Osteria La Compagnia del Ripa
ホテルに併設されているオステリアです。
地元ではそれなりの有名店らしく、少しおしゃれをしたグループのお客が多いように感じました。
メニューはフェッラーラの伝統料理が中心です。
まずはワインをオーダーします。
ハウスワインを頼むと、平べったいデキャンタといっしょに、
小さなバケツ風の器に入った殻つきピーナッツが出てきました。
アンティパスティは生ハム・サラミ・ラルドなどの盛り合わせです。
真ん中にのっているペーストがフェッラーラ風とのことです。
プリモはCappellacci di zucca al ragu(カボチャの詰め物をしたパスタのミートソース)。
代表的なフェッラーラの郷土料理です。
セコンドはポルチーニのバルサミコソースをかけたビステッカ。
そしてドルチェでおしまいです。
大きな地図で見る
フェッラーラは不思議な街です。
小さな街なのに、地域ごとに違う時代に開発されたためか、
1つ通りをへだてると全く違う顔を見せてくれることがあります。
最も歴史を感じさせてくれるのは、街の南にある“ビザンチンの野営地”と呼ばれている地区です。
くわしいことはよくわかりませんが、おそらくこの付近がフェッラーラ発祥の地なのでしょう。
この付近から、ヴォルテ通りにかけては、道幅は狭く、家々は密集していて、
ボローニャのポルティコの原型のような構造の建物も見ることができます。
少し北の地域、スキファノイア宮からドゥオーモにかけては、
また少し様子 が変わります。
道はやはり細く曲がりくねっていますが、
裕福な貴族の館らしきものがところどころに現れるようになります。
このエリアがフェッラーラで最も見どころの多い地域でしょう。
また、少しずつ緑も増えてきます。
中庭や庭園があるだけでなく、
窓辺を花で飾った家々が見られるようになってきます。
教会は、ドゥオーモのほかには
“必見”というものはありませんが
“見る価値のある”教会は数多くあります。
個人的なオススメは、エステンセ城のすぐそば、
レプッブリカ広場に面して立つ
サン・ジュリアーノ教会です。
教会というより礼拝堂といったほうがよいくらいの
小さな教会ですが、飾り気のない宝石箱のようで、
広場に腰かけて眺めていると、
なんともいえないホッとした気持ちになります。
サンタ・マリア・イン・ヴァド教会。
スキファノイア宮のそばにあります。
サン・パオロ教会。 街の中心近く、ドゥオーモから少し南へ行ったところにあります。
サン・ジュリアーノ教会。広場の角にひっそりと立っています。
ドゥオーモ方面からサヴォナローラ通りに入り、しばらく東へ歩くと、
右手に一見何の変哲もないけれど、まわりに比べてやけに大きなレンガ造りの建物が見えてきます。
ここは「ロメイの家」と呼ばれ、
ルクレツィア・ボルジアがフェッラーラでの大半をここで過ごしたことで知られています。
中に入ると、きれいに整備された中庭を取り囲むように数多くの部屋が並び、
2階には、回廊にもフレスコ画の一部が残っている場所があります。
その波乱に満ちた生涯でよく知られている
ルクレツィア・ボルジアですが、
この家では穏やかに瞑想にふけることが多かったといいます。
父や兄には政争の具として3度の政略結婚をさせられ、
巷ではさまざまなうわさを立てられながら、
40歳に満たない若さでなくなった彼女は、
どんなことを考えながらここで過ごしていたのでしょうか。
こちらはコルプス・ドミニ修道院。
ロメイの家からほど近い場所にあり、
彼女をはじめ、歴代のエステ一族の墓所があります。
残念ながら今回は内部を見学することは
できませんでした。
旧市街の南東には、エステ家の別荘として利用されていた
スキファノイア宮があります。
外観は決して派手ではない建物ですが、
見どころはこの中にたっぷりと詰まっています。
なんといっても
