JAZZを聴きながら ふたたび

恥も顧みないで再々開、よろしければお付き合いを

我が愛に自信なし

2009年11月05日 | v-x

昨晩は久しぶりにはやく帰宅したので、ビールでも飲みながら野球の日本シリーズでも見ようかと思ったのですが、どうにもこうにもジャイアンツの分が悪い。ここで見るのを止めてしまうのはいかにも真のファンではない証拠なのでありますけど、ともかく、深酒前に風呂を済ませ、他のチャンネルをバチバチバチ
「いやぁ、やっぱりつまらん」
ちっとも面白そうな番組をやっちゃいません。(あくまで私感です。)
なら、おとなしくレコードでも聴きながら本でも読んでいればいいものを、
「動く画像が、み・た・い」

見出したのは、パトリス・ルコント監督の映画『歓楽通り』であります。

パトリス・ルコントといえば『仕立て屋の恋』『髪結いの亭主』『橋の上の娘』『ダンデム』『タンゴ』なんてぇのもありましたねぇ、じつに、いかにも、まさしく、フランス映画といった作品を多く手がける監督さんです。
私は、このジタンやゴロワーズのごとき独特なフランス臭漂うルコントの映画が嫌いじゃありません。
派手さや奇抜な驚きなど全くなく、かといってとても身近にある現実ともいえず、淡々と進むストーリー、それでいて知らぬ間にのめり込んでいく、しかもこうして何度か見直しても何故か新鮮味を感じる・・・じつに不思議です。

時は1940年代、フランスの歓楽通りにある娼館オリエンタル・パレスで、娼婦の子として生まれ育ったプチ・ルイ、娼婦達に弟のように可愛がられる存在であり、彼女達を、日々必至にバックアップする存在でもあります。

そんなある日、オリエンタル・パレスに娼婦マリオンがやって来ます。彼女を一目見た瞬間、プチ・ルイは恋をするんですなぁ、いわゆる「ビビっときた」ってやつですか、ところが、この恋が普通の恋とはちょと違う、プチ・ルイは「お付き合いしたい」「自分だけの彼女でいて欲しい」「抱きたい」てなゲスなことは考えもしない。彼の想いはただ「マリオンが幸せをつかむこと」「マリオンの夢が叶うこと」。
マリオンが運命の人と信じたじつはろくでもない男、ディミトリ。運命の人と信じるマリオンの想いを壊すまいと奮闘するプチ・ルイ。
マリオンの夢である「レコード歌手」になんとかさせたいと奮闘するプチ・ルイ。

売春禁止法の施行後ずいぶんとたってからなんでしょうが、冒頭で若い路地娼婦がベテラン路地娼婦に
「この商売を辞めて幸せをつかんだ女がいる?」
と訊ねると
「いないわね、一人を除いては・・・・」
それが、マリオン。
う~~~~ん、深いねぇ。

・・・・・・・もう、後は映画を観てください。
ただ、プチ・ルイの献身という愛のかたち、そして、愛すればこそそれに甘えるマリオン、二人とも否定できるほど、我が愛に自信が持てない私です。(笑)

こういう映画って、その余韻だけでお酒が飲めるんですよねぇ
なんかこう悲しくて、せつなくて、それでいてホワ~~ンと暖かいような・・・・・
「ウイスキーうめぇ」
ログの更新も忘れ、またしても深酒に酔うバブ君でありましたとさ。

さて、今日の一枚は、内容からすればシャンソン・・・なわけありません、ランディ・ウエストンです。

我がログをご覧いただいている方には、このノッポなピアニスト、ウエストンが私好みであることはご承知かと思いますが、思うに、シングルトーンをうんと強く弾き込んだり、また時には和音をうんと重く押し込んだり、そうですねぇ、野球のピッチャーならコースをついてくるいやらしいタイプ(これが悪いわけじゃありませんけど)ではなく、緩急で勝負してくる直球派というか、そこに個性が加われば言うこと無い、みたいな(笑)
そんなピアノ演奏を生み出すのが、このデカイ手なんでありますよ。

このアルバムではトリオ演奏もさることながら、セシル・ペインのバリトンも光ってますね。「I CAN'T GET STARTED WITH YOU」の後追いでペインが入ってくるとこなんざぁゾクゾクします。

これもまた、私好みの一枚です。

WITH THESE HANDS / RANDY WESTON
1956年3月14,21日録音
RANDY WESTON(p) CECIL PAYNE(bs) AHMED ABDUL MALIK(b) WILBERT HOGAN(ds)

1.THE MAN I LOVE
2.SERENADE IN BLUE
3.I CAN'T GET STARTED WITH YOU
4.THIS CAN'T BE LOVE
5.THESE FOOLISH THINGS
6.LIFETIME
7.DO NOTHING TILL YOU HEAR FROM ME
8.LITTLE NILES