ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

子供の心は空を飛ぶ

2014年08月29日 | 通信-その他・雑感

 夏の間は糞暑いので、畑へは早朝に行ってお昼前には帰ることにしている。6時出勤が目標だが、この頃歳のせいか6~7時間の睡眠では疲れが取れなくて、寝坊することが多い。6時25分前に家を出ることができるのは週に1回ほどで、週に6日は6時45分以降の出発となっている。「ん?25分から45分の間の20分は何なんだ?」と思われるかもしれないので説明すると、近所に大きな保育園があって、学校が夏休みの期間中はそこの駐車場でラジオ体操をやっている。その駐車場沿いの道は畑へ向かう通り道になっているのだが、ラジオ体操の邪魔をしてはいけないと思い、その時間帯を避けている。
  6時25分に家を出ると、ラジオ体操に向かう子供たち(大人、たぶん保護者もいる)に出会う。6時45分に家を出ると、ラジオ体操から帰る子供たち(〃)に出会う。子供たちの多くは眠そうな顔をし、嫌そうな顔をし、不幸せそうである。私が子供の頃は夏休みに早起きしてラジオ体操なんて無かったと記憶している。もしもあったとしたら、ネボスケだった私は大いに不満を漏らしたであろう。「何で、せっかくの夏休みで寝坊ができると思ったのに、やりたくもないラジオ体操をしなきゃならないんだ!」と怒って、喚いたかもしれない。眠そうな子供たちを見るたんびに私は同情してしまう。

  早起きしてのラジオ体操は、休みの日でもだらだら生活をさせないための躾かもしれない。我慢と忍耐を教えているのかもしれない。眠そうな目を擦りながらラジオ体操の会場へ歩いている子供たちは忍耐力が付き、将来、上司に逆らわない従順な部下になり、出世していくのかもしれない。あるいはもしかしたら、我慢というストレスをいっぱい溜め込んで、いつかそのうっ憤が爆発してしまうかもしれない。

 夏休み、ラジオ体操に参加したかどうか、従順な小学生だったかどうか分からないが、友人の息子KS2が独立して、商売を始めると言う。まだ25歳の若者だ。
 生まれた頃から私は彼を知っているが、素直で、芯が強く、比較的大人しい子供と私の目には映っている。比較的というのは比較する対象を彼の兄KS1とした場合である。何しろKS1ときたら、通っている保育園を「もう明日から来させないでください」と追い出されたほどの暴れん坊だったので、それと比べればKS2はとても大人しい。
  KS兄弟が子供の頃、キャンプをしたことがある。他の友人の子供たちや私の甥たちが一緒だったことも何度かある。子供たちは大いにはしゃいだ。羽目を外しはしゃいだ。私はそれを許した。他の人に大きな迷惑をかけるとか、大きな事故に繋がる危険な行為で無い限り許した。小さな迷惑はいいのだ、親が謝れば済む。小さな怪我はいいのだ、水で洗って絆創膏でも貼れば済む。手足を思いっきり伸ばして自由に飛び回ることのできる特別な日が年に数回はあってもいい。子供にとってそれは大きな幸せになると思う。
 心が自由に空を飛び回る経験は子供にとって必要なことと、子供の頃親に縛られて「勉強しろ!」とばかり言われていた私は強くそう思う。だから見ろ、親の喜ぶ顔が見たいなどとはちっとも思わない大人になってさ、後継ぎもこさえず、家も消えてさ。

 なんていう話では無かった。KS2が独立して商売を始める。彼の心は今も自由に空を飛んでいる・・・という話のつもりだったが、それはまた後日ということで。
          
          
          