フェッラーラを統治していた貴族の別宮ですから、
壁といい天井といい、これでもかというくらいに
フェッラーラ風の装飾がされています。
エステンセ城と比べると、実用性より装飾性が優先されて、
彫刻類が多いような印象を受けます。
また、ややグロテスク風味が強いでしょうか。
一番の見どころは“12ヶ月の間”と呼ばれる大広間でしょう。
壁面全体にコスメ・トゥーラをはじめとした
フェッラーラ派の画家たちによって、
当時の信仰や祝祭の様子が独特の作風で描かれています。
中段には黄道十二宮のシンボルが描かれているそうです。
イタリアの人たちは今でも星占いが大好きですが、 このあたりにルーツがあるのかもしれませんね。
「4月」の一部。あざやかな色調に目を奪われます。
宮殿の裏手は庭(庭園でも中庭でもありません)になっています。
人工的な庭園でないところが、なんだか少しほっとさせられます。小さなバールもありました。
旅名人フ゛ックス57 ホ゛ローニャ/ハ゜ルマ/ホ゜ー川流域 第2版 (旅名人ブックス) 価格:¥ 1,890(税込) 発売日:2008-10-09 エミリアロマーニャ州の旅行には、この一冊があれば充分。 エミリア街道沿いの町々をていねいに紹介しています。 |
フェッラーラ旧市街の南を、東西に貫いている中世そのままの細い小道があります。
道幅は車一台がやっと通れるくらいの幅で、道の両側には石造りの家が立ち並び、
所々でフラインクバットレスを兼ねたアーチが道の上をまたいでいます。
この小道はヴォルテ通りと呼ばれ、フェッラーラで最も古い街並みが残る通りといわれています。
まるでタイムスリップしたように静かな通りに一歩足を踏み入れると、
馬車の通り過ぎる音が聞こえてくるかのようです。
家々の屋根には、ヴェネツィアの古い建物で見られるのと同じような煙突があります。
なんとなく中世の「普通の人々」のくらしがイメージできそうな気がしますね。
週刊ユネスコ世界遺産 No.33 (ラヴェンナの初期キリスト教建造物群(イタリア) ルネサンス都市フェッラーラとポー川のデルタ地帯) |
|
株式会社講談社 |
エルコレ1世通りとビアジオ・ロッセッティ通りの
交差点の角にある4つの建物のうちの1つは、
通称“ディアマンティ館”と呼ばれています。
名前の由来は見ての通りで、
建物の壁一面に四角すい状の装飾が
ほどこされているためです。
現在は美術館として転用されており、
フェッラーラ派の絵画などを見ることができます。
コの字形をした建物の内側には、簡素ですが整えられた中庭があります。
ディアマンティ館といえば、その外観のみがクローズアップされがちですが、
美術館とこの中庭はもっと知られていてもいいかもしれませんね。
イタリアの歓び―美の巡礼 北部編 (とんぼの本) | |
新潮社 |
Via borgo dei Leoni (エルコレ1世大通りの東側に並行して走る通りです)
エステンセ城から北に伸びる通りは、エルコレ1世大通りと呼ばれ、
15~16世紀に街が拡張されるのとあわせて整備された通りです。
この通り沿いには、パラッツォと呼ばれる大きな館が立ち並び、
有名なディアマンティ館もこの通り沿いにあります。
Palazzo Canonici Mattei
エルコレ1世大通りと
ビアジオ・ロッセッティ大通りの交差点は
特に4つの大きなパラッツォが立ち並び、
それぞれが際立った個性を見せています。
6 地球の歩き方 By Train イタリア鉄道の旅 (地球の歩き方BY TRAIN) |
|
ダイヤモンド社 |
“空中庭園”からは、4つある塔のうち、
大時計のある塔を間近に見上げることができます。
こうやってあらためて見ると、なかなか堂々とした構えです。
見学順路は、庭園から再び屋内に戻っていきます。
ここからは、先ほどまでとはうって変わって
豪華絢爛な部屋が続きます。
Sala dell'Aurora(暁の部屋)は天井画が見ものです。
