先々週土曜日(5月26日)、映画を観に行った。いつもの桜坂劇場。これはぜひ観ておかなくちゃあと思っていた映画、タイトルは『LOVE沖縄』。
タイトルから恋愛ものか、沖縄観光キャンペーンか沖縄賛歌の映画と想像しそうだが、そうでは無く、反基地闘争を映したドキュメンタリー映画。普天間代替基地建設反対運動をしている辺野古と、ヘリパッド建設反対運動をしている高江を題材とした映画。
映画が始まってまもなく「国は何てことしやがる!」と腹が立った。私は、自分で言うのも何だが、温厚である。時々腹を立てることもあるが、立てた腹は腹の内に収め、それを広げることはしない。腹を立てること自体が楽しく無いし、ストレスになる。残り少ない人生(平均寿命を生きたとしても残りはせいぜい20年)楽しく生きていたい。
腹が立った時に私は、すぐにその元凶を忘れるようにするか、その元凶がそこに存在していたとしても知らんふりをする。つまり、元凶を無視することにしている。腹を立てるのはストレスになる、ストレスは健康に害を及ぼすことになるから。
ところが『LOVE沖縄』、観て腹が立ったが、その腹立ちの元を忘れ去ることができない。無視することがなかなかできなかった。観終わってもムカっとした気分が残った。ということで、その映画、私にとって精神衛生上悪いものとなった。
映画の最初に米軍基地反対闘争の大まかな経緯がテロップで流された。
1995年9月、沖縄米兵少女暴行事件、同年10月に事件に抗議する大規模(参加者が8万人超)な県民総決起大会、などが順次現れる。それらのことは私も当時、新聞やテレビで観て知っている。しかし、米兵少女暴行事件の説明を読み、あらためてその非道ぶりに腹が立った。少女はわずか12歳だったのだ。それを3人で強姦したのだ。
高江のヘリパッド建設反対闘争の現場では、建設工事に従事する作業員と反対派の人達が掴み合い、罵り合っている。それに対しても大いに腹が立った。
私も肉体労働者であった(今でもたまに現場へ出る)し、肉体労働が辛いことを知っているし、肉体労働者の仲間も多くいる。なので、私の気持ちは作業員たちの方へ肩入れしたくなる。「ただでさえ難儀な仕事だ、邪魔するんじゃ無ぇ」と思う。もちろん、私は新たな基地建設も基地強化も嫌だと思っているので、作業が進むのを阻止したいという気持ちも分かる。どちらも善良なウチナーンチュだ、「ウチナーンチュ同士で喧嘩させるんじゃ無ぇ!」と強く思い、「国は何てことしやがる!」と腹が立ったのだ。
「防衛施設局の役人達が楯にならんかい!反対派の一人がその楯を潜り抜けたら作業員を一人減らすというルールにして、作業員がいなくなったら作業を中止して引き上げることにしたら良かろう。そうすれば、掴み合うのも罵り合うのも防衛施設局の役人達の仕事になるじゃないか!」と私はそのシーンを観ながら考えていた。
腹を立てながらも、未来の沖縄のために頑張っている人達のことを思い、辺野古と高江の頑張っている人達にお菓子の一折も持って行って激励し、感謝したくなった。そうでもしないとこの腹立ちは収まらないに違いない、と思って、先週訪問した。
記:2012.6.8 島乃ガジ丸