今年のクリスマスで活躍するのはこのお話し。
「五郎くんのホットケーキ」
実はこのお話し大学生?神学生?のころに出会いました。
当時、広島の植竹牧師が、
公園伝道を勧めていらっしゃって、
一度講演会の中で、
デモンストレーションとして、
実際公園で子どもに話すようにして話してくれたのがこのお話し。
そのお話しのテープを掘り起こして、
当時はそのままコピーしてお話したものです。
確か…。
亀田にいたときにも、
紙芝居を作って(そのときには自分で絵を書き)、
クリスマスに、主人にお話ししてもらったことがあります。
今年は、
台湾で知り合った日本人のお友達、エリカが、
このお話しのために紙芝居を作ってくれたので、
早速、教会で用いようと思っています。
明日の日本語クラスと課輔班、
そして次の日の幼稚園でのクリスマスでお話しします。
子どもたちの喜ぶ顔が目に浮かびます。
ストーリー知りたいですか?
下に貼り付けましょう~。
ぜひ教会で用いてください!
五郎くんのホットケーキ
五郎くんは男ばかりの5人兄弟の長男、5年生。両親はちり紙交換のお仕事をしていて、朝早くから夜遅くまで働いていてとても忙しいのです。みんなが学校から帰ってくるころには、もうおなかがペコペコ。そこで五郎くんがいつもホットケーキを作ります。
「おい、フライパンを持って来い!」「あと、小麦粉、砂糖、卵、バターもな。」「ボールに泡だて器、フライ返しも忘れるな!」みんなおなかが空いているのでよく言うことをききます。 ボールにバターと砂糖、卵を入れてよく混ぜます。そして小麦粉、ベーキングパウダー。生地がふんわりなめらかになったら、フライパンにバターをしきます。「よ~し!流し込むぞ!」ジュワーッ!!いいにおいがしてきます。
弟たちは一斉にフライパンを覗き込みます。「兄ちゃん、兄ちゃん、いいにおいがしてきたな。」「もうひっくり返してもいいんじゃない?」「まだまだだ。ぷつぷつ泡が出てくるまで我慢だ。」「おっ、いい感じに焼けてきたぞ。さて、ひっくり返すか。よっ!」「兄ちゃん、いい色だな~!」「ああ、もうすぐできるからな。」 さあ、ホットケーキが出来上がりました。大きなお皿を出して、ホットケーキを載せます。「さあ、切るぞ!」「兄ちゃん、公平にな。」「わかってるよ。」でも、5等分って難しいのです。切り終わると大きいの、小さいの様々です。 「小さいお皿を5枚持って来い!」「兄ちゃん、おれこれ!この大きいの!」「だめだめ!一番大きいのは、一番大きい俺がもらうに決まってるだろ!」「え~、ずるいよ!」「二番目に大きいのが二番目。三番目に大きいのが3番目、4番目に大きいのが4番目。そして一番小さいのはチビだ。」「やだ~!僕のこんなに小さいよ。お兄ちゃんのと取り替えてよ!」「だめだ!お前はチビなんだから一番小さいのでいいんだよ!」「やだ!やだ!」とうとうチビは泣き出しました。わ~ん!!「やだ、やだ、やだ~!!」「うるさい!」五郎はゴツンとチビの頭を叩きます。そうするとますますチビは大きな声で泣き出すのでした。
さて、五郎くんは教会学校に行っています。毎週みんなでゲームをしたり、賛美をしたり、聖書のお話を聞いたりするのが大好きなのです。教会学校の先生も大好きです。五郎くんの分級の先生は若くて優しい女の先生。五郎くんの大好きな先生です。 ある日先生が、五郎くんに話しかけました。「五郎くんは、何人兄弟なの?」「五人兄弟で~す!」「5人?多いのね。…わかった、五郎くんの名前からすると、5番目ね!」「ちがうよ。一番目、長男だよ。」「そうなんだ。ところで五郎君の兄弟は仲良しなの?」「全然、いつもけんかだよ。」「え~?何で?」「チビがうるさくて泣くんだ。」「何で泣くの?先生に話してみて。」
「実は…」五郎くんは、お父さんお母さんの帰りが毎日遅いこと。だから、みんなでホットケーキを作って食べること。でもできたホットケーキを切ると大きい小さいができて、それがもとでけんかになることを詳しく話しました。 「ふ~ん、そうなんだ。」先生は少し考えた後で、こんな提案をしました。「ねえ、ねえ、五郎くん。明日から1週間は、五郎くんが一番小さいホットケーキを食べることにしない?」「え~!やだよ!僕大きいのが食べたいよ。」「じゃ、五郎くん、もし1週間我慢して一番小さいホットケーキを取ったら、先生五郎くんにシューっクリーム5個買ってあげる。それでどう?」「えっ?シュークリーム5個?一人で5個も食べれるの?う~ん。…わかった!僕やってみるよ!」
