展望台から街の中心へと下っていく道と、コッリチェッラの浜へ下る道が分かれるところに、
小さな広場があります。これがマルティリ広場です。
広場の向かいには、コッリチェッラ地区のシンボル、S.Maria delle Grazie教会が建っています。
きれいな黄色がとても印象的です。きっと最近化粧直しを終えたばかりなのでしょう。
マルティリ広場は、コッリチェッラのお年寄りたちの憩いの場になっているようです。
午後のおしゃべりを楽しんでいるお年寄りたちの中に、
TVでも紹介された教会守のおじいさんを見つけました。
TVの中の世界が、今、現実に目の前にある。ちょっと不思議な感覚です。
思い切っておじいさんたちに話しかけてみようかな、と一瞬考えましたが、
彼らの午後のお楽しみの邪魔をしないように、遠くから眺めていた私たちでした。
Terra Murataから下り坂を降りてくると、古い大砲がすえられた展望台があります。
ここからは、コッリチェッラの集落と港のすばらしいパノラマを望むことができるのです。
パステルカラーの積み木をばらまいたかのような小さな家々が斜面に所狭しと建てられ、
右上に見える教会のクーポラが平面で構成された空間にアクセントをつけています。
そして、深い青色をした海と、あざやかなイタリアの青の空。
きっと、ここからのパノラマを見た誰もが「ここまで来てよかった!」と感じることでしょう。
左のほうに目を向けると、コッリチェッラ湾が丸く弧を描くように広がり、
イスキア島方面までを望むことができます。
整った半円形と、断崖が続く光景からは、大昔、ここがまぎれもなく
カンピ・フレイグレイから続く火山群の噴火口のひとつであったことが見て取れます。
展望台からの眺めをたんのうするには、朝なるべく早い時間に行くことをオススメしますが、
夕方、陽が西に傾くころ、きらめく海岸と家々を眺めるのもまた違った美しさが楽しめます。
ただし、展望台までの道のりはずっと上り坂です。
特に、一度浜まで降りて、ワインでも飲んでしまおうものなら、
もう一度戻ってこの景色を楽しむには、かなりの気力と体力が必要ですよ。
島で一番の高台に、まるでオストゥーニのように家々の外壁が要塞のように高く、
全体が円形に近い形をしている地区があります。
ここは、Terra Murataと呼ばれる地区で、プローチダでも最も古い集落のひとつです。
このような形状の集落になった理由は、外敵からの防御のためで、
漁業を営んでいた人々がこのように海から離れた高台に住んだのも同じ理由からです。
外壁の内側に入ると、そこは広場になっていて、まわりをぐるっと取り囲むように家が建ち並んでいます。
どの家にも外階段があり、この点でもオストゥーニなどのプーリアの町々と共通しています。
さて、それではいよいよこの島で最も美しい地区、コッリチェッラへ向かってみましょう。
船から港へ降りると、そこはサンチョ・カットリコ地区と呼ばれる場所で、
カラフルだけれど、少しさびれた感じの家々が海岸沿いに立ち並んでいます。
港には、
海難事故に遭わないよう
に船乗りたちが願ったと
思われる十字架が
立てられています。
あるいは遭難した人たち
の慰霊のための
ものでしょうか。
海のほうへ目をやると、対岸のモンテディプローチダがすぐ目の前に見えます。
港に停泊している船は、クルーザーから漁船、小さなボートまでさまざまですが、
全体的には小さな船が多く、白またはスカイブルーできれいに塗られています。
それにしても、南イタリアの小さな船の多くがスカイブルーで塗られているのはどうしてなんでしょうか?
夕方になると、船着場近くは、帰りの船を待つ人々でにぎわいます。
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海を臨む小さな漁村、山肌にはりつくように佇む村、雪に覆われた山間の寒村… 気候や風土に逆らわず、共存しながら暮らす。 先人たちが築き守ってきた伝統や文化を誇りに思いながら生きる。 ラヴェッロ、チステルニーノ、コッリチェッラを収録しています。 |
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video maker(VC/DAS)(D) |
ナポリからプローチダ、イスキア、カプリなどの島々へは、
ベヴェレッロ港から高速船を利用するのが便利です。
ベヴェレッロ港へは、サンタルチア近辺に宿泊しているなら、
朝の散歩をかねて歩いてみるのもいいでしょう。
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「ずいぶん立派な港だなぁ」と思う人も多いでしょうが、実はこの建物はパレルモなどへのフェリー
(もちろんカプリへもフェリーで行くならここを利用します)専用の港で、
高速船用の港はそのすぐ近くにあります。
チケット売り場は、運行会社ごと、行き先ごとに分かれています。
電光掲示の時刻表があるので、それを見ながら予定に合わせた便のチケットを買って
船着場で待つシステムです。
船着場には特に桟橋や屋根があるわけでもなく、何番線かを示す看板があるだけです。
出発時刻近くになると、船がやってきます。
係員が「Procida!Procida!」と大きな声で言ってくれる場合もありますが、
自分で行き先を確認して乗船するのが原則です。
プローチダまでは、およそ40分程度。
よく旅行ガイドなどには「高速船は揺れが激しいので船酔いに注意」などと書かれていますが、
全くそんなこともなく、快適そのものです。
やがて船はプローチダの港へ。さあ、いよいよプローチダの旅がはじまります。
プローチダ島のチケット売り場。船着場を右に進んだつきあたりにあります。参考までに。
