現在の“ローマ街道”はアオスタの市街を外れるように走っていますが、
古代ローマ時代にはアオスタの市街の中心を東西に貫き、
そのままプレトリア門、アウグストゥスの凱旋門を通って、一直線に続いていました。
その名残がアウグストゥス門のすぐそばにある「Ponte Romano」です。
今は訪れる人も少ないこの橋ですが、
大昔にはローマとアオスタ以北を行き来する人でにぎわったのでしょう。
そして、きっとハンニバルもナポレオンもこの橋を渡ってローマへと向かったのでしょう。
そう思うと、橋の石畳から今にも足音が聞こえてきそうです。
めずらしいものや派手なものが好きな人には「何コレ?」という感じの場所かもしれませんが、
古代ローマ好き?の人には、おすすめの場所です。
塩野七生さんの本や「ロマエ・テルマエ」を読んだあとだと楽しいかもしれませんね。
プレトリア門からさらに東に進むと、現代のアオスタの市街地のはずれに、古い門がたっています。
この門がアウグストゥス門です。
紀元前25年(!)にたてられたこの門は、プレトリア門とは違って、
実用的なものではなく一種のモニュメント(いわゆる凱旋門)としての意味を持っています。
それにしても、2000年前にこのような山の中にこんなりっぱな門が建てられたこと、
そしてそれが今もほぼ完全に近い形で(外壁の装飾はなくなってしまったのかもしれませんが)
残されていることにビックリです。
町の側から見たアウグストゥス門です。
こうしてみると、ここがローマへと続く街道の一部だったことがよくわかります。
アオスタの町に駐留するためにやってきた古代ローマ軍の兵士たちは、
この門をどんな想いで見たのでしょうか。
古代ローマ時代から、アルプス以北への重要な拠点としてさかえていた町、アオスタ。
そのアオスタの古代ローマ時代の正面玄関に当たるのが、ここプレトリア門です。
古代ローマ時代の城壁は、ほぼ正方形に近い形でぐるりと当時のアオスタの町を取り囲んでいます。
門は二重構造になっていて、外側の門と内側の門のあいだには20mほどの幅があります。
わたしたちが訪れたときには、門は修復工事中で、同時に門のあいだの部分の発掘調査も行なわれていました。
門の中の様子です。リストランテやツーリスト・インフォメーションとして利用されています。
それにしても、2000年前の建築物ですから、古い建物を再利用するといっても、日本とはスケールが違います。
最後に一枚、修復前の様子です。門の脇に見張り台をかねた砦がたてられているのがわかります。
(この写真はアオスタ市のホームページからお借りしました)
古代ローマビジュアル大図鑑 (洋泉社MOOK) | |
クリエーター情報なし | |
洋泉社 |
Trattoria Artisti PamPam(トラットリア アーティスィ パムパム)
アオスタのメインストリート、E・アルベルト通りから、北に抜ける小さな路地があります。
緑のアーチが印象的なこの道の途中に、道の雰囲気にぴったりの個性的なトラットリアがありました。
名前の通り「Artistica」な看板が出ています。
入り口のドアを開けて中に入ろうとすると、鍵がかかっています。
仕方なく、わたしたちはドアの横にあるメニューを読みながら別の店にしようか考えていました。
すると、常連らしき男性がやってきて、
大きな声で「なんてこった!今日は休みだなんて聞いてないぞ」と叫ぶと、
わたしたちに「今日は休みだって聞いてるかい?」と話しかけてきました。
日本から来たわたしたちにそんなことわかるわけがないのに・・・、
と思いながら話しているうちに、中からオーナーが顔をのぞかせて、ようやく開店です。
店のつくりはごくふつうですが、壁のいたるところに絵が飾られています。
メニューは予想に反して典型的な郷土料理が中心です。まずはハウスワインから。
アンティパストは「Salumi Regionali」。
ヴァッレ・ダオスタの生ハムなどの盛り合わせです。
絶品だったのはラルド。口の中でとけてなくなる感じです。
プリモもこの地域の名物「Fonduta」。
チーズフォンデュのように、
温めて溶かしたフォンティーナチーズ(この地方の特産のチーズ)をパンにからめて食べます。
セコンドは「Polenta Grassa」。
ポレンタの上にフォンティーナチーズをのせてオーブンで焼いたものです。
プリモ、セコンドとフォンティーナチーズの2連発はちょっときつかったかも。
でもこの3品、ヴァッレ・ダオスタに来たら絶対にはずしてはいけない名物ばかりです。
お店のホームページはこちら
アオスタのメインストリートは、古代ローマ時代のガリア街道のあとです。
カエサルをはじめとして、ハンニバルやナポレオンも通った道です。
その歴史ある街道も、今ではリストランテやおみやげ物屋が立ち並び、
アオスタで一番にぎやかな通りになっています。
旧市街(古代ローマの城壁の中)に入ると、通りの名前は広場や四つ角を過ぎるたびに次々と変わります。
一番西がE.Aubert通り、そして上の写真のあたり、市庁舎のあるChanoux広場までがTillier通りです。
街の西側は新しく(といっても古代ローマ時代よりあとにという意味で)発展したのでしょうか、
比較的高級店が多く並んでいます。
イタリアの町はどこへ行ってもバルコニーがきれいな花で飾られています。
こういうところは北も南も関係ないんだなぁ、と思うと、なんだか少しほっとした気持ちになります。
Tillier通りを抜けると、大きな広場に出ます。ここがChanoux広場で、右手の大きな建物が市庁舎です。
