A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

モノクローム・セット@新宿 Disk Union 2012.10.21 (sun)

2012年10月23日 00時27分09秒 | ロッケンロール万歳!


モノクローム・セットが17年ぶりのニュー・アルバム「プラチナム・コイルズ」をリリースし来日ツアーを開催中である。彼らの名前はEarly 80’s UK Rockシーンを象徴する「ネオ・アコースティック」の流れの中に燻し銀のように輝いている。「ネオアコ」とは1980年代初頭のポスト・パンク・ムーヴメントの流れのひとつで、新感覚のアコースティック・ロックを奏でる一連のバンド群にメディアが与えた名称である。”アコースティック”といってもアコギではなくエレキギターを使っていたし、シンセ音やダンス・ビートを取り入れたバンドもいるので、あくまでサウンドの感触がアコースティックだったという訳だ。当時は「ニュー・ウェイヴ」に始まり「ネオ・サイケ」「ニュー・ロマンティックス」「ネオ・モッズ」「「ネオGS(コレは日本だけだが)」など何でも「ネオ」とか「ニュー」をつけるのが音楽メディアの流行りだった。「ネオアコ」の代表バンドといえばザ・スミス、アズテック・カメラ、プレファブ・スプラウトの御三家(?)に加え、オレンジ・ジュース、ブルーベルズ、フェルト、トラッシュ・キャン・シナトラズなどがいて、モノクローム・セットもその一翼を担っていた。

「白黒テレビ」を意味する名前の彼らは1978年に結成され、1979年に新興ラフ・トレードの第1弾としてデビュー。アンディ・ウォーホールは彼等のサウンドについて「ベンチャーズとヴェルヴェット・アンダーグラウンドを足して2で割った様」だと高く評価したという。ラフ・トレード傘下のDin Discから出た芸術的なジャケットが印象的な1stアルバム「ストレンジ・ブティック」と2nd「ラヴ・ゾンビーズ」は日本盤もリリースされ、「Fool’s Mate」をはじめとするニュー・ウェイヴ系音楽誌で大きく紹介された。サウンドも英国らしい憂いのあるメロディと瑞々しいギター・サウンドが際立っていたが、不幸なことにレーベルを何度も移籍したためにメディアやファンの好評価に反して継続的なサポートが得られず、知る人ぞ知るマニアックな存在に陥ってしまった。その点はフェルトと似ている気がする。

ザ・スミスやアズカメがブレイクし人気が高まるのに反比例してネオアコというジャンル自体が下火になり1985年に一旦解散。しかし1989年フリッパーズ・ギターをはじめとする渋谷系が盛り上がった日本でそのルーツとしてネオアコ再評価が高まり、モノクロもVinyl Japanから5年ぶりのアルバムをリリース、初来日も果たす。以来1998年まで過去の作品の再発も含め継続して活動した。その頃日本のスペース・シャワーTVに出演した写真がオフィシャル・サイトに掲載されておりStudio WAVEと書いてあるのが時代を感じさせる。2000年代は活動が途絶えていたが、2010年に再々結成、翌年全英ツアーを行い見事に復活、来日ツアーも行った。今年冒頭で紹介した17年ぶりのニュー・アルバムを自分たちのレーベル「Disquo Bleu」からリリースし再来日となった次第。都合で本公演には行けないが、新宿ディスク・ユニオン本館で開催された限定アコースティック・ライヴに参戦した。店頭には新作に加え再発アルバムやTシャツが展示販売されさしづめモノクロ祭り。


3~40代中心に如何にも音楽好きそうなお客さんが集まる。新宿店本館8Fの普段は倉庫兼休憩所らしき部屋にリーダーのビドとギターのレスター・スクエアの2人がアコギを抱えて座っている。”写真もビデオも撮影OK”とのことで一斉に携帯やデジカメで撮影会開始。ステージ横で見ていた他のメンバーも出て来て記念撮影に応じる。


演奏曲は決まっておらず、その場でリクエストを募り「その曲は二人じゃ出来ない」「その曲は忘れたかも」と呟くビド。スタッフに何度も「そろそろやっていい?」と時間を確認、予定通りに始まる。アコギ2本のシンプルな演奏でモノクロならではの哀感たっぷりの歌に聴き入る。脇に控えるメンバーが合いの手を入れたり、観客が手拍子して一緒に歌ったり、和気あいあいとしたいい雰囲気。曲を忘れて中断したり指が痛くて弾けないと漏らしたりするシーンもあったが、アンコールを含み35分の演奏を堪能した。10曲位やったのではないだろうか。演奏終了後にはサイン&握手会。夜の新代田FEVERでライヴのサウンドチェックの時間が迫っていたが、お客さん一人一人に丁寧に笑顔で対応するメンバーはとても素敵だった。大型CDショップのインストアとは違って小さなお店でのイベントは親密感があっていいものだ。




いい気持ちでユニオンでCDを見ていたら偶然中原昌也氏に遭遇。暫く会っていなかったので一緒にお茶に。最近ライヴ活動は控えているそうだ。機材もかなり売り払ったらしい。お金にならないライヴはやりたくない→だけど家賃を払うために仕事=文筆業をしなきゃいけない→しかし文章は書きたくない、といつもの堂々巡りの話になる。ヴィレッジ・ヴァンガードと組めば?とかアイドルに詞を提供しては?などとアドバイスしたが今ひとつピンと来ない様子。しかし40歳を過ぎて気持ち的には一皮剥けた気がすると言う。確かに愚痴っていても昔より晴れやかな顔をしている。来年CDをリリース予定でその制作作業を楽しんでいるとのこと。これまた楽しみが増えた。

モノクロと
ももクロ共演
どうでしょう

モノクロの新作は今まで通りの哀愁メロに年季が加わり懐かしくも新鮮なハイセンス王道ブリティッシュ・ロックが満載。元ネオアコ/渋谷系ファンも最近のギターロック好きもライヴに足を運ぶ価値がある。
コメント (7)
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