 記:2014.8.29 島乃ガジ丸


老化の印

2014年08月29日 | 通信-環境・自然

 半年ほど前から「おや?」と思うことが我が身に起こっている。朝、靴下を履く際、私はたいていコーヒーを入れながらその合間に履いているが、ドリップにお湯を少しずつ注ぎながら、立ったまま片足ずつ履いている。それまで平気でできていたのに、片足立ちになるとグラグラするようになった。最初の足は右でも左でもまだいいのだが、靴下を履いた足の片足立ちになると特にグラグラする。それはたぶん、裸足だと指が床を掴むようにして立てるが、靴下を履くとそれができないからであろう。それにしても、去年まで(記憶力も衰えているのでもっと前からかもしれない)はなかったこと。老化だ。
 それはまだいい。友人に訊くと、「もうだいぶ前からそんな曲芸はできない」と言うので私はたぶん、同年代では体のバランス感覚、足腰の筋肉は若い方なのだ。それは自信を持っていいのだ。がしかし、先日、「大丈夫か俺?」と驚くことがあった。
  ベッドの縁に腰掛け、パソコン作業をしていると、私のすぐ傍、ベッドの上に一匹の蚊がいた。すかさず叩き潰した。叩き潰した蚊はたっぷり血を吸っていたようで、ベッドに赤いしみが付いた。部屋の中に赤い血を持っている動物は私しかいないので、蚊がたっぷり吸った血の、元の持ち主は私だ。蚊は私の血を吸ったのだ。しかし、私は彼が私の血を吸うのに気付いていない。どこも痒く無いのでどこを刺されたかも分からない。蚊に刺されても気付かないほど私の肌は感覚が鈍っているみたいである。そのうち、殴られても気付かないようになるのではないかと、少し怖くなった。これも老化か?
          

  老化はもちろん、目にあり、歯にあり、脳にもある。空間認識能力が衰えていることも私は感じている。ここにあるはずのものを、以前は見ないでも掴まえたが、今は見ないと掴めない。でっぱりがあることを知っていて、頭を引っ込めて通ろうとするが引っ込め方が少なくて、頭をぶつけたりする。食器を洗って食器乾燥機にしまおうとした時、乾燥機の高さを誤認して、その縁に手をぶつけ、食器を落としたりする。忘れ物はもう言わずもがなだ、いろんなことを忘れるが、例えば、買い物に行く際、買うものを忘れないようにメモしても、そメモを見るのを忘れる。そんなことが我が身に起こっている。
 まあ、しかし、老化は誰にでもあること、当然のこと。しょうが無いと諦める。いいのだ、老いて、そのうち死ぬだけのこと。正しい自然現象だ、問題無い。
          

 去年(2013年)の夏は6月19日からの2ヶ月ほどほとんど雨の降らない大干ばつだった。それが一転、今年の夏は、全国的にも大雨が多く、大きな災害も起きているようだが、沖縄も雨が多い、梅雨明け6月下旬からの去年と今年の降水量を比べると、
 13年6月中旬 32.0 下旬 0.0 7月上旬  0.0 中旬4.0 下旬 0.5 8月上旬 17.0 
 14年6月中旬189.5 下旬88.5 7月上旬411.0 中旬1.5 下旬81.5 8月上旬115.0
となっている。この間を合計すると、13年は53.5ミリ、14年は887.0ミリだ。変化が大き過ぎる。地球に何かが起きている。地球が老化しているのかもしれない。
 ラジオのニュースからは聞こえてこないが、このどうかしている気象は日本だけではなく、きっと世界規模で起きているに違いない。大陸の内陸部などでは大干ばつとかになっていないだろうか?大雨も日照不足も干ばつも農作物に影響を与える。食糧難になるかもしれない。食糧難は暴動を生む、暴動は戦争に発展しかねない。恐ろしや。
          

