JAZZを聴きながら ふたたび

恥も顧みないで再々開、よろしければお付き合いを

ご注文はブレンド一杯

2009年11月28日 | v-x

今晩あたりからまた冷え込みそうで、今Mさんのお店に何を着ていったらよいものか迷っています。

毎週のように話題にさせていただいている朝日新聞土曜版beですが、今日は『beランキング こだわりのコーヒー豆』という記事が掲載されておりました。

「3強(キリマンジャロ、ブルーマウンテン、モカ)は昔から。これは日本独特の現象」と、コーヒー研究家の柄沢和雄さん(73)は話す。欧米ではコーヒーはもっと大衆的な飲み物で、産地にこだわるのはもっぱらマニアの人。一般的なのは複数の産地の豆をまぜて味のクセをおさえた「ブレンド」だという。日本でも、いつも飲む麦茶やほうじ茶の産地に執着する人は、そんなにいない。

なるほど、そうとも言えるかもしれませんが、私は日本人得意のブランド意識が強く表れているからじゃないかと思うんですねぇ。
私自身、他人様にもの言えるどころか、昔は「キリマンがいい、キリマンが一番」とはばからなかったし、ちょっと値段の高いコーヒーを名のある方に入れていただくと、飲む前から「絶対にこれは美味い」と暗示をかけ、実際には味など分からぬまま「さすがですねぇ」なんてね。(笑)

今はほとんど見かけなくなってしまいましたが、私が若い頃は『コーヒー専門店』と看板を立てる喫茶店がそこらじゅうにあって、今で言うところの「エスプレッソだ、ラテだ、カフェモカだ、・・・・なんたらかんたら」てなメニューより「モカ、キリマン、ブルマン、ブラジル、マンデリン・・・・・」といったストレート珈琲が幅をきかせていましたし、専門店でなくとも、ブレンドの他にブラジルとモカとキリマンくらいはメニューにあったりして、あはは、ジャズ喫茶にはありませんでしたがね。

初めての喫茶店にはいると
「いいかい、どの店もブレンドを味わえば質が分かろうてもんだよ。」
という先輩のありがたいお言葉を信じ
「ご注文は?」
「ブレンド」
これをもちろんブラックでいただくんでありますねぇ、今思えば、自家焙煎でもなく、業者にそこまで注文を出していた店も少なかったでしょうから、仕入れ先が同じならさほど味に変わりがなかったのかもしれません。それでも、サイフォンだ、ネルドリップだ、紙ドリップだと、出し方はそれぞれありましたし、各お店のコダワリはあったように思います。もちろん、それが私に理解できたかどうかは「言わずもがな」ですがね。(笑)

ストレート珈琲だけでなく、ラテやカフェモカなんていうメニューはそうそうありませんでしたけど、ウインナコーヒーやカフェオレはありましたねぇ、だけど「ウインナコーヒーてな軟弱な珈琲は、女の飲み物だ」みたいな変な感覚もあったりして・・・・・
「最近はやたら変な珈琲が流行ってるそうだねぇ」
「へぇ、何処かの新しい産地が輸入解禁になったとか?」
「いやそうじゃなくて、何でも珈琲に赤いウインナーを浮かべた新しい飲み物らしいよ」
てな笑い話(もちろん作り話ですが)をラジオかなにかで言っていたのを覚えています。

最初ブラック珈琲ってヤツは、おそらく苦くてまずいものだと感じたのだと思いますよ。でも一種のカッコつけ?見栄?、いつのまにか砂糖やミルクが入っていると後味が悪くて飲めなくなってしまいました。まっ、あのマズ~~いジャズ喫茶の珈琲をブラックで何杯も飲んでりゃ馴れますよね。
ウイスキーを平気でストレートで味わう舌になってしまったのとさも似たり(笑)

ともかく、今の私にカッコつけやブランド志向がないか?と問われれば、全くないとは言い難い、それでも、少しは純粋に珈琲を楽しめるようになってきたと思います。これもヤナイ珈琲さん、そして珈琲だけには大きなこだわりを持つS君のおかげでしょうかね。

いずれにしても、世界第四位の珈琲消費国に住み、昔からは想像もつかぬほど手軽に珈琲を楽しめる環境に感謝して、今日もヤナイ珈琲さんのコダワリ珈琲を味わうことにいたしましょう。

さて、今日の一枚は、クロード・ウィリアムソンです。
邦題では「クロード・ウィリアムソンの真髄」、ベツレヘムでの初リーダー盤です。
当時このトリオは、アルト奏者バド・シャンクのリズムセッションとして活躍しており、じつに息が合っています。
「ホワイト・パウエル」と呼ぶにはいくぶんクセがなさすぎる気もしますが、そこがクロードらしいバド・パウエルの解釈とも思えるわけで、「I'LL REMEMBER APRIL」を選曲したあたりに意気込みを感じるじゃござんせんか。

緊張を重んじるなら同じベツレヘムの「'ROUND MIDNIGHT」を推挙すべきでしょうけど、普段着の演奏であるならこちらのアルバムに利があるでしょうか。
いずれにしても、バド・パウエルにス~~っと入るのが難しくとも、このトリオなら入っていける、それがクロードの魅力かもしれませんね。

CLAUDE WILLIAMSON TRIO
1956年1月19日録音
CLAUDE WILLIAMSON(p) DON PRELL(b) CHUCK FLORES(ds)

1.JUNE BUG
2.JERSEY BOUNCE
3.MOONLIGHT IN VERMONT
4.I'LL REMEMBER APRIL
5.THE LAST TIME I SAW PARIS
6.BLUE NOTORIETY
7.EMBRACEABLE YOU
8.HAVE YOU MET MISS JONES
9.HALLELUJAH