http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070511-00000015-maip-pol
政府の教育再生会議が「親も子育てについて学ぶ必要がある」として「『親学』に関する緊急提言」を発表する予定だったが、反発を招いて発表しない方向で調整に入ったという。
この提言では、母乳による育児や、早寝早起き朝ごはんの励行など子育ての重要性などを訴える内容で、山谷えり子首相補佐官(教育再生担当)が主導して作成した。
但し、「政府が押し付けることか」、「母乳の出ない母親を追い詰める」など反発を招き、結局は取り下げる形となった。
では、この提言はそんなに批判されるべきものなのだろうか。11項目にわたる本提言をざっと見てみよう。
◇「親学」提言のポイント
(1)子守歌を聞かせ、母乳で育児
(2)授乳中はテレビをつけない。5歳から子どもにテレビ、ビデオを長時間見せない
(3)早寝早起き朝ごはんの励行
(4)PTAに父親も参加。子どもと対話し教科書にも目を通す
(5)インターネットや携帯電話で有害サイトへの接続を制限する「フィルタリング」の実施
(6)企業は授乳休憩で母親を守る
(7)親子でテレビではなく演劇などの芸術を鑑賞
(8)乳幼児健診などに合わせて自治体が「親学」講座を実施
(9)遊び場確保に道路を一時開放
(10)幼児段階であいさつなど基本の徳目、思春期前までに社会性を持つ徳目を習得させる
(11)思春期からは自尊心が低下しないよう努める
(「教育再生会議:親向けに「親学」提言 母乳、芸術鑑賞など」より引用)
http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20070426k0000m010157000c.html
見たところ、それほど批判されるような要素があるとは思えない。それどころか、今各家庭で失われつつある家族の絆に重点を置いた内容ではないだろうか。
批判している人達の真意も不明である。「政府が押し付けることか」というのなら男女共同参画社会こそ無用な押し付けであり、止めるべきだし、「母乳の出ない母親を追い詰める」というのなら、少子化対策そのものも子供を産めない人を追い詰めていることになる。どんな提言でも常に例外はあるということを考えれば、追い詰めるなどというのは言いがかりにしか聞こえない。
この提言に対する反発は、母性を否定するフェミニズム勢力が中心となっていることは明白である。だから母乳など母性を思わせる表現には早速噛み付くのだ。
しかし、この提言には、PTAに父親も参加、企業は授乳休憩で母親を守る、など女性労働を主眼としたフェミニズム的な要素も盛り込まれていて、決して家族重視の保守系が手放しで喜べるものでもない。
そもそも、フェミニズムというのは、家庭的な女性を否定するものだ。晩婚化や非婚化が進んだのもそのためだ。「親学」を提言するにはまず、女性が結婚して家庭を持つことの大切さを説くような提言がそもそも必要ではないだろうか。そして、女性が男性をやたら軽蔑し見下したり、敵対心を持つといったフェミニズムの悪影響である偏見意識を排除していく啓発も必要だろう。
子供が産めない、母乳が出ないというのも、子供の頃からの食生活や晩婚化がもたらす高齢出産などが影響している。そうした女性を憂うのなら、女性にもっと早婚を勧める提言をすべきではないか。提言に反発する勢力は的外れとしか言いようがない。