ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

はいさい、ヒラリーさん2

2012年06月15日 | 通信-沖縄関連

 拝啓
 ヒラリー・クリントン様

 早速ですが、『国別人権リポート』で他国の人権蹂躙や人種差別などを非難しているのだから、あなたたちは当然、他所の国の住民の命などどうでもいいなどとは思っていないですよね。だけど、東洋の吹けば飛ぶようなちっぽけな島など眼中に無く、遠いことなのかもしれませんが、あなたたちは沖縄人を危険な状態に置き続けています。

  噂には聞いていてご存じだとは思いますが、沖縄の普天間基地は市民生活の真ん中にある基地です。世界で最も危険な基地と言われています。基地の周りには多くの人が生活しており、学校も病院も店舗も多くあります。アメリカ合衆国の法律が「そんな所へ基地を作ってはいかん」と禁止している場所になっています。
 何故あなたたちが「周りに多くの人が生活している所へ基地を作ってはいかん」と禁止しているのかを推察させてもらえば、もしも事故が起きた場合のことを想像しているんですよね。そこにいる住民の命が危険に晒されると考えるからですよね。そこにはアメリカの良心が存在していると私は思います。どの住民も安全に生きる権利があるということです。ですが、あなたたちの軍事基地、普天間基地は全然安全ではないのです。あなたたちが定めている安全基準をちっとも満たしていないのです。

 沖縄人もアメリカ人と変わりありません。切れば赤い血の出る人間です。沖縄人にも人権はあるのです。アメリカの良心が神の意志に沿っているのであれば、その人権を無視して、危険な基地を放置しておくなんてことはできないはずです。
 もしも、あなたたちが「沖縄人だから危険でもいいさぁ」と考えているならば、それは沖縄人に対する人種差別にもなります。人種差別は大きな人権蹂躙です。それはあなた達の嫌うものですよね。現大統領も強く嫌うはずです。

 はいさい、ヒラリーさん。
 東洋一の米軍基地が存在する沖縄から願いを届けさせていただきたいと思います。

 沖縄はアメリカの良心に期待します。リベラル思考のあなたなら、常に危険に晒されている普天間基地周辺の住民に同情してくれるでしょう。頭の良いあなたなら、普天間基地周辺の住民は人権が軽んじられているということを理解してくれると思います。
 沖縄人はアメリカ人の良心に期待し、普天間基地などはすぐにでも無条件撤去してくれることを願います。もちろん、辺野古にその代替基地を作ることも同じことです。その周辺の人々に対する人権蹂躙となります。普天間基地は無条件撤去なのです。
 ついでに申し上げますが、危険な乗り物であるオスプレイを普天間基地に配備することは、沖縄人の人権を考えれば1機たりとも、1日たりともできないことだと思います。アメリカ人の良心が我々と同様に思ってくれることを期待しています。
                                    敬具
          

 記:2012.6.15 島乃ガジ丸


はいさい、ヒラリーさん1

2012年06月15日 | 通信-沖縄関連

 安全性に問題があるとされている垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが、世界で最も危険な軍事基地と言われている普天間基地に配備されようとしている。オスプレイは開発段階から数回の事故を起こしており、今年4月にはモロッコで墜落した(事故は一昨日にもあったね)。先だって、その墜落原因について「機体に機械的な不具合はなかった、人為的ミスだと思われる」とアメリカは非公式で日本側に伝えた。
  墜落原因はなお詳細な調査が必要なようで、その正式な発表は「なんとか年内には」となっているらしい。ところが、墜落原因が解明されない内にオスプレイを普天間基地に配備したいとアメリカ軍も日本政府も沖縄県に要請している。

 いやいや、たとえ墜落原因が伝えられたように「人為的ミス」だとしてもだ、「人為的ミス」ということは操縦ミスに他ならぬであろう。オスプレイは推進機構が複雑で操縦が難しい乗り物であると聞いている。改良を重ね「実用化以降の事故は2度しかない」だとしても、操縦が難しいのであれば一般のヘリコプターより事故は起りやすいはずだ。やはり、オスプレイは危険な軍事用乗り物であると言って良い。
          

