JAZZを聴きながら ふたたび

恥も顧みないで再々開、よろしければお付き合いを

待ってろよ!鬼女め!

2008年10月28日 | j-l

信州は戸隠山、紅葉を楽しもうとお出かけになったのは、余吾将軍平維茂(たいらのこれもち)ご一行です。そこで出会ったのが、美人ばかりの侍女を引き連れたこれまた「超かわい~~」お方、更科姫。
ちょっとどころか大いに興味はあるものの、ナンパなんかしちゃうと「ヘンなおじさん」と勘違いされても行けないとばかり、その場を立ち去ろうとする一行。
「あらま、よろしいじゃございませんか、いっしょに紅葉を楽しみましょう。」
ナンパには慎重でも、逆ナンにはめっぽう弱いのが男の哀れ、美女に声をかけられて断れる男なんざぁいやしません。
紅葉を肴に絶世の美女と差しつ差されつ、これに美人侍女の舞と、従者の右源太、左源太のこっけい踊りとくりゃ、ヘタな芸者遊びなんぞより良いに決まってます。しまいにゃ更科姫も踊りだしちゃったんですから、維茂はウキウキであります。
そんなこんなで楽しんでいると、酒のせいか、色気にあたったか、はたまた酒に盛られた秘薬のせいか、なさけなや男達はスーっとまどろみの中に・・・・・・・
そこに生臭い一陣の風!テケテンテンテン
ハッと気づいた維茂の前には、恐ろしく変身した鬼女の面々が!テケテン
「さぁては、鬼神でありしよな。いで維茂がぁ、討ち取ってくれぇぇぇぇん」

フリが長くなりました。お能や歌舞伎でおなじみの「紅葉狩」でございます。
今朝の冷え込みなんざぁ今年一番でありましたが、今年の戸隠山の紅葉はいかがなもんでござんしょうかねぇ?(なんちゃって、一度も紅葉時期に行ったことはないのですけど...笑)

この「紅葉狩」という話は、戸隠山の鬼女を維茂退治するいわば英雄伝なのでありますが、私にはどうにも男のバカさというか、可愛さがにじみ出たお話に思えてならないわけでして、
たとえ紅葉を愛でに出掛けても、男ってもんは色気にはかなわないもんなんですよ。ただで見に行った紅葉のおかげで、紅葉なんか目じゃない美女に出会う、理想じゃござんせんか、ねぇ、私もあやかりたい(笑)
私なんざぁ、たとえそれが鬼女と知っていても、一時の快楽に身を委ねるってぇタイプですから、なおさら始末が悪いんでありますね。
それでも、世の中よく出来たもんで、そんな私だからこそでしょうね、そうそう美味しい場面にはあたらないんであります。

ところで、そこのあなた、あなたはいかがなもんでしょ?鬼女とわかっていれば、けして手を出さないタイプですか?
でもよくよく考えてごらんなさいよ。どんな美女でも多かれ少なかれ鬼女に変身するのはすでに経験済みじゃありませんか?
誰とは言いませんが、ほらあなたの隣にも一人・・・・・・・

いかんいかん、この態度が、新たな鬼女を生む根源なのですよね。そうそう、鬼女に変えるのも全て男が悪いんでございます。

帯解(おびとき)は男を尻にしきはじめ

いやいや、これは私の川柳じゃありませんよ。江戸川柳にこんなんがありましてね。帯解とは、今でいうところの七五三と大きな係わりがある儀式で、女の子が7歳になると付帯(つけおび)をやめ、小袖を着て帯を締める、つまりそれからは女性として扱うということでありますね。この時、お宮参りをするんですが、盛装の着物は四尺余り、歩いたんじゃ地面をズルズル引きずることになってしまいます。そこで、父親か出入りの鳶なんか(今どきは出入りの庭師だと危ないかもしれませんけど)の肩に乗ってお宮へ向かうわけですね。つまり、肩に乗ったこの時から女性は男を尻にしきはじめるという・・・・だから、私が詠んだ川柳じゃないってばぁ。

あと半月も過ぎれば七五三、可愛い娘もいずれ誰かを尻にしくんでありますから、今のうちは、せいぜいお父さんをしっかりしくように指導して下さいよ。基本、お父さんは娘に対しては完全なMなんですから。(笑)
いや、もとい、基本男は、相手が鬼女であろうと娘であろうと「・・・」であろうと、Mなのかも??????

まっいいや、腰の調子も良くなってきたし、美女を捜しに紅葉狩りにでも行ってこようかなぁ、
「待ってろよ!鬼女め!」

さて、今日の一枚は、ハロルド・ランドです。
ハロルドといえば、ブラウン~ローチ・クインテットのメンバーとして、あるいはカーティス・カウンスとの共演盤等々で、耳馴染みのような気もするのですが、じつに地味ーな印象しか持たれないサックス奏者でもあります。
ここでも本人より、ジョー・ゴードンだったり、ウエス・モンゴメリーだったり、バリー・ハリスあたりにどうしても気が行ってしまいがちです。

たしか、ハロルドがブラウン~ローチ・クインテットを去ったのは、病気か何かで離れているうちにソニー・ロリンズが助っ人に入り「こりゃいいや」てんで、「サックスはロリンズにこれからも頼もうと思うんだけど」と聞かされ、「うん、いいんじゃない」ってあっさり身を引いたなんて話があったような・・・・
ようは人が良いというか、優しいというか。まさにプレイにもそんな雰囲気が漂っていますよね。

ともかく、ウエスト・コーストを中心に活躍していた地味なハロルドを頭に据え、イースト・コーストのミュージシャンと組ませた企画盤ともいえる一枚です。この手のアルバムはこの時期お得意のパターンでもありましたよね、そのくせ、なかなか内容が良いアルバムが揃ってたりするわけですが、このアルバムもハロルドの地味さは何ともしがたいものの、じつに出来の良いアルバムだと思います。
お勧めできるアルバムです。

WEST COAST BLUES ! / HAROLD LAND
1960年5月17,18日録音
JOE GORDON(tp) HAROLD LAND(ts) WES MONTGOMERY(g) BARRY HARRIS(p) SAM JONES(b) LOUIS HAYES(ds)

1.URSULA
2.KLACTOVEEDSEDSTENE
3.DON'T EXPLAIN
4.WEST COAST BLUES
5.TERRAIN
6.COMPULSION