夜になると、ローマはまた違った表情を見せてくれます。
ナヴォーナ広場も、その美しさをいっそうましているようです。
ムーア人の噴水も、ほのかにライトアップされています。
思っていたより人は少なく、以前のような危険な雰囲気もあまり感じません。
四大河の噴水も、まるでパンフレットのグラビアのようです。
水の色がなんともいえない雰囲気をかもしだしていますよね。
サンタニェーゼ・イン・アゴーネ教会をバックに四大河の噴水を撮りたかったのですが、
人が多くてこんな感じになってしまいました。でも、ローマの夜の雰囲気は伝わるかな。
こちらはおまけ。ナヴォーナ広場近くにある「本の泉」です。
ファシスト政権のころに作られたものだそうですが、
作られた経緯はさておき、デザインはちょっとおもしろいですよね。
Antonio al Pantheon dal 1934(アントニオ・アル・パンテオン)
名前の通り、パンテオンの近くにあるアントニオさんの店です。
お店の名前の最後に「dal 1934」とつくことからわかるように、もう80年近く続いているお店です。
ワインはビミョウにリッチな「ロッソ・ディ・モンタルチーノ」。
ラツィオの赤ワインが思い浮かばなかったからです。
アンティパストはカットして、プリモはスパゲッティ・アラ・ロザーナ。
ローズマリーの効いたシンプルなトマトソースです。
セコンドは「アバッキオ」。ローマの郷土料理の一つで、要は子羊のグリルです。
コントルノがイタリアっぽくないですね。
やっぱり最後はエスプレッソですね。
最後にお店の写真を一枚。中央に立っているのは今のオーナーです。
彼の人柄が伝わってくるような家庭的であたたかいお店でした。
お店のホームページはこちら
http://www.ristoranteantonioalpantheon.it/
お亡くなりになった方もいるとのことです。
また、フェッラーラではエステンセ城などにも被害が出ているとのこと。ボローニャ・フェッラーラ・モデナなどの町々は、訪れたこともあるだけに胸が痛みます。
同じ地震国に住むものとして、お亡くなりになった方に哀悼の意を表するとともに、被害にあわれた方々の生活が一日も早く平和なものになりますよう、お祈り申し上げます。
イタリア北部地震の死者7人に、1万1000人が避難
日本の復興も、まだまだこれからですよね。
トッレ・アルジェンティーナから、ヴィットリオ・エマヌエレ2世大通りを東へ進むと、大きな教会につきあたります。
この教会が、イエズス会の総本山であるジェズ教会です。
内部は、他のイエズス会の教会と同じように、それはもう、きらびやかです。
天国がいかにすばらしいところなのかを示そうとしているのでしょうか。
教会の中に入ってすぐ、上を見上げると、バロック的技巧の凝らされた天井画が訪れる人を圧倒します。
クーポラから内陣、そして翼廊の天井もフレスコ画で埋めつくされています。
特にクーポラの天井画は、窓から差し込む光のためか、見ているうちにすいこまれてしまいそうな感じです。
これはフランシスコ・ザビエル(イタリア語だとFracesco Saverio)の聖遺物入れです。
ザビエルの遺骸は、アジアを中心として世界中に少しずつ分散して残されており、
ここにあるのは右腕の肘から下だけだそうです。(ちなみに日本にもあります)
教会の中には、豪華な礼拝堂がいくつも並んでいます。
中でもきわだって豪華なのは、ザビエルの聖遺物の向かい側にあるイグナチウス・ロヨラの礼拝堂です。
どれくらい豪華なのかは、教会のホームページで、ぜひ見てください。
教会のホームページはこちら
http://www.chiesadelgesu.org/
パンテオンの脇を南へ少し下ると、狭い通りから急に視界が開ける場所に出ます。
そこがトッレ・アルジェンティーナ広場(Largo di Torre Argentina)です。
この広場に面して、古代ローマの神殿の遺構があります。
Area Sacra(アレア・サクラ=聖なる区域)と呼ばれるこの遺跡は、
ちょうどパンテオンの建てられている土地と同じくらいの高さにあり、
通りを歩きながらその様子をながめることができます。
現代では、この場所は、聖域は聖域でも「ネコの聖域」になっています。
ローマでは、ネコは人間と同じようにローマ市民権を持ち、ノラネコであってもその権利?が尊重されているのです。
というわけで、ここでは何十匹というネコたちがネコらしく自由気ままに暮らしています。
ローマには、このような「ネコの聖域」が何ヶ所かあり、それぞれボランティア団体が管理・運営しています。
運営のための費用は、ここを訪れる人が買って帰るネコグッズの代金や寄付によってまかなわれています。
写真のカレンダーは、フィウミチーノ空港でも買うことができますね。
また、この写真、よくみると、植木鉢に沿って等間隔でネコが丸くなっていますよ・・・。
「猫の聖域」のホームページはこちら(グッズの購入や寄付もできます)
http://www.romancats.com/index_eng.php
今日はローマのネコたちを紹介しましょう。
「ネコの聖域」にやってきたばかりのネコは、健康診断を受けて、悪いところがあれば、治療を受けることもあります。
このネコはもうかなりベテランのようです。カメラを向けると、ポーズを決めてくれました。
なれてくれば、ほら、この通り。人通りの激しいところでも2匹なかよく寝ています。
ローマでは、昔からネコと人がともに暮らしてきました。
「S.P.Q.R」の誇りは、ネコたちにも受け継がれているようですね。
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イタリアの猫 |
岩合光昭さんの写真集です。 | |
新潮社 |
サンティニャツィオ教会って聞いたことないなあ、という人が多いのでは?
