イタリア通りを上りきったところ、グランデ通りへと通じる道との四つ辻の一角に、
サンタ・マリア・デッラ・ピエーヴェ教会があります。
ロマネスクのファサードが印象的です。
よく見ると、柱の一本一本に違ったデザインがほどこされています。
どこかルッカのドゥオーモを連想させます。
天井が高いので、内部はガランとして広い印象を受けます。
主祭壇の下にはクリプタがあり、全体的におごそかな雰囲気の教会の中でも、
いっそう神秘的な雰囲気をかもしだしています。
主祭壇から見たファサードの裏側です。窓から差し込む光が幻想的です。
サン・フランチェスコ広場から北に少し歩くと、小さな広場に出ます。
この広場に面して立っているのが、サンティッシマ・フローラ・エ・ルチッラ教会です。
ファサードは改装されたのでしょう、入り口の上にバラ窓の名残りがあります。
正面扉は、改装しようとして途中でやめてしまったみたいですね。
中は意外と広く、側廊もついています。
教会の名前のもとになっているフローラとルチッラの祭壇画は、
ジョルジョ・ヴァザーリによるものだそうです。
そして、こんなところにもだまし絵のクーボラが。
なんと、ローマのサンティニャツィオ教会のクーボラと同じアンドレア・ボッツォの手によるものだそうです。
でも、外から見たところ、ちゃんとクーボラはあるんですが…。
この「十字架上のキリスト」は、ボナベントゥーラの作だそうです。
同じ時代のチマブーエやジオットと作風が似ていますね。
予備知識もなく、ふらっと入った教会ですが、意外と見どころたっぷりでした。
Caffe dei Costanti
フランチェスコ広場に面した一等地にあるカフェです。
映画「ライフ・イズ・ビューティフル」には「犬とユダヤ人お断り」の店として登場していましたね。
(実際はそんなことはありませんが)
店の中もなかなか魅力的な雰囲気ですが、
ここはやはりテラス席でサン・フランチェスコ教会を眺めながらひと休みです。
平日の昼間だというのに、カクテルを飲んでいる人が目立ちます。みんな観光客なのかな?
オーダーしたのは、お店の名前が付いたパフェと、イチゴのジェラート。
たまにはこういうのもいいですね。
Osteria Il Grottino(オステリア・イル・グロッティーノ)
サン・フランチェスコ教会の裏手にあるオステリアです。
「小さな洞窟」という店の名前通りにこじんまりとしたお店で、席数は20席ほどでしょうか。
もっとも、教会の裏手にもテラス席を広げているので、実際にはもう少し入りますが。
アンティパストは「Taglire Legiozione」。アレッツォの伝統的なアンティパストの盛り合わせです。
ブルスケッタが出てくると、「あー、トスカーナだ」という気分になります。
プリモは、チンギアーレ(イノシシ)のラグーのパッパルデッレ。
チンギアーレもまた、トスカーナならではの味です。
セコンドは「子豚のステーキ・リンゴのソース」なんですが、
写真がピンボケなので、これではどんな料理なのかよくわかりませんね。
エスプレッソのカップは、お店の雰囲気とはちょっと違和感のあるかわいいデザインです。
裏通りにある地味なお店ですが、伝統的なトスカーナ料理にちょっとアレンジを加えた味が楽しめる、
なかなかいいオステリアだと思います。
アレッツォのメインストリート、イタリア大通りのゆるやかな坂道を半分ほどのぼったあたりに、
小さな広場があります。その広場に面して立っているのが、サン・ミケーレ教会です。
ロマネスクのようなゴシックのような様式は、
ちょうど過渡期に改築されたことと関係があるのでしょうか。
祭壇画はネーリ・ディ・ビッチの作によるもので、地味ですが一見の価値があります。
バラ窓の裏側のステンドガラスには、天秤を持つ大天使ミケーレの姿が。
大天使ミケーレといえば、剣を持っている姿が有名ですが、
最後の審判のときに死者の魂を天秤ではかり、天国行きか地獄行きかを決めるのも、ミケーレの役割なんだそうです。
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美術ファンにとって、アレッツォで一番の見どころといえば、ここサン・フランチェスコ教会でしょう。
主祭壇の後陣を飾るフレスコ画「聖十字架伝説(La Leggenda della Vera Croce)」は
