メラーノの街の中心には、パッシリオ川が流れ、川に沿っていくつもの遊歩道が設けられています。
まずはテアトロ橋からポスタ橋までを歩いてみましょう。
要するに、川沿いに街の中心をぶらぶらするということですね。
川に面して、たくさんのベンチが置かれています。みな思い思いに自分の時間を楽しんでいるようです。
温泉地だけあって(川の向こう岸が、大きな湯治センターになっています)、心なしか年配の方が多い気がします。
スーツを着た人など、どこにも見あたりません。「Passeggiata(散歩)」の人ばかりですね。
道も広々として、ちょっとした広場のようです。
道の右手には、ホテルやバールが並び、昼からビールやワインのグラスを傾けている人もいます。
おなかもいっぱいになって、ちょっといい気分の私たちは、メラーノの街を散歩することにしました。
まずは旧市街の中心、ポルティチ通り(Via dei Portici)から。
アルト・アディジェでは、どこの街にもこのようなポルティコ(柱廊)が続く通りがありますが、
ボローニャやパドヴァなどのそれとは異なり、冬の積雪対策としての役割があったようです。
ご覧のように、どこまでもポルティコが続いています。
ただ、ボローニャとはちがって街並みそのものは、それほど古くはありません。
でも、建物をあちらこちらまでよく見ると、こんなさりげない装飾がされていたりします。
そして、こんなところにもさりげなく水道が…とおもったら、受け皿の下には「1994」の文字が。
やっぱり、保養地として脚光を浴びるようになってから、あちこち整備したんだろうなぁ、
と思いながらも、第2次世界大戦で被害をこうむっていなかったらどんな街だったんだろう、
とも考えてしまいました。
当時の面影は、こんな風に街の中にさりげなく残っていました。
ボルツァーノからのプルマンは、メラーノの街でいくつかの停留所に止まりますが、
もっとも便利なのがジャコモ・プッチーニ劇場前の停留所でしょう。
私たちもここでバスを降りて街歩きを始めることにしました。
劇場のある交差点から北へ向かう道は、歩行者天国のようになっていて、たくさんの露店が出ています。
写真右の建物がホテルヨーロッパ、この右手前に劇場があります。
北へ向かう道へ入ると、ご覧のような混雑ぶりです。さすが保養地メラーノですね。
日曜日とはいえ、街中にこんなに人が歩いています。
しばらく歩くと広場に出ます。
名前は「グランデ広場(Piazza del Grande)ですが、ちっともグランデじゃありません。
ここに何台かのBratwurst(ドイツ風焼ソーセージ)の屋台が出ていたので、お昼はそこで食べることにしました。
この屋台の「カリーブルスト」という文字に惹かれてふらふらと…。イタリアでカレーソーセージって?
結局オーダーしたのはこの3つ。右がチューリンガー、左がチョリソーで、真ん中奥がカリーブルストです。
正体はフランクフルターにカレーソースをかけたものでした。そしてソーセージにはやっぱりビール。
イタリアでは、せっかくだからその地方の一番「らしい」ものを、と考えて、
ファーストフードなどはできるだけ利用しないようにしてきた私たちですが、
なんだかこういう食事もたまにはいいものですね。
ボルツァーノのバスターミナルは、旧市街の西のはずれ、鉄道駅からもそう遠くないところにあります。
中は閑散としていますが、意外に明るく近代的です。
ここで南チロルの各地やドロミーティへのプルマンが発着します。
それにしてもこんなに広い建物が必要だったんでしょうか。
それぞれのホームには電光掲示板があって、行き先と発車時刻がわかるようになっています。
市内を走る路線バスもここから発着しているようです。
私たちはバスを利用してメラーノへと向かうことにしました。
北イタリアですから、南のようなことはないと思っていたのですが…。
いくら待ってもプルマンはやってきません。そのうちに掲示も消えてしまいました。
たまたま居合わせたおばさんたちも「どういうこと?」と大きな声で話しています。
20分ほどたって、何事もなかったかのようにプルマンがやってきました。
運転手はバスから降りると、タバコに火をつけゆっくりと一服。
行き先表示ににドイツ語表記が併用されていても、ここはやっぱりイタリアなんだなぁ、と実感した瞬間でした。
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コッラルボの駅から30分ほど歩いたところに、まるでカッパドキアのような場所があると聞いて、
私たちはそこまで足を伸ばすことにしました。(写真左隅に少しだけ写っているのがわかるでしょうか。)
ピラミデを間近で見ることのできる展望台までは、このような木立の中の道を歩いて行きます。
木々のあいだからドロミーティの山々を眺めながらのんびりと歩きます。
アップダウンもあるので、軽い運動にもなって、とても気持ちのいい道です。
近づくにつれて、ピラミデが少しずつ見えてきました。
スケールはぜんぜん違いますが、やっぱりカッパドキアに雰囲気が似ています。
石灰岩の地層を雨などが浸食して、硬い石があったところだけがそのまま残ったのでしょう。
どのピラミデのてっぺんにも石がのっているのが見えます。
遊歩道の途中には展望台があります。
ここからは、ピラミデとドロミーティの両方の眺めを楽しむことができます。
さっきよりはっきりとピラミデを眺めることができます。
サンタンドレア教会のむこうにサッソ・ルンゴが見えます。まるで旅行会社のパンフレットのような眺めです。
ピラミデのある谷を越えると、ごらんのような風景が広がっています。
なんともいえないほがらかな気分になれる場所です。
本当なら、一日中ここでのんびりしながらお弁当でも食べたいところなのですが、
残念ながらこの日のホテルはヴァル・ガルデーナに予約済。
私たちはなごりを惜しみながらコッラルボの駅へと戻ったのでした。
コッラルボの駅から離れるにしたがって、家並みはまばらになり、
のどかな牧草地があちこちに見られるようになります。
斜面の東には、ドロミーティの山々が見渡せます。
この写真からはよくわかりませんが、北はサッソルンゴから南はカティナッチョまでの大パノラマです。
牧草地には牛が放牧されています。まるで「Milkaチョコレート」のパッケージのような風景です。
牛たちは、のんびりと草を食べたり、横になったり、思い思いにゆったりと過ごしています。
この牛たちは夜になったらどこに帰るのでしょうか?