 アメリカでは軍隊の使う飛行場には安全基準が設定されている。その基準においては、滑走路の延長線上に住宅、学校、集会場、病院などがあってはいけないとされている。滑走路の両端からそれぞれ両方向へ、近い所から順に「クリアゾーン(利用禁止区域)」、「APZ-Ⅰ(事故危険区域1)」、「APZ-Ⅱ(事故危険区域2)」という区域が設定され、そこに住宅、学校、集会場、病院などがあってはいけないとなっている。それらがあった場合は飛行場を作れないことになっている。
 さて、普天間基地はその安全基準に適っているのか?・・・当然、否である。

  普天間基地は宜野湾市の真ん中にあり、基地の四方八方が市民の生活区域である。住宅も密集しているし学校や病院も店舗もたくさんある。
 滑走路から最も近く最も危険とされている「クリアゾーン」でも住宅地が半分近くを占め、北側には普天間第二小学校がすっぽり収まっている。「APZ-Ⅰ」、「APZ-Ⅱ」にいたっては、さらに多くの住宅、学校、集会場、病院などがあり、北方面は北中城村まで及び、普天間高校、北中城小、北中城中などが入っている。南方面は浦添市大平辺りまで含み、そこはもう市街地となっていて、住宅は密集し、多くの学校、公共施設、病院などがある。やはり、普天間基地は危険な軍事基地と言って差支えなかろう。
          

 さて、アメリカ国務省は『国別人権リポート』なるものを毎年公表している。『国別人権リポート』とは「国際社会で認識されている人権について、その状態に関する包括的で完全な報告書」とのことだが、具体的には、例えば、人権活動家を拘束しているということで中国やミャンマーなどを非難したりしている。それを考えるとつまり、アメリカ合衆国は人権に対して敏感であり、人権を大事にする国であると想像できる。
 現在、国務省の長官はヒラリー・クリントンだ。彼女は、彼女の夫と共にリベラル派と見なされている。弱者に優しいはずだ。彼女に手紙を出そう。

 記:2012.6.15 島乃ガジ丸


イノシシ

2012年06月15日 | 飲食:食べ物(材料)

 野生の美味

 イノシシ年だったのは何年前だったか、フユー(怠けるという意のウチナーグチ)しないで調べた。2007年だ。子、丑、虎、卯、辰、巳、午、未、申、酉、戌、亥だから、今年は辰年ということになる。あってるか?・・・あっている。
 その前年2006年の年末に動物としてのイノシシを紹介した時、「(亥年の)来年はきっと、イノシシを食ってやろうと思う。」と書いているが、それから約5年半が過ぎた今年(2012年)6月、念願のヤンバルイノシシを食う機会を得た。

 5月の初め、大宜味村で無農薬有機農家をやっている知人のTさんから「国頭村の猟師がイノシシを撃ち殺して、その肉を20キロ貰った。食べにくるか?冷凍しておくからいつでもいいよ。」と連絡があり、6月2日に牡丹鍋会をやることになった。
 その連絡があった約二週間後、大宜見村の元アグー養豚農家のDさんに会い、アグーについての話を聞いた。Dさんは100%アグー(市販のアグーの多くは他の種の豚との交配種)を生産していた。「100%アグーは美味しいですか?」と訊くと、
 「そりゃあもう、とても美味しいです。」と答える。
 「じつは再来週、イノシシを食いに行くんですが、イノシシはどうですか?」
 「イノシシですか、それは羨ましい。アグーが美味しいといっても、野生のイノシシには勝てません。食べているものが違うからだと思います。」

