Hotel Seagull(ホテル シーガル)
ヴェンティミリアの旧市街のふもと、建設中の新しいマリーナに面した海沿いのホテルです。
部屋はシンプルですが、清潔で明るく、必要なものは一通りそろっています。
海に面した側は、窓が大きくとられていて、小さなバルコニーに出ることができます。
バルコニーはこんな感じです。ゆったりしているとは言えませんが、海からの風がここちよく感じられます。
これでマリーナが完成すれば、バルコニーから見る景色もリゾートらしくなるでしょう。
コストパフォーマンスを考えると、かなりレベルの高いホテルかもしれません。
何もしないで、ぼんやり1日を過ごすのに、この町とこのホテルはうってつけです。
あっという間のジェノヴァ滞在を終えて、私たちが次に向かうのは、フランスとの国境の町、ヴェンティミリア。
ジェノヴァの駅はホテルの目と鼻の先。
朝もそんなに早起きする必要ないかな、と油断していたら、
チェックアウトするころには列車の発車時刻の5分前になっていました。
「家の近い人ほど遅刻する」とはよく言ったものです。
駅構内も、列車の写真も撮ることなく、全速力で列車に乗り込みます。
この時ばかりは定刻通りに発車しないイタリアの鉄道に感謝です。
ヴェンティミリアまではインターシティで2時間とちょっと。
列車が発車してからしばらくは、リグーリアの海岸の風景を楽しんでいた私たちですが、
列車がインペリアの町に近づくころからついウトウト…。
インターシティとはいえ、イタリアの列車の中で居眠りをしてしまうなんて、危ない危ない。
そうこうするうちに、列車はヴェンティミリアに到着です。
ヴェンティミリアの駅は、こじんまりとしていて、街のサイズによくフィットしています。
さあ、とりあえず荷物を預けに、予約してある海辺のホテルへと向かいます。
I Tre Merli Porto Antico
ジェノヴァの夕食は、ジェノヴァでは知らない人のいない有名店が
Porto anticoに出している支店で食べることにしました。
目の前には港の風景が広がり、ロケーションは抜群です。
せっかくなので、ジェノヴァ料理の定番メニューをいただくことにします。
アンティパストは当然カッポン・マーグロ。ジェノヴァに来たらこれを食べないと、というくらいの定番です。
ところが、出てきたのはこれ。ツアーのコースメニューで出てきそうな貧弱さです。
味のほうは、まあこんなものかな、という感じ。感動がありません。
プリモもやっぱ定番、満を持してのトロフィエ・アル・ジェノヴェーゼ。
これもやっぱりまずくはないんですが、別に日本でも食べられるかな?という程度。
セコンドはストッカフィッソ。ジェノヴァではどこに行っても食べることができる名物です。
味のほうは、これもやっぱり不合格じゃないけど、感動はありません。
ガリバルディ通りの本店に行けば、また違ったのかもしれませんが、なんとなくモヤモヤの残る食事でした。
旧港(Porto Antico)は、その名の通り、かってジェノヴァの海の玄関口だった場所です。
ジェノヴァ港が拡張されていくにつれて、旧港は次第にさびれていきましたが、
1992年に海洋博が開かれた際に再開発され、ジェノヴァの新たな観光スポットになっています。
大航海時代の船を再現したような展示物?です。中も見学できるようです。
水族館もあります。ヨーロッパ最大級の水族館だそうですが、
日本の水族館を見慣れた人にとっては「まあ普通」とのこと。時間があったら寄ってみたかったのですが…。
海岸通りのプロムナードは、気持ちの良い散歩道ですが、移民と思われる人たちが路上販売をしている姿が目立ちます。買う人、いるんでしょうか。
こちらは「IL BIGO」と呼ばれる海洋博のメイン会場だった建物です。
デザインしたのは、レンゾ・ピアノ!だそうです。
屋根はすべて「Bigo(クレーン)」で支えられていて、支柱がありません。
また、同じくクレーンでつり上げる展望エレベーター?(Assensore Panoramica)が人気です。
この丸いケージが40mの高さまでつり上げられます。残念ながら私たちが訪れた時間には動いていませんでした。
この中から見るジェノヴァの街は、どんな風に見えるのかなぁ…。
ジェノヴァで一番古いアーケード、ソットリパ通り(Via Sottoripa)を横切り、海岸へ向かう途中に、
ぽつんと取り残されたように大きな建物が立っています。
この建物が、かっての金融都市国家ジェノヴァの象徴、サン・ジョルジョ館です。
ここはいわゆる「ロッリの館」ではなく、銀行として利用されていたそうです。
サン・ジョルジョ銀行は、その財力にものを言わせて、
ジェノヴァを実質的に支配していた時期もあるとのことですから、
この派手な外観にもなんとなく納得してしまいます。
おそらく近年修復されたのでしょうが、
この派手なだまし絵(トロンプ・ルイユ)の装飾は、いやおうなしに目をひきます。
それにしても、ジェノヴァでこれだけだまし絵の文化が花開いたのはどうしてなんでしょうか。
石材が不足していた?優秀な彫刻家が育つ土壌がなかった?
