18世紀の終わりに建てられた「カルチェレ」、つまり監獄です。
「ボルボニコ」というのは「ブルボンの」という意味で、日本語にすると「ブルボン朝の監獄」ですね。
中は監獄らしく、堅牢な作りで、何の装飾もありません。
建物の中央部分は吹き抜けになっています。小さな窓がいかにも監獄風ですね。
現在は博物館として使われていて、それぞれの部屋に当時の面影はありません。
サン・ジャコモ祭のときに使われていた神輿も展示されていました。
ちなみにここの管理人さんはかなりおせっかいで、
「はじめはこれを見なさい、次はこれを見なさい」と、
私たちのあとをついて回ってあれこれ世話を焼いてくれました。
ちょっとチップをはずむと、ブルボン王妃の使っていた椅子に座らせてくれたりもしますよ。
カルタジローネの大階段には、一匹の小さな犬が住みついています。
首輪もしているので、飼い犬だろうとは思いますが、
一日の大半を大階段で過ごしています。
とても人なつこくて、カメラの前でもこの通り。ポーズを決めてくれました。
フォックステリアの仲間でしょうか。階段のタイルをバックに記念撮影です。
私たちがムニピチオ広場に向かおうとすると、先に立ってガイドをしてくれました。
今も元気にしてるのかな…。
カルタジローネのカテドラーレの前にあるのが、ウンベルト広場。
駅からのバスも、ここに停車します。
噴水も何もないただの広場ですが、かってはカルタジローネの経済の中心だった場所です。
今はお年寄りの格好の憩いの場になっています。
これはモンテ・ディ・プレスターモ(Monte di Prestamo)の後方部分。
現在はシチリア銀行になっています。
モンテ・ディ・プレスターモというのは、今でいう銀行の役割をしていた機関です。
建物の裏から見ても立派なのですが、正面玄関はさらに立派な作りになっていました。
後ろに見えているのがカテドラーレですね。
広場の角に建っているのがリベルティーニ館Palazzo Libertiniです。
リズミカルなアーチ窓の連続が印象的な建物です。
カルタジローネで一番大きな教会でもあるカテドラーレは、聖ジュリアーノにささげられた教会です。
もともとはノルマン朝の頃に建てられた教会ですが、1693年の大地震で倒壊し、その後再建されました。
青いマヨルカ焼のクーボラがひときわ目立っています。
ファサードは20世紀になってつくられたもので、リバティ様式だそうです。
リバティ様式というのは、ジェノヴァな度でよく見かけるイタリア版アール・ヌーヴォーですね。
内部はシンプルな三廊式で、採光に工夫があるのでしょうか、とても明るい印象を受けます。
主祭壇上のステンドグラスがシチリアっぽくないと思いませんか?