ロッジ風の建物には、きれいに花が飾られています。
一年中(といっても冬は別でしょうけど)花を絶やさないようにしていくのは大変なのでしょうね。
ドロミーティの山々を背景に広がる牧草地と点在する家々、そして鐘楼が印象的な教会。
息をのむような絶景、というわけではありませんが、ずっと眺めていたい風景です。
レノン鉄道(ドイツ語ではリットナー鉄道)はアッスンタ~コッラルボを走る小さな鉄道です。
写真のようなレトロな電車が走っていることや、家や木々のあいだを縫うように走るところなど、
日本の銚子電鉄にとてもよく似ています。
ソプラボルツァーノの駅です。まだ新しい駅舎はどことなく“おとぎの国”風です。
この駅がツーリストインフォメーションを兼ねています。
車両の中はこんな感じです。レトロな感じはそのままに、きれいに改装されています。
私たちはコッラルボまでこの列車に乗っていくことにしました。
列車が走り出すころには、曇っていた空もすっかり晴れ渡り、
車窓からは遠くドロミーティのシラー山塊が木々のあいだから見え隠れします。
途中にはこんな小さな駅も。まるでCMに出てくる田舎のバス停です。
15分ほどでコッラルボの駅に到着です。やはりこの駅も全体が薄いピンクで塗られています。
構内にはカフェ(バールって言うよりカフェって言うほうがしっくりくる感じでした)や
スーベリアショップもあります。
駅の入り口ではこんなヤギがお出迎え(お見送り?)です。
レノン鉄道の情報はコチラ
ボルツァーノの北東の高原一帯は「ソプラボルツァーノ」と呼ばれ、
素朴ながらもちょっとした避暑地になっています。
ソプラボルツァーノへ行くには、
FSの駅から線路沿いの道を北東に進んだ街はずれにあるFuniva(ロープウェイ)を利用します。
Funivia乗り場は最近改装されたばかりで、ボルツァーノの街の雰囲気とはかなり違和感があります。
街はずれだから気にならないんでしょうね。
ゴンドラはかなり大型で、こんなに乗る人がいるの?と思ったのですが、
観光用と通勤・通学用を兼ねているそうです。
見る見るうちにボルツァーノの街並みが小さくなっていきます。
でもこうしてみると市街地が意外に広いのにびっくりします。
眼下に目を移すと、斜面のあちこちに牧草地が広がっていて、牛が放牧されているのが見えます。
頂上にあるレノン駅です。すぐそばにレノン鉄道のソプラボルツァーノ駅があって、
コッラルボ方面へのアクセスも便利です。
Funiviaのレノン駅には、地元の子どもたちが書いたと思われる絵が何十枚も貼ってありました。
観光地だけど生活の匂いもする、そんな感じのロープウェイです。
レノンへのFuniviaの情報はこちら
南チロル地方は、歴史的にドイツ語圏の影響を強くうけているため、ワインだけではなくビールも有名です。
そこで、ボルツァーノで一番有名なビアパブに行ってみました。
Hopfen & Co.(ホッフェン&コー)
地元のビールメーカー「BOZNER BIER」の店です。
一階はカウンターが中心で、私たちが案内されたのは中二階のような場所でした。
店内にはこんならせん階段がありました。この階段の上にまだテーブル席があります。
ピルスナービールだと思いますが、かなり濃い色です。
本当は「ラードラー」と呼ばれるレモネード割りにもチャレンジしたかったのですが、この日は品切れとのこと。
おつまみは右奥が「Salsicce di Norimberga alla Brace(ノリンベルガソーセージの炭火焼)」、
左奥が「Wurstel Bianchi(ポークウィンナー)」、手前はウィンナー用のソースとプレッツェルです。ところでSalsiccaとWURSTELって、どういう基準で区別されているんでしょうか?
夏には外のテラス席でビールを楽しむこともできそうです。秋冬は寒くて無理みたいですけど。
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こうしてボルツァーノの夜はふけていきます。