A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

グンジョーガクレヨン+高岡洋介@八丁堀 七針 2012.9.29 (sat)

2012年10月01日 00時18分52秒 | 素晴らしき変態音楽


やんてらの企画
らっしゃい!グンジョーだす
グンジョーガクレヨン高岡洋介(ペインティング)

1979年結成、1980年PASSレコードから45回転アルバムでデビュー、以来EP1作(突然段ボールとの2枚組)とアルバムを2作リリースし2009年12月解散、今年5月に再結成宣言したグンジョーガクレヨン。70年代末、東京ロッカーズを中心に日本のパンクが生まれた頃、吉祥寺マイナーや京都どらっぐすとうぅあではより実験的な非音楽の試みが行われていた。 グンジョーガクレヨンはその両者を繋ぐミッシングリンクのような存在だったといえよう。デビュー当時のインタビューで組原正さん(g)は「パンクといってもPere Ubuばっかり聴いている」と語っている。出自からして異端だった訳だ。

7月に再結成グンジョーガクレヨンのライヴと組原さんの新作「inkuf」レコ発に行った。レコ発にはグンジョーの前田隆さん(b)、宮川篤志さん(ds)も参加した。どちらもデビュー時の衝撃はそのままに驚異的な自由度を持った完全即興演奏に痺れたものだ。オリジナル・メンバーの園田游さん(vo.reed.perfomance)とは2年前に灰野さんに紹介してもらい舞踏公演を観たり飲みに行ったりしていたが、レコ発の後組原さんとFacebookで友達になり、ネコネタなど音楽以外の部分でもいつもコメントを頂き親しくなった。FBで直々に今回のイベントの情報をもらった。2008年にも共演した絵本作家、高岡洋介氏とのコラボレーションである。

7月のUFO CLUBはかなり動員が厳しかったが、今回は企画のやんてら氏の宣伝努力の結果、限定30席が早々に売り切れたそうだ。七針は1年半前のシェシズ以来2度目である。風呂屋にある様な小さい椅子に座りお尻が痛くて堪らなかったことを覚えていたので壁際の普通の椅子に座る。

高岡氏目当のお客さんもいて予想以上に若い人が多い。先日ライヴを観た女性ギタリスト吉本裕美子嬢も来ていた。ステージ後ろの壁にペインティング用の段ボール紙が貼ってあり足元はビニールで覆われている。時間になるとグンジョーの3人が登場。組原さんが「こんなにたくさん来てくれてうれしい」というようなことを話すがマイクのエコーがキツくて聞き取れない。両手に白い粉をふりかける。後で聞いたら滑り止め用のシッカロールだとのこと。ギター・ノイズにエフェクトをかけまくったヴォイス、そこに前田さんの饒舌なベースと宮川さんのパワフルなフリー・ドラミングが絡み、のっけから行き先不明のカオス演奏。暫し観ていた高岡氏が立ち上がり両手を絵の具に浸し思い切り段ボール紙に色を散りばめる。人の顔や不思議な生き物など具体的な形が出現したと思うと絵の具が塗り固められ次々と姿が変わって行く。演奏もアメーバのように形態が変異し、絵画と音楽がひとつの生き物のような一体感を醸し出す。組原さんはパソコンをエフェクターとして使い非ギター的な異形の音塊を放射する。30年以上一緒に活動してきた信頼関係に支えられた演奏は破綻することなく非音楽的でありながら大局的な流れを産み出す。

ステージで起る現象(演奏やパフォーマンスという言葉では表現しきれない)に心奪われている最中、背後にただならぬ妖気を感じ客席を観ると、白塗りに頬被りの異様な人の姿があった。何と園田さんが飛び入り参加。全く予期していなかったので嬉しい驚き。何も知らない客は狂人の乱入だと思ったかも。園田さんの登場で場の空気が変わる。七針の狭い空間がぐにゃりと捩じれるようなユーモア感覚。非音楽・非芸術・非日常。グンジョーガクレヨンの深層には「非」があるのではないか。「否定(No)」ではなく「非定(Not Fixed)」。常に音楽を含めた芸術シーンの孤高(異端)の存在だった彼ら、それは非存在と同義である。高岡氏の絵は厚く塗り固められ非現実世界へ誘うように口を開けている。



約1時間で終了。前日にNHKスペシャルの草間彌生さんの特集で神経科の病室に住み常に自殺願望と闘いながら作品制作に励む壮絶な生き様に衝撃を受けたばかりだったので、再び現実世界へ戻れてホッとした。メンバーは普段は極めて人の良いオジサマである。組原さん、園田さん、高岡氏、やんてら氏たちと近場の韓国風飲み屋で打ち上げ。再発CDのライナーに「グンジョーガクレヨンは練習なしでぶっつけ本番で即興演奏をする」と書いてあったが、実際はかなり厳しい練習を重ねていたそうだ。毎回組原さんがテーマを作り即興演奏とテーマの流れを徹底的に鍛えたという。PASSレコードの最初のアルバムは超一流のスタジオとエンジニアでレコーディングされたこと、坂本龍一さんが突然スタジオへやってきてメンバーの意志とは無関係にリミックスをしたこと、組原さんには未発表のソロ・アルバムがあること、など興味深い話が聞けた。

グンジョーに
園田さんが
戻ったよ

<ライヴ情報>
11/17(土)「やんてらのやぶれかぶれVol.2」組原正(g)+広瀬淳二(ts)入谷なってるハウス
●先行予約連絡先:terapunk@gmail.com

組原さんは広瀬さんにテナーサックスだけじゃなく自転車の車輪のような自作楽器を演奏して欲しいとリクエストしていたので、これまた滅多に観れない貴重なライヴになるに違いない。

▼高岡氏がメンバーをイメージして描いた絵。上から組原さん、前田さん、宮川さん






「こぼれ落ちた気持ち達 高岡洋介展」
2012年10月22日(月)~11月4日(日)13:00~19:00
J3Gallery 中野マンガアートコート1F



コメント (2)
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