 テレビや雑誌などで紹介されているアグーはJA沖縄が商標登録した主に白豚とのハーフのアグーだ。それでも美味しいと評判のアグー、100%アグーならさらに美味しいであろう。その100%アグーの味を知りつくしているDさんが言うのだ、「アグーが美味しいといっても、野生のイノシシには勝てません」これはもう間違いない。
 じつは、Dさんと会うちょっと前に無農薬農家Tさんと私は会っている。その日大宜見に行くということは前日に伝えてあって、お昼前に電話があったのだ。
 「昨日、罠にかかったイノシシがいて、その肉を今から買いに行くが、2キロ単位で3000円、要るか?鍋用の肉は冷凍してあるが、今日のは生だ、旨いぞ」
  せっかくの申し出だったが、いくら美味しいと言っても、100グラム150円と安めであっても、2キロはあまりにも多い。一人暮らしに消費はできない。イノシシはアグーよりずっと美味しいとDさんから聞いた後なら購入したかもしれないが、断った。
 Dさんに会うちょっと前、同じ大宜味村の平飼い(鶏を狭い籠では無く地面の上で飼育すること)養鶏場へ玉子を買いに行った。そこでばったり、Tさんに会った。養鶏農家の人たちへ生イノシシ肉を届けにきたとのこと。養鶏農家の人たちは4キロの生イノシシ肉を購入したらしい。「そりゃあもう美味しいからね」とのこと。さすがヤンバルに住んでいるだけのことはある。イノシシの美味さを知っているのだ。

 さて、6月2日に牡丹鍋会、「たくさんあるから何人来てもいいよ」というTさんの言葉に甘え親戚友人に声をかけた。すると、親戚から6人、友人から8人(わざわざこの日のために仕事を休んで東京からきた3人を含む)が参加した。「イノシシ肉なんて嫌だなぁ、食べたくないなぁ」と言っていた従姉も含め、皆が牡丹鍋の美味さに満足したようであった。肉に全然臭みは無いし、十分煮込んであるので固くも無かった。
  鍋の出汁には秘密があった。その日の数日前にTさんから連絡があり、「聞いたら食べたくなるかもしれないので誰にも言うなよ」との前置きがあって、Tさんはその秘密を私に告げた。「ハブを捕まえた、ハブからはとても良い出汁が取れる。毒も良い出汁になるからそれも入れる。まあ、美味いから期待してくれ。」とのこと。
 たしかに肉だけでなく、その汁も美味かった。「ハブの味が加わっているんだな」と思いながら私はじっくりと味わった。満足であった。ところが、
 「イノシシはステーキの方がもっとずっと美味い。生肉ならそうしたんだけど今回は冷凍肉だったからな。今度生肉が手に入ったらそれを御馳走してやるよ。」とTさんは言った。それを聞いてつくづく、生肉2キロ、買えば良かったと後悔した。
 
 
 リュウキュウイノシシ(琉球猪):ウシ目の野生動物
 イノシシ科の哺乳類 ニホンイノシシの亜種で南西諸島の固有種 方言名:ヤマシシ
  イノシシという名の由来は『動物名の由来』(中村浩著)に「イノシシの本名はイで・・・シシは獣類のことをいう・・・肉(しし)を取る意味」とある。そういえば、十二支にある猪はイと読む。イ(猪)については、「イノシシは人にであうと怒って背毛を逆立てるが、俗にこれを怒り毛という。イとはこのイ(怒)ではないか」とあった。
 頭胴長80~120センチ、体重35~55キログラム、最大級個体の体重は石垣島で80キロ前後とのこと。ニホンイノシシは頭胴長110~160センチ、体重50~150キログラムなので、それに比べるとずっと小さい。寿命15~27年とのこと。子供にはニホンイノシシと同じく縦縞が入り、いわゆるウリ坊。
 猟が解禁されるのは原則として11月15日から翌年2月15日までらしいが、ヤンバルの農家の人に聞くと、畑を荒らすので、いつでも捕獲しているとのこと。
 

 記:2012.6.10 ガジ丸 →沖縄の飲食目次

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
 『沖縄身近な生き物たち』知念盛俊著、沖縄時事出版発行
 『日本の哺乳類』志村隆編集、株式会社学習研究社発行


映画『ラブ沖縄』

2012年06月08日 | 通信-音楽・映画

 先々週土曜日(5月26日)、映画を観に行った。いつもの桜坂劇場。これはぜひ観ておかなくちゃあと思っていた映画、タイトルは『LOVE沖縄』。
 タイトルから恋愛ものか、沖縄観光キャンペーンか沖縄賛歌の映画と想像しそうだが、そうでは無く、反基地闘争を映したドキュメンタリー映画。普天間代替基地建設反対運動をしている辺野古と、ヘリパッド建設反対運動をしている高江を題材とした映画。

