課輔班のLくんのお父さんは、
仕事のために、1ヶ月ほど中国に行く。
以前、中国で事業をしていたのだが、
それがうまくいかず、
1年半ぐらい前に台湾に帰って来た。
今回は、そのときの後処理のための滞在らしい。
問題は、留守中のLくんとおばあちゃん。
おばあちゃんは、病気で両手が不自由らしい。
身体も弱く、
家のことはほとんどできなさそう。
Lくんはただでさえ不安定な子で、
課輔班でも体調が悪かったり、
精神的に不安定だと
ご飯も食べない。
友達との諍いも絶えない。
そんな子どもと母親をおいて、
1ヶ月も留守にするのは、
さすがにお父さんも心配なのだろう、
王牧師に家のことを頼んだらしい。
特に生活費の管理をL君がしなくてはいけないので、
王牧師は、彼にお小遣い帳(いや、家計簿?)をつけさせ、
毎日チェックすることにしたらしい。
また、ちょくちょく訪問もする。
食事は、お昼は課輔班でいっしょに手作りごはんを食べる。
夜は、政府から支給されているクーポンで、
お弁当を買って食べる。
実はお母さんはいる。
少し前に再婚したお母さんがいるはず。
一度課輔班が終わるころに来て、
紹介してもらったことがある。
きれいにお化粧した若いお母さんだった。
でも、王牧師によると、
彼女は、夫の母親の世話も子どもの世話もしたくないのだとか。
はっ?
何のための結婚なのか。
男と女の関係だけ?
親や子どもも含めて、
家族になるってことじゃないのか?
聞けば、Lくんの産みの母親も、
彼の養育を拒否したらしい。
まだ、4年生のLくん、
人よりもずっと辛く、重い人生を負っている。