場は通りや広場に面しているわけではなく、住宅が密集しているど真ん中にあるため、
こうやって建物の中を抜けていくというわけです。
目印は、この看板。見落とさないよう、注意して歩きます。
建物の中に入ると、アーチの向こうに劇場の観客席が見えてきます。
劇場を案内してくれるのは、このネコ。まるで支配人のようにふるまっています。
ネコにすすめられるままに、観客席の下の通路を歩いていくと…。
いつのまにか、観客席の一番上にやってきていました。
舞台にあたる部分には、雨水がたまったのでしょうか、まるで池のようになっています。
それにしても、これだけの規模の劇場があるということは、
カターニアは古代ローマの時代から大きな町だったんですね。
旧市街の西には、ヴィットリオ・エマヌエレ2世通りに面して、2つの教会があります。
その一つがトリニータ教会。ゆるやかにカーブしたファサードを持つ、典型的なバロック様式の教会です。
本来はこの教会にも大きな修道院があったのですが、エトナ山の噴火で壊滅的な被害を受け、
今はその跡地が高校になっています。
この教会も側面はグレーの石材が使われていますが、通りに面しているため、窓や扉は装飾されていて、
単調な壁面のちょうどよいアクセントになっています。
通りを少し東へ下ったところに、サンタゴスティーノ教会があります。
こちらはジローラモ・パラツォットによる初期のバロック建築で、直線的なファサードです。
聖リサの祭日には、教会脇のサンタゴスティーノ通りは、バラの花で埋め尽くされるそうです。
修道院の隣にあるサン・ニコロ・ラレーナ教会ですが、私たちが訪れた正面入り口からは見学できませんでした。
では、どこから見学したのかというと…。
修道院の2階から入って見学するんです。
年老いた修道士のためにつくられたバルコニーで「夜の礼拝堂」と呼ばれています。
内装はシンプルですが、上から見ると色大理石による床の装飾が見事ですね。
教会のパイプオルガンがすぐ間近に見えています。内部の装飾で目立つものといえばこれくらいです。
こちらは教会の側面。黒い石がむき出しのままになっています。
写真の左側に少しだけ見えている修道院の外壁がきれいに装飾されているのと対照的ですね。
修道院の内部には、昔使われていた食器やカメなども置かれています。
そして、暗くてよく見えないのですが、動物の骨も。
これらはヴォールト部分の隙間を埋めるために使われていたそうです。いわゆる耐震強化材ですね。
こちらが修道院の地下です。ここの床には古代ローマ時代のモザイクなども残っています。
歴史の長さを感じさせる空間です。
すごいなと思えるのは、こうした遺構が現在もカターニャ大学の一部として使われていることです。
かって修道士たちが瞑想にふけっていた場所で、今は大学生が勉学に励んでいるというわけですね。
修道院の中を見学するには、ガイドツアーに申し込む必要があります。
申し込むといっても、当日に入り口脇のブックショップで6ユーロを払うだけです。
ガイドはイタリア語だけで、英語圏の人たちには英語で書かれたプリントが配られます。
最初の見どころは「東の回廊(中庭)」です。
この修道院には、東と西に一つずつ回廊があり、それぞれ違った趣きがあります。
「東の中庭」は木々におおわれ、中央に休憩のためのネオ・ゴシック様式のあづまやがあります。
修道士たちは、ここで来客をもてなしたり、お茶を飲んだりしていたそうです。
回廊からは、教会のクーボラを見ることができます。
一方の「西の回廊」は、中庭には芝生の中央に噴水があるだけのシンプルな作りです。
回廊そのものの美しさは、かえってこちらのほうが引き立って見えるように感じられます。
実はこちらの回廊のほうが古く、この場所に修道院が最初に建てられた16世紀につくられたそうです。
ただし、今の姿になったのは19世紀になってからで、噴水もその時期につくられました。
修道院内部の2階です。長い廊下が一直線に続いています。
修道院の北側にも庭園があります。サボテンと修道院の取り合わせは、シチリアならではですね。
この庭園からも、教会の大きなクーボラが見えています。
さて、今度は修道院内の遺構を見学に行きましょう。
カターニアの旧市街の西にある大きな修道院です。16世紀にベネディクト派によって創建されました。
現在の建物は18世紀に建てられたもので、カターニアの代表的なバロック建築のうちのひとつです。
空撮による全体写真を見ると、この修道院の規模の大きさがよくわかります。
修道院の隣には、サン・ニコロ・ラレーナ教会があります。
この不思議なファサードは、未完成のまま工事が中止されたことによるものです。
完成したら、どんな姿になっていたんでしょうか。
こちらが修道院の建物です。カターニア・バロック様式とでも呼べばいいのでしょうか。
カターニアらしく溶岩がふんだんに使われていますが、
窓飾りなどには石灰岩も使われています。
正面から見ただけでは、建物の大きさはピンときませんが、
側面にまわると、その奥行に驚かされます。
この四角錘状に装飾された柱と、バルコニーを支える部分と窓の両脇の彫刻は、
カターニアの他の建物にもよく見られる特徴的なスタイルです。
それでは、いよいよ修道院の中へと入ってみましょう。