  映画が始まってまもなく「国は何てことしやがる!」と腹が立った。私は、自分で言うのも何だが、温厚である。時々腹を立てることもあるが、立てた腹は腹の内に収め、それを広げることはしない。腹を立てること自体が楽しく無いし、ストレスになる。残り少ない人生(平均寿命を生きたとしても残りはせいぜい20年)楽しく生きていたい。
 腹が立った時に私は、すぐにその元凶を忘れるようにするか、その元凶がそこに存在していたとしても知らんふりをする。つまり、元凶を無視することにしている。腹を立てるのはストレスになる、ストレスは健康に害を及ぼすことになるから。
 ところが『LOVE沖縄』、観て腹が立ったが、その腹立ちの元を忘れ去ることができない。無視することがなかなかできなかった。観終わってもムカっとした気分が残った。ということで、その映画、私にとって精神衛生上悪いものとなった。

 映画の最初に米軍基地反対闘争の大まかな経緯がテロップで流された。
 1995年9月、沖縄米兵少女暴行事件、同年10月に事件に抗議する大規模(参加者が8万人超)な県民総決起大会、などが順次現れる。それらのことは私も当時、新聞やテレビで観て知っている。しかし、米兵少女暴行事件の説明を読み、あらためてその非道ぶりに腹が立った。少女はわずか12歳だったのだ。それを3人で強姦したのだ。

 高江のヘリパッド建設反対闘争の現場では、建設工事に従事する作業員と反対派の人達が掴み合い、罵り合っている。それに対しても大いに腹が立った。
  私も肉体労働者であった(今でもたまに現場へ出る)し、肉体労働が辛いことを知っているし、肉体労働者の仲間も多くいる。なので、私の気持ちは作業員たちの方へ肩入れしたくなる。「ただでさえ難儀な仕事だ、邪魔するんじゃ無ぇ」と思う。もちろん、私は新たな基地建設も基地強化も嫌だと思っているので、作業が進むのを阻止したいという気持ちも分かる。どちらも善良なウチナーンチュだ、「ウチナーンチュ同士で喧嘩させるんじゃ無ぇ!」と強く思い、「国は何てことしやがる!」と腹が立ったのだ。
 「防衛施設局の役人達が楯にならんかい!反対派の一人がその楯を潜り抜けたら作業員を一人減らすというルールにして、作業員がいなくなったら作業を中止して引き上げることにしたら良かろう。そうすれば、掴み合うのも罵り合うのも防衛施設局の役人達の仕事になるじゃないか!」と私はそのシーンを観ながら考えていた。

 腹を立てながらも、未来の沖縄のために頑張っている人達のことを思い、辺野古と高江の頑張っている人達にお菓子の一折も持って行って激励し、感謝したくなった。そうでもしないとこの腹立ちは収まらないに違いない、と思って、先週訪問した。
          
          

 記:2012.6.8 島乃ガジ丸


アグーの本物

2012年06月08日 | 飲食:食べ物(材料)

 沖縄の伝統豚肉

 先月の第三金曜日(5月18日)、出張で来沖していた鹿児島の友人Nがアグーに会いに行くというので、私が車を出して彼に同行した。Nは仕事絡み(直接では無く、仕事に繋がるかも、といった軽いもの)で、私は単に本物のアグーに会いたい、できれば本物のアグーを食ってみたい、という、彼よりもさらに軽い動機。
 「本物のアグー」と書いたが、「本物の」には訳がある。食べ物の豚肉としてのアグーについては2006年5月にこのガジ丸HPで既に紹介している。要約すると以下、

 私はもう何年も前からアグーを知っており、たまには(高いので、頻繁には買えない)食べてもいる。近くにあるAスーパーではだいぶ前からアグーを置いていた。
 その名前が面白かったので、数年前に私はアグーを調べている。沖縄に古くから食用として飼われており、成豚の体重は100キログラム内外と、食用豚にしてはそう大きくは無い。全身黒色の毛で覆われており、いわゆる黒豚といわれるものであるが、素肌は肌色である。鼻先が尖っていて、イノシシに似た強そうな顔をしている。
 アグーが、普通の豚とどの程度味が違うのか、明確には言えないが、まあ、美味しいのだと思う。値段が高いから美味しいと感じるのかもしれないが・・・。