 記:2014.8.29 島乃ガジ丸


オキナワテングスケバ

2014年08月29日 | 動物:昆虫-カメムシ・セミ

 イバヤーでは無い

 イバヤーとは威張るの語尾「る」をERにして「威張る人」という意の沖縄語。沖縄語におけるERの法則は別項に譲る(いつになるか不明)として、イバヤーには傲慢な人という意味も含まれている。傲慢者には別にウグイムンという言葉もある。傲慢はそのままゴーマン、またはチーワクと言い、高慢はタカウチャギと言う。ちなみに断っておくが、ウグイムンもチーワクもタカウチャギも、今回、沖縄語辞典を見て私は初めて知った。威張ることでは無いが、私はウチナーグチに精通しているわけでは全く無い。
 沖縄語辞典をさらに調べてみた。で、知ったのだが、威張る、傲慢、高慢に相当する沖縄語はあるが、謙虚、謙遜に相当する沖縄語が無い。何故かと考えてみた。

  「クヌメェ(前)ーや、難儀しとぅらちニフェーどー。」
 「ヌーンアランさ、あぬアタイや朝飯めぇやさ。」
 「さすがやっさー、ィヤーが腕や日本一あらに?」
 「アンスカーアランよ、日本三とか四アタイやがら。」

 以上、友人の大工に仕事を頼んだ際の会話を想像してみた。和語に訳すと以下。
 「このあいだは、難儀してくれて有難うな。」
 「何でも無いよ、あれくらいは朝飯前さぁ。」
 「さすがだな、お前の腕は日本一じゃないか?」
 「それほどでもないよ、日本三番とか四番くらいかなぁ。」

  「それほどでもないよ・・・」は、文頭だけみると謙遜に聞こえるが、全体的には大工として日本国で三番目か四番目の腕前であると大層な自慢をしている。例えば、
 「さすがだな、お前の腕は村一番じゃないか?」と問うたら、
 「あたいめぇーてー!」と不機嫌になりかねない。そういった性格の人間が沖縄には多いと思われる。謙遜は倭国の美徳であり、南国の呑気な沖縄ではあまり流行らなかったのかもしれない。ちなみに、私は高慢では無い。が、謙虚とも全く言えない。

 テング(天狗)には「高慢なこと」という意味もある。オキナワテングスケバはテングと付いているが、けしてイバヤーでは無い。私の畑の作物を荒らすことは無い。畑の端っこの木陰になる辺り、そこの葉上などにいつもひっそりととまっている。

 
 オキナワテングスケバ(沖縄天狗透翅):半翅目の昆虫
 テングスケバ科 沖縄諸島、先島諸島に分布 方言名:不詳
 名前の由来は資料が無く正確には不明だが、スケバは翅が透けているから、テングは頭部が前方へ突出していて、天狗のようであるから、オキナワは沖縄に生息しているから、ということでオキナワテングスケバという名前だと思われる。。
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』に「サトウキビやイネの害虫。ススキ、ハイキビなどのイネ科雑草にも多い。」とある。サトウキビやイネの害虫であるならば、ウチナーンチュにとってどうでもよい虫では無い。しかも、沖縄に生息しオキナワと名前もついているからには方言名があるはずだが、しかしながら、どの文献にもその記載は無かった。
 畑にハイキビは無いが、ススキ、チガヤ、メイシバ、オヒシバ、エノコログサなどのイネ科雑草は多くある。したがって、時期(春から梅雨時)になると本種をよく見る。小さいけれども、鼻が突き出たような独特の形をしているので、すぐにそれと判る。
 体長は13ミリ内外。成虫の出現は4月から10月。寄主はイネ科植物、シマグワ。
 
 横から

 記:ガジ丸 2014.8.16 →沖縄の動物目次

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
 『沖縄身近な生き物たち』知念盛俊著、沖縄時事出版発行
 『沖縄の野鳥』沖縄野鳥研究会編、(株)新報出版発行
 『沖縄釣魚図鑑』新垣柴太郎・吉野哲夫著、新星図書出版発行
 『名前といわれ昆虫図鑑』偕成社発行
 『日本の甲虫』(株)北隆館発行
 『水族館動物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団監修・発行
 『磯の生き物』屋比久壮実著・発行、アクアコーラル企画編集部編集