それはさておき、どうして聖ジャコモでなく、聖ジュリアーノニささげられたこの教会が
カルタジローネのカテドラーレなんでしょう?ちょっと気になりますね。
再び大階段の下に戻ると、今度は東へと向かいます。
まずは大階段の入り口にあるサン・ジュゼッペ教会(Chiesa di S.Giuseppe)へ。
1693年の大地震の後に改修されたというこの教会、残念ながら中を見ることはできませんでしたが、
左右に鐘楼があるシチリアらしいファサードです。
続いてはボナヴェントゥーラ教会(Chiesa S.Bonaventura)。
サン・ジュゼッペ教会の脇を入り、
サン・ボナヴェントゥーラ通りと名づけられたせまい小道をだらだらと上っていくと、
5分ほどで急に視界が開け、そこに教会が現れます。
残念ながら、ここも中に入ることはできませんでした。
最後は、ボナヴェントゥーラ教会から少し下ったところにある、
サン・ジャコモ教会(Basilica di S.Giacomo)。
1090年に当時のノルマン王ルッジェーロが建てさせたという由緒ある教会です。
ちなみに聖ジャコモはカルタジローネの守護聖人で、
毎年7月25日には、「サン・ジャコモ祭」が盛大に行われるそうです。
内部は、やはり改装されていました。天井の装飾が特にみごとです。
細かい幾何学模様の装飾が一面にほどこされています。
鐘楼の一番上は、カルタジローネ特産のマヨルカ焼で装飾されていました。
ルイジ・ストゥルツォ通りを道なりに進むと、
やがて突きあたりにサン・ジョルジョ教会のシンプルなファサードが見えてきます。
11世紀ごろにこのあたりに多く住んでいたジェノヴァ人たちによってつくられたこの教会は、
もともとは要塞としての役割も果たしていました。
内部はいつごろ改装されたのでしょうか。汚れやくすみもなく美しいままです。
壁面の淡いブルーが印象的ですね。
天井部分はちょっと凝ったデザインです。フレスコ画も新しいようですね。
いくつかある礼拝堂のうちのひとつです。バロック風の装飾がほどこされています。
ここもやっぱり色づかいがきれいですね。
教会を出て、ほんの少し北に歩くと、見晴らしのよい通りに出ます。
シチリアらしい荒涼とした丘陵地帯の向こうに、うっすらと雪化粧をしたエトナ山が見えます。
今度もしシチリアに来ることができたら、そのときはエトナ山にもぜひ行ってみたいな…。
ムニピチオ広場から北東の方角に向かってのびるのがルイジ・ストゥルツォ通りです。
この通り沿いには、ファサードの美しい教会などの建物が立ち並んでいます。
通りを5分ほど歩くと、右手にひときわ目を引くバルコニーのある建物が見えてきます。
これはヴェッラ館(Palazzo Vella)と呼ばれる、カルタジローネを代表する建物で、
細密な花模様のバルコニーはすべてテラコッタでつくられています。
何の花をモチーフにしたのでしょうか、いわゆるバロック建築のバルコニーとは違った雰囲気です。
さらにほんの少し歩くと、通りの両側に向かい合わせに教会が立っている場所に出ます。
右手(南側)にあるのが、サンティッシマ・サルヴァトーレ教会(Chiesa SS. Salvatore)で、
ファサードのてっぺんに小さな鐘楼がついているという面白いデザインです。
左手(北側)にあるのが、サン・ドメニコ教会(Chiesa di S.Domenico)です。
どちらの教会も中を見学することはできませんが、ファサードを見るだけでも価値があります。
ふり返ってみると、通りの向こうにはドゥオーモのクーボラと鐘楼が見えています。
いかにもシチリアらしい風景ですね。
Il Locandiere(イル・ロカンディエーレ)
大階段の足もとから北西の方向に伸びるルイジ・ストゥルツォ通りを
5分くらい歩いたところにあるリストランテです。
中は意外と広く、気さくだけれどもていねいなカメリエーレが席まで案内してくれました。
ここの店の売りはなんといってもアンティパスティです。
カルド(温かいもの)、フレッド(冷たいもの)を両方ともオーダーすることをおすすめします。
細かいところまで手が込んでいて、ボリュームもあるので、これらの料理だけでも満足できます。
こちらはタラの南蛮風マリネ。
特に感心したのは、ペッシェ・スパーダのサルシッチャです。
要するにメカジキのソーセージなのですが、歯ごたえもしっかりあって、繊細な味わいです。
そしてムール貝のワイン蒸し。ここまですべてアンティパスティです。
パスタはイカ墨のパスタがお店のおすすめのようですが、
私はイワシのフェンネルのパスタのほうがシチリアらしさがあってよいように感じました。
パスタの形もジャンボシェル風でユニークです。
もう一つはメカジキのトマトソースのパスタ。こちらも味付けにひと工夫してあります。
ドルチェも全部食べてみたくなるようなラインナップですが、
おなか一杯のときにはグラニータがおすすめです。
ノートにあるカフェ・シチリアにもひけを取らないおいしさです。