Anema e Cozze (アネマ エ コッツェ)
サンタルチアの海岸通り、卵城からヴィットリア公園にかけては、
スノッブなリストランテやカフェが軒を連ねています。
店の移り変わりも激しく、次々と新しいお店ができては消えていく場所です。
このお店もそんな中の一軒ですが、もともとはミラノにあるチェーン店がナポリに進出して
経営している(逆なのかも)ようで、純粋な地元のリストランテではありません。
ただ、メニューはナポリ風のものをそろえています。
アンティパストはカプレーゼ。何を頼んでいいのかわからなかったので、「とりあえず」の一皿です。
プリモの代わりにオーダーしたのがPizza Fritta。要するに揚げピザです。
こちらは“A Classica”。サラーミ、リコッタ、モッツァレラが入っています。
セコンドは“A Zuppa Anema e Cozze”。
アサリとムール貝、チェリートマトのスープですが、底のほうに小さくカットしたトーストが敷かれていて、
コレがスープをすって、なかなかいい味を出しています。
席は通りに面したテラス席で、ナポリの美しい夜景を堪能しながら、といいたいところですが、
人通りが激しく、ゆったりくつろぐところまではいきません。
これでもう少し静かな雰囲気なら…とも思ったのですが、
ざわざわしているほうがナポリらしくっていいかも、と思い直した夜でした。
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日中のパノラマがすばらしいナポリはまた、世界三大夜景の1つに数えられる場所でもあります。
せっかくナポリを訪れたのですから、その夜景を見逃すわけにはいかないでしょう。
というわけで、私たちは卵城近くのタクシー乗り場でさっそく交渉開始です。
しばらく粘った後、結局30ユーロで決着。さあ「Giro di Napoli notturno」のスタートです。
まずは海岸通りを走り、正面左手に広がるパノラマを眺めながらポジッリポの丘へ。
ここからの夜景はあまりにも有名です。
函館の夜景のように、思わず息をのむようなきらびやかさはありませんが、
ロマンティックという言葉で表現したくなるような夜景です。
それからタクシーはさらに西へ。ナポリの市街地がどんどん遠ざかっていきます。
どこまで連れて行かれるんだろうと不安になってきたころ、
ナポリ湾を一望できる場所で車を止めてくれました。
あまりきれいな写真が撮れなかったのですが、
ナポリの街明かりの向こうにうっすらとヴェスヴィオの姿が浮かび上がっています。
本当はサンテルモ城の方へも行ってみたかったのですが、すでに時刻は11時近く。
「ホテルに戻りたい」と運転手に告げると、「まだ見せたい場所があるのに…。」と、
本当に残念そうな顔をしながらホテルへと戻ってくれました。
そして、別れ際に一言、「これでナポリが好きになったか?」と声をかけてくれました。
「Certamente!」と私たちが答えたのは言うまでもありません。
ただ、急いでいた私たちは、彼に名前を聞くのも、写真を撮るのも忘れてしまいました。
ナポリでは何度もタクシーに乗った私たちですが、彼がもっとも人のいいドライバーだった気がします…。
Gran Caffe' Duomo di Semini Vincenzo (グランカフェ ドゥオーモ)
ドゥオーモのすぐ南、ドゥオーモ通り沿いにあるバールです。店のすぐ前にはタクシー乗り場があります。
タクシーを待っていた私たちは、いつ来るのかわからないタクシーをただ待つよりも、
バールで一息つきながら、カメリエーレにタクシーを呼んでもらおうと考えました。
たまたまそこにあったから入っただけの店だったのですが、
ナポリではそれなりに歴史のあるバールだったようです。
とはいっても、ガンブリヌスのようにお高くとまったところはなく、気軽に入れる雰囲気の店でした。
オーダーしたのは、グラニータ。
乾いたのどをうるおすには、ちょっぴり甘めでしたが、南イタリアならやっぱりコレ!
もうちょっと時間とお腹に余裕があれば、ブリオッシュもいっしょにオーダーしたいところでしたが、
それはまたの機会に。
ジローラミニ教会からトリブナーリ通りをほんの少し東に進むと、
急に視界が開け、ひんぱんに車が通る広い道に出ます。この通りがドゥオーモ通りです。
通りを左に折れるとすぐに、ナポリの教会の中でもひときわ繊細な装飾がほどこされた
ゴシック様式のファサードが目に入ってきます。
この教会が、ナポリの守護聖人サン・ジェンナーロを祀っているドゥオーモです。
サン・ジェンナーロといえば、ドゥオーモに保管されている凝固した血液が、
年に2回の聖人の日に液化することで有名です。いかにもイタリアらしいエピソードですね。
サン・ジェンナーロの礼拝堂。奇跡はこの場所で行われます。
内部は豪華ながらもどこか上品な雰囲気をかもし出しています。
また、構造が複雑で、いくつもの礼拝堂や、以前ここに建っていた教会の一部が残されていて、
やっぱり混沌のナポリにふさわしい!
上の写真は、サンタ・レスティトゥータ教会(Basilica di Santa Restituta)で、
もともとはドゥオーモが建てられる前にここにあった教会です。
今はドゥオーモの一部のようになっていて、見事なバロック装飾がなされています。
あちこちがバロック様式で改築されているからでしょうか。
なんとなくヴァチカンのサン・ピエトロ大聖堂を連想させます。後陣の装飾です。
バロック様式で劇的な演出が非常に効果的です。
思わずひざまずきたくなるような雰囲気を
かもし出しています。
ナポリのドゥオーモは、
地理的な条件のせいでしょうか、
なんとなく影が薄いような印象がありますが、
絶対に訪れる価値のある場所です。