さて、月曜日みんな学校から帰って来ました。「よし!ホットケーキを作るぞ!」「フライパン持って来い!あと、小麦粉、砂糖、…!」「よし、焼くぞ!」ジュワーッ。今日もきれいなホットケーキが出来上がりました。「さあ、切るぞ!」五郎くんはいつになく慎重に切ります。でも、微妙に大きさに違いが出ました。「じゃあ、この大きいのは…」「ぼく!ぼく!」チビが泣きそうな声で大騒ぎします。「よし、チビにあげよう。二番目に大きいのが4番目、3番目に大きいのが3番目(三番目はいつもいっしょ。笑)4番目に大きいのが二番目。そして一番小さいのが俺だ。」
みんな、唖然として五郎を見ています。「なんだ、なんだ。早く食べろよ。」「兄ちゃん、どうしたの?」「おなかでも壊したの?」「いや俺にはシュー…いやいや、何でもない、兄ちゃんあんまりおなか空いてないんだ。早く食べろ。」二番目と三番目はこそこそ言っています。「兄ちゃん意地汚いから、きっと何か変なもん食って、腹壊してんだよ。ははは。」それでも、みんな嬉しくて、特にチビは大喜びでホットケーキを食べました。今日はけんかもチビが泣き叫ぶ声もありません。
次の日もホットケーキを焼きました。そして大きいのをチビに二番目に大きいのを4番目に…。「兄ちゃん、いいの?」「いいんだ、いいんだ、気にするな。」3日目、4日も続きます。家の中が変わって来ました。あんなにうるさかったチビも最近はいつもにこにこして、お兄ちゃんに甘えるようになってきました。そうすると、五郎くんもチビが何だかかわいく思えてくるのでした。そのうち五郎くんは思いました。「何だか、シュークリームのために1週間我慢していたけど、何だかもうどうでもよくなっちゃったな。来週からも俺が小さいのをとるか…。」
そして土曜日最後の日。五郎くんは大きなホットケーキは更に大きく、小さなホットケーキは更に小さく切りました。そして大きなホットケーキをチビのお皿に、一番小さいホットケーキを自分のお皿にのせました。「兄ちゃん、兄ちゃんのそんなに小くていいいの?」「おなかすいちゃうよ。」「いいんだ、いいんだ。みんな早く食べろよ。」 「兄ちゃん、ぼくのを少し上げる!」二番目が自分の分を少し切って、五郎くんのホッとケーキの上にのせました。3番目も「ぼくも!」と言って、やはり自分の分を少し切って五郎くんのお皿にのせました。4番目も「ぼくだって!」と自分の分を少しのせました。チビもみんなを見て「ぼくも、ぼくも!」と自分の口に放り込みかけていたホットケーキのかけらを五郎くんのホットケーキの上にのせました。小さなホットケーキの上に大きなピラミッドができました。
五郎くんは大きなピラミミッドとその向こうにある兄弟たちの笑顔を見ながら、ちょっと涙が出そうになりました。はじめはいやいやはじめたことでした。でも自分が変わった事で兄弟たちも変わったのです。五郎くんはとても幸せな気持ちになりました。
次の日、五郎くんは教会学校に行きました。真っ先に分級の先生のところに行って、1週間のことを報告しました。「そう、よかったわね。これ約束のシュークリーム。五個買ってきたわよ。」「ありがとう、先生!」五郎くんはくるっと振り返ると兄弟たちのところに行きました。「おーい!チビ!シュークリームあるぞ!みんなで一緒に食べようぜ~!」「わーい、お兄ちゃん!」
一番大きくて強い人が小さくて弱い人のようになると、みんなが幸せになるんです。五郎くんが変わったら兄弟が変わったよね。みんなのうちで一番強いのはだれ?お母さん?お父さん?ひょっとして君かな?君が変わると家族が変わるよ。
じゃあ、世界中で一番強い人はだれ?馬英九?オバマ? 神さまだよね。神様が一番強くて、何でもできるお方。その神様が小さな弱い人間、しかも赤ちゃんになって生まれてくださった、それがクリスマスなんだよ。イエス様は神さまの子で大きな力を持っていたのに、その力も位も全部捨て、人間としての生涯を歩んでくださった。そして最後は、十字架にはりつけにされて死んでくださった。神の子だもの、力はあったのです。十字架に付ける兵士や人々をやっつけることだってできたのです。でもそうしなかった。一番弱く、小さくなってくださった。それは私たちの罪の罰を私たちに代わって受けるため。イエス様が私たちの代わりに十字架にかかってくださったから、そのことを受け入れて、信じた私たちは喜びをと平安でいっぱいの新しいいのちをいただけたんだよ。そして、神さまとも人とも仲良くできるようになったんだ。
私たちもこの小さく弱くなってくださったイエスさまを心のお迎えしようね。そしてわたしたちも自分が一番の人生じゃなくて、みんなの幸せのためにすこしだけ弱く、小さくなってみない?お祈りしよう。