La Cappella Ducale(君主の礼拝堂)の天井画も見事です。
La Torre di San Paolo(サン・パオロの塔)の内装です。いかにもフェッラーラ風です。
天井もシンプルですが、
細部にまで計算しつくされた装飾がほどこされています。
個人的には、この部屋が一番好きですね。
La Sala del Governo(政務室)の天井もまた、
見事なフェッラーラ風の細密画で飾られています。
エステンセ城は、たいした下調べもせず、
なんとなく訪れてしまったのですが、
一階と二階の対比といい、独特の画風による装飾といい、
フェッラーラでここだけははずせない見どころのひとつでした。
エステンセ城のホームページはこちら
http://www.castelloestense.it/ita/
四方を堀に囲まれたエステンセ城へは、かっての跳ね橋を渡っていきます。
橋を渡ると中庭があり、その一角に城内への入り口があります。
中に入るとまず目を引くのが大きな全景の木製模型です。
精巧さはイマイチですが、雰囲気はよく伝わってきます。
模型のある部屋を過ぎると、薄暗い通路を通って城の地下へと見学順路は続きます。
地下では、武器貯蔵庫や牢獄などを見ることができます。写真は牢獄の入り口です。
見学の順路は再び上の階に戻っていきます。
途中はやはり薄暗い廊下ですが、ところどころに写真のような窓があり、外の様子をうかがうことができます。
廊下をさらに進んでいくと、なんと“空中庭園”に出ることができます。
“庭園”には大きなレモンの木が植えられています。
“庭園” からの眺め
さて、今度はドゥオーモの中を見てみましょう。ファサードの入り口をくぐると、あれ?
またファサードが。身廊の手前に前室がある、
今までに 見たことのないつくりの教会です。
正面入り口の階段両脇には、通りに面したファサードと同じようにライオンの彫刻が通る人々を見張っています。
ちなみに、この前室から2階に上がると美術館があって、コスメ・トゥーラの絵などが展示されているそうです。
知っていたら2階にも行ったのに・・・。
中に入ると、重厚な雰囲気の装飾が目を引きます。
バロック的な派手さはありません。
ヴォールト天井や後陣のあたりは
どことなくゴシック風ですが、柱などの細部には、
ルネサンス期に発達したフェッラーラ独特の装飾が
ほどこされています。
古代ローマからビザンチンにかけての歴史を持たず、
エステ家の本拠地として独特の発展をしてきた都市、
フェラーラ。ドゥオーモもその象徴にふさわしく、
他のどのドゥオーモとも様式の異なる、
斬新で美しい建物でした。
フェッラーラのドゥオーモは、他の多くのドゥオーモがそうであるように、フェッラーラの街の中心にあります。
ファサードは、ロマネスク?ルネサンス?ゴシック?
すべてが混ざり合っているようで、
シロウトには判別不可能な独特の様式です。
「イマイチ好きじゃないなぁ・・・」というのが
第一印象でした。しかし、じっくり眺めていると、
シンプルながら細部まで凝ったデザインと、
リズミカルなアーチの連続にいつの間にか
ひきつけられていく不思議な魅力があります。
また、側面にまわってみると、またまた不思議な風景が…。
なんと、アーチの下が商店街になっています。
ちょっと見たところあまり違和感がないのが、
かえってシュールです。
近くで見ると…。
確かにお店が並んでいます。
鐘楼は、ファサードと同じ薄いピンクと白の大理石の
横縞模様が印象的で、 全体の雰囲気は、
フィレンツェのサンタ・マリア・デル・フィオーレの
“ジョットの鐘楼”に少し似ています。
さて、外観の紹介はこれくらいにして、
ファサードに戻り、内部の見学をしてみましょう。
実は、ファサードの扉を開けると、
そこにも他のイタリアのドゥオーモでは
見ることのできないしかけがあるのです…。