今回の日本の大震災は、
世界中で報道され、注目を集めている。
そんな中で、
よく言われることは、
日本人は、こんな悲惨な状況の中でも、
とても冷静で落ち着いており、
お互い助け合い、秩序を守って行動している。
こんな国は他にはない、すばらしい国民だ。
ということ。
確かにこちらで報道される被災地の皆さんは、
家族や親しい人を喪い、涙を流し、悲嘆に暮れながらも
歯をくいしばり、しっかりと耐えている。
台湾の921大地震の時には、
人々は泣き叫び、政府に向かって怒り、
カメラを向けられると、
水がない、電気がないと大きな声で訴えていたらしい。
それに比べると、日本人はなんて「いい子」なんだろう…。
私の周りの台湾の人たちは、そう言う。
ふと、私がアメリカで出産したときのことを思い出した。
お産の際、
アメリカ人の女性達は、よく叫んだ。
大声で泣いたりわめいたりする声が聞こえていた。
日本だったら、あんな大声でわめいてたら、
助産婦さんにしかられるよな~、
なんて私は思っていた。
私は帝王切開だったので、
お産の苦しみはなかったのだが、
お腹を切るわけだから、
術後の痛みは、相当なものだった。
それでも手術をしたその晩には、
もうトイレに歩いて行かされた。
次の日は、歩く練習。
長い廊下を往復させられた。
私は、日本人だから?
お医者さんの言うことには従わなきゃいけないと教えられているから?
痛み苦しみは、耐えるものだとしつけられているから?
私は、いやだ、できないと、泣きわめいたりはしなかった。
ひたすら、言われたことに従って、黙って耐えた。
そんな私に、看護婦さんたちは言った。
「She is tough!」
そして、本来お願いすれば、5日間入院できたのに、
4日で退院させられた。
確かに日本人は、相対的に見れば、タフな国民だと思う。
でも、痛み苦しみを感じていないわけではない。
痛み苦しみを感じているのに、
それを外に出すことに慣れていないのだと思う。
周りは、それを評価し、ほめるけれども、
こちらは、内心複雑…。
テレビに映される被災地のみなさんを見るたびに、
この方たちの痛み苦しみを本当の意味で知っている神様が、
皆さんを慰め、励ましてくださるように祈る。
そして、黙って政府の言うことに従っている彼らを
政府は決して裏切ってはいけないと思う。
国民に真実を知らせてほしい。
声にならない国民の声を聞いてほしい。