ポリツィアーノ通りとフランチェジーナ街道が出会う三差路に、
サン・クィリコ・ドルチャの参事会教会があります。
町のスケールにぴったりのこの教会は、ずっと来てみたいと思っていた場所のひとつです。
全体のフォルムだけ見ると素朴な感じのするこの教会、実はすみずみまで細かい装飾がほどこされています。
アーチとそれを支える柱の部分の装飾に注目してください。
そしてこれがファサードです。雑草が顔をのぞかせているのはご愛嬌として、
ロマネスク様式らしく、シンプルだけど繊細なデザインですよね。
中はといえば、シンプルなのになぜか主祭壇だけがバロックしています。
側廊にはサーノ・ディ・ピエトロの手による聖母子像の祭壇画がありました。
もしかすると、もともとの主祭壇にはこれが飾られていたのかもしれませんね。
カプッチーニ門をくぐると、道は旧市街の中心に向かって続いています。
この通りがポリツィアーノ通りです。
ここから街の中央を南北に走るフランチェジーナ街道まで、中世そのままの雰囲気を残した通りが続きます。
やがて通りはフランチェジーナ街道へとつきあたります。
右手に見えるピンク色の建物はキージ宮殿(Palazzo chigi)です。
この宮殿は、当時のローマ教皇のおい、フラヴィオ・キージのために建てられたもので、
設計したのは、なんとカルロ・フォンターナだそうです。
こんな田舎まで、わざわざローマから呼び寄せたんですね。
キージ宮の脇には、フランチェジーナ街道の大きな案内板が。
ポントレーモリ、ルッカ、サン・ジミニャーノ、シエナなどを経由してローマへ向かう巡礼の道です。
オルチャ渓谷のほぼ中央にある小さな町、サン・クィリコ・ドルチャへは、
ピエンツァからプルマンで15分ほど。チケットを買うのはこのバールです。
ちなみにピエンツァのバス停はいくつかありますが、サン・クィリコ方面ならここです。
プルマンの車中からは、オルチャ渓谷ならではの美しい風景を眺めることができます。
オルチャ渓谷のシンボル「ボスケッティ・ディ・チプレッシ」です。
カレンダーに使われる写真のようにきれいに撮ることはできませんでしたが、
風景の美しさの雰囲気は伝わるでしょうか。
やがてプルマンはサン・クィリコの停留所に到着します。
ここが、旧市街の入り口、カプッチーニ門です。
この独特の形状は、門が見張り塔の役目も兼ねているからです。
さあ、それではサン・クィリコ・ドルチャの旧市街を散策してみましょう。
モンタルチーノの北のはずれにフランチェスコ会の修道院跡があります。
回廊が美しいというその場所まで、私たちは足をのばして見ることにしました。
間近で見るサン・フランチェスコ教会は、荒れ果てて、今は使われていないように見えました。
修道院だった建物の一部は、現在では病院として使われているようです。
それでも、回廊は見学することができます。
まるで天国のよう、とはいきませんでしたが、当時の面影をかいま見ることができました。
ドゥオーモの前のスパニ通りをまっすぐ進んでいくと、やがて道は未舗装の散歩道のようになります。
そして、同時に巨大な板のようなマドンナ・デル・ソッコルソ教会のファサードが見えてきます。
このファサード、18世紀末に改築されたものだそうです。
何様式といえばいいのでしょうか、新古典主義風ですよね。
内装は、これまたすっきりしていますが、主祭壇まわりだけは明らかにバロック様式です。
そして、柱廊にはコントラーダの旗が掲げられています。
これが主祭壇です。トスカーナではめったに出会えないバロック様式です。
祭壇中央の額の中には、年に一度しか公開されない「救済の聖母マリア」の板絵が飾られているそうです。
ちなみにモンタルチーノの守護聖人は聖母マリアだとのこと。
あの向こうには、どんな絵が飾られているのでしょうか。
モンタルチーノのメインストリートから、コスタ・スパニ(Costa Spagni)と呼ばれる坂道を上っていくと、
正面に教会が見えてきます。この教会が、モンタルチーノのドゥオーモです。
ファサードは、19世紀に新古典様式で改修されています。
どことなく、ローマのトラステヴェレ界隈の教会のファサードに似ていますね。
ファサードのすぐ前はスパニ通り(Via Spagni)という道になっていて、
その前に小さな広場があるという変わった作りになっています。
それに、普通ドゥオーモは街の中心にあったり、
町はずれにある場合でも、そののまわりには、司教館なり何かしらの建物があるものですが、
ここでは、まるでギリシア神殿のように街の一番高い場所にドゥオーモだけがぽつんと立っています。
残念ながら内部を見学することはできませんでしたが、
前の広場や、ドゥオーモの裏手からの眺めはなかなかでしたよ。
Pasticceria Mariuccia(パスティッチェリーア・マリウッチャ)
ぼんやり歩いていると見落としてしまいそうなこのお店、トスカーナの伝統菓子を売っている老舗です。
日本の雑誌でもよく取り上げられているので、名前だけはご存知の方も多いかもしれません。
有名なのが、この「パンフォルテ」。(写真はホームページからお借りしました)
アーモンドやオレンジピールが入った、ちょっと硬めの焼き菓子です。
ここのお店には、写真のNero(黒)の他に、Bianco(白)もあります。
お店には、パンフォルテの他にもクッキーなどが売られています。
中でもリッチャレッリは絶品。お土産用に買ったリッチャレッリを散策中に全部食べてしまい、
もう一度買いに行きなおすほどのおいしさでした。
お店のホームページはこちら。
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昼下がりのモンタルチーノ。人影もまばらです。
まるで、中世にタイムスリップしたかのような街並みを歩きます。
路地を曲がるたびに、建物のあいだからオルチャ渓谷を望むことができます。
レンガ造りの家が両脇に立ち並ぶ小道をのんびりと歩きます。
正面に見えているクーボラは、ドゥオーモの鐘楼です。
メインストリートをそれて、路地を少し下ると、今度は街並みを仰ぎ見ることになります。
サンタゴスティーノ教会の鐘楼が見えています。
ガリバルディ広場から少し北に歩くと、またもや細長い広場に出ます。
ここがかっての政治の中心、ポポロ広場です。
昼どきのためでしょうか、広場には人っ子ひとりいません。
ちなみに、テラス席が見えているのは、ビオンディ・サンティの経営する由緒あるカフェだそうです。
はじめからそうと知っていれば、立ち寄ったのに…。
広場の東側には、ひときわ目立つロッジアがあります。
建物の左右で様式がちがいます。増築されたのでしょうか、それとも左側だけ改修されたのでしょうか。
広場の南側に面して立つのが、モンタルチーノの市庁舎です。
ずいぶん細長い建物ですね。
壁面には1400年代のモンタルチーノの貴族たちの紋章のレリーフの上に、大きなメディチ家の紋章が。
モンタルチーノの人々は、どんな思いでこの紋章を眺めていたのでしょうか。
さらに市庁舎の前廊部分には、コジモ1世の彫像が置かれています。
でも、この彫像、お世辞にもできがいいとは言えない気が。
モンタルチーノの人々のメディチ家に対する気持ちが像のできばえに表れているかのようです。