ピエロ・デッラ・フランチェスカの手によるもので、ルネサンス絵画の中でも重要な作品のひとつです。
教会は同名の広場に面していて、
斜め向かいには映画「ライフ・イズ・ビューティフル」に登場するカフェもあります。
ファサードは未完成で、石積みがむき出しのままですが、不思議と広場の他の建物と調和しています。
内部のようすです。
バシリカ様式のシンプルな作りで、建てられた当時のフレスコ画は部分的にしか残っていませんが、
主祭壇の後ろだけは、ほぼ完全な形でフレスコ画が残っています。
この一連のフレスコ画が「聖十字架伝説」です。
ちなみに、聖堂内に入場するには、事前に予約してチケットを購入する必要があります。
チケットは、教会のホームページで購入することができます。
ホームページはこちら
http://www.pierodellafrancesca-ticketoffice.it/
間近で見るピエロの絵は、淡々としていながらも、どこかひきつけられるものがあります。
美術館ではなく、教会の一部として見ることができるからかもしれません。
それはさておき、このピエロ・デッラ・フランチェスカという人の絵は、
「淡々と」という言葉がぴったりくる作品が多いと感じるのは、私だけでしょうか。
Graziella Patio Hotel
アレッツォ旧市街のほぼ中心にあり、サン・フランチェスコ教会からも、
メインストリートのコルソ・イタリアからもほど近いホテルです。
建物の1階奥にレセプションがあり、客室は上の階にあります。
エレベーターがないので、大きなスーツケースのある人や、年配の方には少し不便かもしれません。
部屋はひとつひとつ間取りもデザインも異なっています。
私たちが泊まった部屋はメゾネットタイプで、ドアを開けるとすぐクローゼットと小さなテーブルがあり、
階段を降りるとベッドとバスルームがあります。
メゾネットタイプの部屋は、使い勝手がよくないことが多いのですが、
ここではそれほど不便は感じませんでした。
ただ、ホテルのホームページで、すべての部屋を見ることができるので、
このホテルを予約する場合には、ホームページから直接部屋を指定して予約するのがいいかもしれません。
ホテルのホームページはこちら
http://www.hotelpatio.it//ita/home.html
アレッツォは、小さいながらも古い歴史のある町です。
他のトスカーナの町と同じようにルネサンス期に特に発展し、
現在も使われている音階を考案したグイド・モナコ(上の写真の彫像がそう)や、
画家で著述家としても有名なジョルジョ・ヴァザーリ、詩人のペトラルカなどがこの町の出身です。
坂が多く、中世の街並みが残る旧市街とは対照的に、新市街は広く直線的な道と並木が印象的です。
この道は、新市街と旧市街をつなぐ道、その名も「グイド・モナコ通り」です。
道の先にFSの駅が見えています。
この道の見通しがよい理由は、まっすぐな道だからだけではなく、途中から坂道になっているからなんです。
この坂道を登り切ったあたりが、旧市街です。
フィレンツェからアレッツォまではRegionale Veloce(日本語にすると「快速」?)で1時間とちょっと。
最近のRegionaleには、こんな風に荷物置き場もあって、なかなか快適です。
アレッツォの駅は、典型的なイタリアのFSの駅といったたたずまいです。
新型車両が2台なかよく並んで止まっています。
駅前は何もなく、殺風景といえなくもありません。
そんな中、目を引いたのが、この「LA VITA �・ BELLA」の看板。
アレッツォは、映画「ライフ・イズ・ビューティフル」で主人公の家族が暮らしていた町です。
ロベルト・ベニーニが自転車でアレッツォの坂道をグランデ広場まで駆け下るシーンが印象的ですよね。
というわけで、アレッツォの町をしばらく散策してみたいと思います。
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アレッツォを舞台に描かれる主人公グイドの明るい生き方と やがて訪れる戦争による悲劇。それでも「人生は美しい」。 ロベルト・ベニーニの名作です。 |
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