 その高いアグー肉が実は本物では無かったのだ。いや、「本物では無い」という言い方には語弊がある。スーパーに出回っているアグー肉のほとんどはアグーと別種の豚とのハーフなのである。そのハーフの事をアグーとして商標登録しているので名称的には、あるいは法律的にはそれがアグーの本物なのである。しかし、

 友人Nとアグーを求めて具志川のアグー養豚場、今帰仁のアグー養豚場、などを訪ねた後、アグー養豚農家であったD氏と会い、氏からアグーの話を聞いた。
 沖縄県農業協同組合がハーフのアグーをアグー(あぐー)として商標登録し、使用料を払わなければ、D氏のようにアグーとアグーを掛け合わせた正真正銘本物のアグーであってもアグー(あぐー)という名前を使うことができないようにしたらしい。
  本物アグーは出荷できるほどに成長するまでの期間が長く、成長しても100キロ程度と肉量も少なく、また、出産数も少ないので、養豚農家としては経済的メリットが無い。舶来の白豚の方がはるかに儲かる。ただでさえ不経済なアグーであるのにその上商標使用料を支払えなんて、まったくJA沖縄も欲が深い。純粋アグーを育ててきたD氏もこれでは生活が成り立たなくなって、去年の11月には養豚を廃業したとのこと。

 沖縄の食肉文化である豚、その中でも沖縄で古くから飼われ食されてきたアグー、その血を絶やさないよう努力してきたD氏、彼の努力と苦労に感心し、同情はしたが、しかし私の興味は別の所にあった。「アグーってそんなに美味しいの?」だ。
  D氏よると、「そりゃあもう、美味しいです」とのこと。「特に脂身が美味しいです。網焼きするよりフライパンでソテーした方が抜ける脂が少なくて美味しいです。フライパンに残った脂でチャンプルーなど作ると、それもまた美味しいです。」とのこと。
  
 D氏にアグーの本物(100%)肉を置いてある店を教えて貰い、家に帰る途中にその店に寄って、ソテー用のバラ肉を1パック(4切れ)買い、近所の飲み屋に行き、女将さんにソテーして貰い、友人Nと2切れずつ食った。その感想は、
  「脂身が美味しんだったらあまり焼き過ぎない方がいいね」と女将さんは、火がやっと通った程度、焼き色がほとんど着かない程度にソテーしてくれた。Nは美味しいと言っていたが、普段、獣肉の脂をあまり食べない私にはやはり、脂のほとんど残っている脂身は少々きつかった。したがって、アグーの本物が普通の豚(白豚)肉に比べて美味しいのかどうか判断がつかなかった。いやしかし、今考えてみると、普通の豚の脂身をあれだけ食べればもっときついと感じたはず。それを思えば、アグーの脂身はサッパリしていると言える。となれば、アグーの本物は普通のより美味しいと判断しても良い。
 
 
 アグー(あぐー):ウシ目の家畜
 イノシシ科の哺乳類 中国渡来なのか在来なのか不詳 方言名:アグー
 ウシ目(偶蹄類)イノシシ科の哺乳類 方言名:アグー
 沖縄のブランド豚として有名なアグーだが、1980年頃には絶滅の危機にあったとのこと。そこから有志の方々が戻し交配などの努力をして、限り無く本来のアグーに近いアグーの生産に成功し、現在では他の大型、多産系品種との交配種も含め、全県で数百頭にまで回復しているらしい。交配種も「アグー」と呼んでいる。
 アグー同士の交配による純血アグーの肉を生産する農家を二ヶ所訪ねたが、その二ヶ所の豚舎で私が見た限りでは、純血アグーは数十頭ほどである。
 一般に販売されている豚肉に比べ、ビタミンなどの栄養が豊富で、旨味成分のグルタミン酸が多く含まれているとのこと。肉質は柔らかく臭みも少ないとのこと。

 記:2012.6.12 ガジ丸 →沖縄の飲食目次

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
 『沖縄身近な生き物たち』知念盛俊著、沖縄時事出版発行