ドゥオーモの東側は、コルトーナでも特に古くからの家並みが残っている地区です。
ここに中世の家がそのままの姿で何件か残っています。
ちょうど上の地図の矢印のあたりです。
木の柱でせり出した2階部分を支える方法で建てられた家は、
ここコルトーナだけでなく、トーディやボローニャでも見ることができます。
ボローニャでは、それが発達してポルティコが生まれたのでしたね。
ただ、コルトーナの「中世の家」は、その危なっかしい感じでは一番かもしれません。
レプップリカ広場からドゥオーモへと向かう途中にある広場です。
映画「トスカーナの休日」では、この広場に大きな噴水のセットがつくられていましたね。
リンゼイ・ダンカン扮するキャサリンが「甘い生活」のワンシーンをまねて
ずぶ濡れになるシーンに出てくるあの噴水です。
私たちが広場を訪れたときには、こんな「いかにもイタリア」的なチンクエチェントが止まっていました。
こういう中世の街には、チンクエチェントが似合います。
バンパーもナンバープレートもないのはちょっと気になりましたが…。
広場に面して建つシニョレッリ劇場です。
コルトーナの街ではめずらしい、16世紀以降に建てられた大きな建物です。
今でも現役でイベントなどが行われています。
広場の近くにあるリストランテ、その名も「Il Teatro」。
きれいな花で飾られています。
入ってみたかったのですが、すでに別のリストランテを予約してしまっていたので、
今回は断念。次回があるといいなぁ。
コルトーナのドゥオーモは、その起源を11世紀にさかのぼります。
当時の教会のファサードが、今の教会のファサードの一部となって残っているのがわかるでしょうか。
ファサードを継ぎ足して、新しく大きな教会に改装するなんてびっくりですね。
新しい(といっても15~16世紀ですが)教会の南側には、柱廊を持つ建物が建てられています。
内部はブルネレスキ風のアーチを持つ列柱で身廊と側廊に分けられています。
明かり取りの丸窓といい、そこかしこにブルネレスキの影響を受けていることがわかります。
祭壇で印象的なのは、豪華な天蓋です。天蓋の上から、たくさんの天使が下をのぞき込んでいますね。
ドゥオーモの前には小さな広場があり、コルトーナの北に広がる風景を眺めることができます。
また、向かいにある美術館ではフラ・アンジェリコの「受胎告知」を見ることができます。
ガリバルディ広場のすぐ先、コルトーナの城壁のすぐ外側に、
14世紀に建てられたサン・ドメニコ教会があります。
内部は単廊式のいわゆるバシリカ様式で、中央祭壇と、その両脇に礼拝堂があります。
中央の祭壇画は、ロレンツォ・ディ・ニッコロという画家の作品で、「聖母マリアの戴冠」です。
向かって左手の礼拝堂には、ルカシニョレッリの作品が飾られていたのですが、
下調べ不足で見逃してしまいました…。
フラ・アンジェリコの「受胎告知」(フィレンツェにあるものとは別にコルトーナにもあるんです)も、
もともとはこの教会のために描かれたものだったとのことで、
地味ですが実は見どころいっぱいの教会でした。
サンタゴスティーノ門からグエルファ通りの坂道を上りきると、
16世紀から時が止まっているかのようなたたずまいで、
私たちの目の前にに現れるのがレプップリカ広場(Piazza della Repubblica)です。
石畳をはじめとして広場全体がグレートーンなのもコルトーナらしいと言えるでしょうか。
広場に面して建つ建物の中で、ひときわ存在感があるのが市庁舎です。
中にはコルトーナ出身のルカ・シニョレッリの絵画等が展示されています。
そして何よりもこの色合いと堅牢な作りの建物自体がコルトーナの街を象徴していますね。
また、コルトーナは映画「トスカーナの休日」のロケ地にもなっていますね。
レプップリカ広場では、クリスマスのシーンが撮影されていました。
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コルトーナの旧市街も、他のトスカーナの町の例にもれず、まわりを城壁が取り囲んでいます。
私たちは、その城壁に数ある門のひとつ、
サンタゴスティーノ門からコルトーナの旧市街を訪れることにしました。
門から続く道は、グエルファ通りと呼ばれ、まっすぐに街の中心へと続いています。
通りの途中にあるのが、サンタゴスティーノ教会です。
残念ながら中を見ることはできませんでした。
この教会のファサードを見てもわかるように、
コルトーナの街は、全体がグレー形の色合いで統一されています。
これが典型的なコルトーナの家です。
イタリアの町は、どの産地の石で建物が建てられているかで、ずいぶん雰囲気が変わってきます。
アレッツォからコルトーナへは、プルマンを利用する方法と、FSを利用する方法があります。
私たちが選んだのは、FSルートです。
アレッツォ駅からカムーチャ-コルトーナ駅までは各駅停車でも20分ほど。あっという間に到着します。
カムーチャ-コルトーナの駅は一見私鉄のようなたたずまい。こじんまりとしています。
駅前にはタクシー乗り場はありますが、タクシーはどこにも見当たりません。
連絡先の電話番号が掲示されているだけです。
バス乗り場の表示もよくわかりませんでしたが、
それでも何とかコルトーナ旧市街へのバスに乗ることができました。
コルトーナのバス停は、これまた地味なところにあります。
ここからアレッツォ行のプルマンも発着するのですが…。
ちなみにバス停の位置はここなんですが…。こんな地図でわかるでしょうか。
今回は、日本とはちょっと変わったイタリア式のエレベーターを紹介します。
「イタリア式」とはいっても、私たちが目にしたのは、
FSアレッツォ駅とキウジ-キャンチャーノ・テルメ駅でだけなので、
イタリアでも珍しいタイプのエレベーターなのかもしれません。
パッと見は特に変わったところがないように見えるのですが…。
中に入ると、「△」と「▽」のボタンがあるだけです。
「EMERGENCY」のボタンを押してはいけないことは、英語がわかる人ならとりあえず理解できます。
ふつうと違うのは…。
このエレベーター、上に行きたいときは「△」のボタンを押し続けていなければならないのです。
ボタンから手を放すと、階の途中だろうが何だろうが、そこで止まってしまいます。
戸惑っていたのは、私たちだけではないようで、
スーツケースと一緒に、中に閉じ込められている人を何人か見かけました。
それにしても、どうしてこんなエレベーターにしたんでしょうね。
今回でアレッツォ編は終わり。
ということで、ここまでで紹介できなかったアレッツォの街角の風景をまとめてみました。
まずは、イル・プラートの前から見たコルソ・イタリア。
こうして見ると、あらためてアレッツォが丘の斜面に広がった街だということがわかります。
こちらは、ホテルの窓から撮った向かいの建物。3階部分の淡いブルーの装飾が独特です。
こちらはアレッツォの市庁舎です。
ファサードは20世紀に再建されたものだそうですが、
建物の中には貴重なフレスコ画が残されているそうです。
最後は街角で見つけたタベルナコロを紹介しましょう。
アレッツォに限らず、トスカーナの町ではたくさんのタベルナコロを見ることができます。
そして信心深い人々によって、今も大切にまつられ、守られています。
このタベルナコロにもちゃんと花が飾られていますね。