市庁舎の前を過ぎ、さらに東へ向かいます。
ここからプレトリア門(正面の古い塔の脇の門です)までは、
建物の高さと道幅のプロポーションが少し変わるため、なんとなくゆったりした印象を受けます。
並んでいる店もぐっと庶民的になり、食料品店や雑貨屋が多くなります。
野菜の種の袋のパッケージが色鮮やかですね。
プレトリア門をくぐると、そこはもう城壁の外です。
古代ローマ時代には、プレトリア門とアウグストゥス門のあいだ、
ちょうどこのあたりに小さな露店がいくつか立っていたようです。
ヴァッレ・ダオスタはグラッパも名産の1つです。
通りにはその名も「Grapperia」というお店まで。でもよく見るとリモンチェッロなんかも置いてありますね。
正面に大きくアウグストゥス門が見えてきました。アオスタのメインストリートの一番東のはずれです。
それにしても一年中寒いアオスタで、大きなソフトクリームの看板・・・、売れるんでしょうか。
Hotel Europe(ホテル エウロパ)
アオスタのホテルは旧市街のほぼ中心、
市庁舎から徒歩1分、FSの駅からもバスターミナルからも徒歩5分と、
とても便利な場所にありました。
イタリアのホテルは星の数で判断してはいけないといいますが、
いちおう★4つ、安心していいだろうと思っていたのですが・・・。
予約のときから、メールを送っても、なかなか返事がきません。
でもそのときは「イタリアにありがちなことだから、まあいいかな」とさほど気にもとめていなかったのです。
部屋はいちおうジュニアスイート。ベッドルームにリビングと、2部屋です。
これで1泊100ユーロは安いかも、と思っていました。
リビングです。結局スーツケース置き場になっただけですが・・・。
ただこの部屋にはテラスがついていて、そこからの眺めはなかなかです。
晴れている日には、こんな風にピッコロ・サンベルナルド峠の方角がきれいに見えます。
何の問題もありませんでした。ここまでは。
さて、ここからが問題です。バスルームも、見た目はふつうです。
でも、お湯が出たり出なかったりするんです。
イタリアにありがちなお湯の温度が途中から下がるとかじゃないんです。
突然、ポタポタっとしかお湯が出なくなってしまうんです。★4つのくせに。
朝食ルームはふつうです。ここも朝は問題なかったんです。
特別豊富なメニューじゃありませんでしたが、殻つきナッツが置かれていたりして、それなりでした。
でも夜は、定食メニューしかないんです。それもレンジでチンしたような料理です。
で、あげくの果てにメニューにはドルチェ込みのように書かれているのにドルチェは別料金。
とどめは、ランドリーサービスです。
★4つなのにホテル内にランドリーサービスがない!
しかもその事をはっきり言わずに「できるよ」という返事。
そして戻ってきた時にはプレスがかかってない!
アイロンがけがじょうずにできないとお嫁にいけないと言われるイタリアなのに。
そして代金はなんと12ユーロ!チノパン1つでこの金額です。ありえないでしょ。
★5つのホテルでも5ユーロ以下でしょ、普通。しかもレシートなし。
レシート出さないのはイタリアじゃ法律違反じゃないの?(違っていたらゴメンナサイ)
というわけで、チェックアウトするとき、フロントでオーナーと大ゲンカしたのは言うまでもありません。
最後には「あんたはいったいいくら払いたいんだ!」と言われちゃいました。
結局235ユーロをカードで、12ユーロをキャッシュで払ってきましたけど。
さて、このホテル、あなたなら泊まりますか?
トリノからヴァッレ・ダオスタの州都、アオスタまではプルマンか列車の利用が一般的です。
ただプルマンは本数が少なく列車は直通がない、とどちらもイマイチ便利ではありません。
結局わたしたちが選んだのは列車での移動でした。
乗り換えは、キヴァッソ(Chivasso)という駅でするのが一番多いパターンです。
ここはいわゆるトリノの衛星都市です。
ここからは、超ローカル線の旅ですが、意外にも、駅で待っていたのは新型車両でした。
通勤用の車両なのでしょう。イタリアで初めて見かけたボックスシートじゃない座席です。
トリノから約2時間ほどでアオスタに到着です。いかにも冬は寒そうなところです。
アオスタ駅の外観です。こうしてみるといかにもイタリアの駅って感じがします。
古い旅行のガイドブックなどには、アオスタは終着駅と書かれていますが、
ここから先、Pre Saint Didierまで列車が走っています。
もっと早くに気づいていれば、スケジュールの立てかたも変わったのに…。
いろいろあって、ブログの更新をお休みしていましたが、心機一転、今日から再開です。
では、新年第一回らしく今日のテーマは「日の出」。イタリアで見た日の出の総まとめです。
まずはサン・ジミニャーノの日の出から。
トスカーナのなだらかな丘の向こうから街をオレンジ色に染めながら日がのぼってきます。
次はリミニの日の出です。静かな朝のビーチに面したアドリア海からのぼる太陽です。
これはドロミーティ、セルヴァ・イン・ガルデーナの夜明けです。
山に囲まれたこの場所では、太陽が顔をのぞかせるのは、空がすっかり明るくなってからです。
そして、湖をやわらかいピンク色に少しずつ変えながらのぼるカステルガンドルフォの朝日。
幻想的な日の出です。
最後はアオスタの日の出です。
太陽は左手の建物の影に隠れて直接見えませんが、東の空がまるで夕焼けのように真っ赤に染まっています。
というわけで、今年もよろしくお願いします。