旅行のガイドブックにもあまりのっていませんよね。
この教会、実はイエズス会の創立者のひとりである「イグナチウス・ロヨラ」をいただく教会なんです。
フランシスコ・ザビエルはこの人の命をうけて日本にやってきたんですね。
「Ignazio」はカタカナ書きにすると「イニャツィオ」なんです。
ここでも、他のイエズス会の教会の例にもれず、豪華な装飾が見られます。
わたしたちが訪れたときには、ちょうどミサが行なわれていました。
灯りがともされた堂内はいっそう美しくみえますね。
そして、この教会のもうひとつの見どころは、このクーポラなんです。
一見すると、少し地味ですが普通のクーポラに見えますよね。
でも実は、この教会にはクーポラがないんです。
いろんな事情があって、クーポラをかけることができなかったんですね。
そこで、天井にクーポラのだまし絵が描いてあるというわけなんです。
それにしても、よく考えついたものですね、このアイディア。しかもなかなかよくできています。
でも、真下に行くと塔頂部の絵が円の中心にないのでばれちゃいますけど…。
パンテオンの東南の方角に、中央にユニークなオベリスクが立っている長方形の広場があります。
この広場はミネルバ広場(Piazza di Minerva)と呼ばれ、かってはこの広場の前にミネルバの神殿がありました。
オベリスクのアイディアはベルニーニによるもので、弟子の手によりこのような象の彫刻が作られました。
ミネルバ神殿のあったあとには、写真のような教会が建てられました。
これがサンタ・マリア・ソプラ・ミネルバ教会です。
“sopra”とは「~の上に」という意味で、
ミネルバ神殿のあった上に建てられた聖母マリアの教会、という意味ですね。
教会の中は、シンプルな外観からは想像できないほど見事な装飾がされています。
天井は交差ヴォールトで、
アッシジのフランチェスコ教会や、パドヴァのスクロヴェーニ礼拝堂のような美しい青色です。
見てください、この上にのびる感じ。ローマでは他に記憶のないゴシック様式です。
後陣にはステンドグラスもしっかりあります。
教会の内部はまるで美術館のように芸術的な装飾であふれています。
主祭壇左側の彫刻は、ミケランジェロによるキリスト像です。
側廊の右手、一番奥の礼拝堂は、フィリッピーノ・リッピがフレスコ画をすべての壁面に描いています。
これは「受胎告知の礼拝堂」です。
まだまだ紹介したいものがたくさんあるのですが、残念ながら写真がありません。
ただ、バロックで埋め尽くされているローマの中にいると、とても新鮮な気持ちになれる教会ですよ。
サピエンツァ宮の中庭に面した一部にあるのがサンティーボ・アッラ・サピエンツァ教会です。
ボッロミーニのデザインによるこの教会は、いかにもバロックですが同時にとても独創的です。
ファサードの下部はサピエンツァ宮と一体となっていて、ゆるやかな凹面を描いています。
それと対照的に上部は凸面を描き、クーポラの上には螺旋階段のように非対称な塔頂部を持っています。
内部の見学ができなかったので、帰ろうとしていると、
「あなたたちGiapponeseでしょ」と声をかけられました。
サピエンツァ宮の一階で、「平和」をテーマにした広島の小学生の絵などが展示されていたのです。
わざわざ声をかけてくれたので、ていねいにお礼を言って見てまわりました。
外からみた教会の上部です。陣内秀信さんの本で見て以来、一度は来てみようと思っていたのですが、
やっと願いがかないました。でも、できれば中も見てみたかった…。
ナヴォーナ広場から少し北歩くと、フィレンツェのサンタ・マリア・ノヴェッラ教会を思い起こさせる、
典型的なルネサンス様式の教会があります。これがサンタゴスティーノ教会です。
教会の中は、ファサードのバラ窓から差し込む光以外は、
最小限のライティングにとどめられていて、ほの暗く感じます。
祭壇ではクーポラから降り注ぐ光が彫像を照らし、劇的な効果を演出しています。
身廊と側廊をへだてる柱の一つには、ラファエッロが描いた「預言者イザヤ」があります。
側廊は、天井の落ち着いた青色が印象的です。
こちらは扉近くの礼拝堂にあるカラバッジョの「巡礼の聖母」です。
カラバッジョの絵は、教会のような場所にあってこそ、その輝きが増すような気がします。
静かな通りに面していて、大きな広場も持たず、目立たない教会ですが、
いったん中に入ってみると見どころいっぱいのサンタゴスティーノ教会でした。