それとも金融国家だけあって、倹約家な貴族が多かった?ちょっと気になりますね。
イタリアでは、どこへ行ってもネコを見かけることが多いのですが、
ここジェノヴァでは犬が街の動物たちの主役のようです。しかも大型犬を何匹も連れている人がたくさんいます。
犬の種類はさまざまですが、イタリアの犬はきびしくしつけられていて、どの犬もめったにほえたりしません。
ペットショップでは、シェパードがシャンプーの真っ最中。気持ちよさそうにしています。
大型犬ばかりかと思いきや、デパートの入り口には、こんな小さなテリアも。
くさりでつながれているわけでもないのに、おとなしくご主人様を待っています。
日本では見かけない種類の犬を連れている人もいます。
最後は、ガリバルディ通りで見かけたこのテリアです。
赤の宮殿から出てきたときも、白の宮殿から出てきたときも、ずっと変わらず同じ場所で同じ姿勢のままです。
ご主人様、早く戻ってきてあげればいいのに。
「赤の宮殿」の斜め向かいにあるバラッツォで、建てられた当初は、このバラッツォを所有していた
グリマルディ家の名をとって「グリマルディ宮殿(Palazzo Gurimaldi)」と呼ばれていました。
その後、赤の宮殿の所有者であるブリニョーレ・サーレ家が購入したため、
「赤」と対比するように「白の宮殿」と呼ばれるようになったそうです。
こちらは、すぐ隣にあるメリディアーナ宮殿です。どう考えてもこっちのほうが「白の宮殿」って感じがしますよね。
ちなみに「赤の宮殿」「白の宮殿」「トゥルシ宮殿」は現在は3つとも美術館として利用されていて、
特に白の宮殿にはルーベンスなどの名画が数多く展示されています。
というわけで、当然のことながら館内は原則として写真撮影は禁止されています。
ここはイベントホールとして使われている部屋の天井です。
ここでもだまし絵が多用されていますが、スタッコも併用されていて、ひときわ豪華な印象を受けます。
駆け足でガリバルディ通りのバラッツォを紹介してきましたが、ジェノヴァは、時間に余裕を持って訪れたい街です。だって、こんなバラッツォが42もあるんですから。
ブリニョーレ・サーレ宮殿(Palazzo dei Brignole Sale)とも呼ばれるこの建物は、
外観の切石細工の装飾が赤い漆喰で塗られていることから「赤の宮殿」と呼ばれています。
また、ブリニョーレ・サーレ家は、のちにいくつかのバラッツォをすぐそばに購入したので、
そちらと区別する必要もあったんですね。(ちなみに、そのうちのひとつが「白の宮殿」です。)
入ってすぐに、だまし絵を多用した見事な天井画があります。この宮殿は、部屋も廊下も天井画が本当にきれいです。
それにしても、ほとんどの部屋の装飾にだまし絵が使われています。
こんなに多用すると、効果が薄れるんじゃないかと思うのは、私だけでしょうか。
「赤の宮殿」はエレベーターで屋上のテラスに出ることもできます。
ここからはジェノヴァの街並みを360度のパノラマで見渡すことができます。
でも、実はこの「赤の宮殿」の屋上部分は、第二次世界大戦の爆撃でそのほとんどが破壊されてしまい、
戦争後に復元されたものなんです。
今でこそ、世界遺産にも登録されて、観光客も多く訪れるジェノヴァの街ですが、
そんな時代を乗り越えてここまで来ているんですね。
そういえば、パレルモには当時の爆撃で破壊されたまま放置されている建物をいくつも見ました。
話をジェノヴァにもどすと、赤の宮殿の屋上テラスからは、
白の宮殿(右手前)とメリディアーナ宮殿(中央奥)を間近に見下ろすことができます。
そして、カステロットのエレベーターとテラスもよく見えます。
きっとあそこにいる人たちも、こちらを眺めながら、「あれが赤の宮殿だね」なんて話しているんでしょうね。