ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

ニイニイゼミ

2014年08月22日 | 動物:昆虫-カメムシ・セミ

 ハーフ?

 1972年の本土復帰までアメリカの施政下のあった沖縄、その頃、周りには異人さんがいっぱいいた。インド人も中国人もフィリピン人もいたが、当然のことながらアメリカ人がいっぱいいた。アメリカ人の多くは兵隊で、兵隊の多くは若者で、若者の多くは下半身に抑制が効かない者たちで、したがって、沖縄の娘と恋に落ちる者も多くいたに違いない。本物の恋ではなく、下半身だけの恋というのも多くあったに違いない。
 というわけでその頃、私の周りには混血児が少なからずいた。混血児を当時は合の子と呼んだ。合の子、差別用語だろうか?と思って広辞苑を引く。「混血児。また、異種の生物の間に生まれた子」とある。「異種の生物の間」とは随分な表現だ。人種が違うと異種の生物ということになるようだ。まてよ、そもそも人種って何だ?
 広辞苑に「コーカソイド(類白色人種群)・モンゴロイド(類黄色人種群)・ネグロイド(類黒色人種群)の三大人種群に分類されるが、オーストラロイド(類オーストラリア人種群)・カポイド(コイサン人種群)を加えた五大分類も行われている」とあり、白色人種、黄色人種、黒色人種と大別されている。なるほどそういうことかと納得。

 今年(2014年)6月、畑の向かいにある森に分け入った際、小さなセミが目の前に止まった。見たことの無いセミだったので写真を撮り、図書館から図鑑を借りて何者か を調べた。ニイニイゼミの類と見当はつけていて、確かに、ニイニイゼミの類のいずれにも似てはいた。似ていたが、どれであると特定はできなかった。
 体の色、でっぱりの形はニイニイゼミだが、前翅の特徴、生息場所はクロイワニイニイである。「どっちだ?」と悩んだが、ここではニイニイゼミということにした。
 でも、もしかしたら、私が見た両方の特徴を併せ持つ個体、ニイニイゼミとクロイワニイニイの混血かもしれない。もしかしたら、アメリカ人と日本人の混血で、髪の毛の色は黒、目の色は青、肌の色は白、鼻は高く脚も長いが、目は一重の混血児がいるかもしれない。そうそう、混血児とか合の子とか言うよりも、もっと優しく、聞こえの良い言い方が今はあったね。瞼は一重の切れ長だけど、瞳の色は青色のハーフ、いるかな?

 
 ニイニイゼミ(にいにい蝉):半翅目の昆虫
 セミ科 日本全国、南西諸島(沖縄島が南限)、台湾に分布 方言名:不詳
 名前の由来、広辞苑に「じいじいと鳴く」とあり、「じいじい」が「にいにい」となって、ニイニイゼミなのだと思われる。蝉はおそらく漢語だが、発音のセミの由来は、蝉の和音か、鳴き声からか、はっきりしていないとのこと。
 クロイワニイニイとよく似ている。『沖縄のセミ』によると本種はクロイワニイニイに比べ体が一回り大きく、体の模様がクロイワニイニイは緑色だが、本種は茶色がかっており、目の後ろのでっぱりがやや大きく、角ばっている。また、前翅の透明な部分が狭い。私が見たのは、体の大きさは比べていないが、「茶色がかっている」、「目の後ろのでっぱりがやや大きく、角ばっている」という2点ではニイニイゼミだが、「前翅の透明な部分」の広さにおいてはクロイワニイニイである。さらに、『沖縄のセミ』によると、日本では沖縄島が南限で、沖縄島でも「沖縄市以北でしか見られません」とある。私が見たのは西原町、沖縄市以南にある。でも、体の特徴はニイニイゼミに近い。
 というわけで、写真の個体、どちらか迷うところだが、総合的に見て、図鑑の写真をよく見比べて、ニイニイゼミの雌ということにした。
 体長は20~26ミリ(クロイワニイニイは17~21ミリ)。成虫の出現は6月中~9月上(クロイワニイニイは4月~11月)。鳴き声はチィーとかシィー。方言名、クロイワニイニイにはシーミーグヮーと付いているが、本種は不詳。シーミーグヮーはシーミー(清明)の頃から鳴き声が聞こえるのでということだが、本種の出現する頃はシーミーをずっと過ぎているので、見た目が似ていてもその名はつけられない。
 
 斜めから
 
 大きさ

 記:2014.8.11 ガジ丸 →沖縄の動物目次

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
 『沖縄身近な生き物たち』知念盛俊著、沖縄時事出版発行
 『名前といわれ昆虫図鑑』偕成社発行
 『いちむし』アクアコーラル企画発行
 『学研生物図鑑』本間三郎編、株式会社学習研究社発行
 『昆虫の図鑑 採集と標本の作り方』福田春夫、他著、株式会社南方新社社発行
 『沖縄のセミ』佐々木健志他著、新星出版株式会社発行


ミナミアオカメムシ

2014年08月22日 | 動物:昆虫-カメムシ・セミ

 米は食うけどキビは?

 私の畑ナッピバルの北隣はウージ(さとうきび)畑である。広さはナッピバルより小さい。目測で200坪ほど。持ち主は複数人いる。代表者らしき人はSさん、私がナッピバルを始めた頃から挨拶を交わし、時々ユンタク(おしゃべり)もしている。
 「代わる代わる何人も来るけど、何の仲間ですか」とある日訊いた。
 「模合シンカだ、みんな仕事持っているので、それぞれが休みの日に来ている」とのことであった。ちなみに、模合はモアイと読み、相互扶助的私的金融組合のようなもの、寄合(ユーレー)とも言う。シンカはたぶん、漢字で臣下と表記されると思うが、王様とか親分みたいな者がいて、その家来という意味では無く、単に仲間という意味。

  ウージはあまり手間のかからない作物のようで、Sさんとその仲間達はそれぞれ平均して月に1度か2度やってくるだけだ。耕して、畝立てして、キビを挿して、除草して、肥料を混ぜながら土を被せ、何度か農薬を撒く。農薬は農協から指定されたものを決められた時期に決められた量を使い、必ず使わなければならないらしい。
 「必ず農薬を撒かなければならないんですか?」
 「言う通りにしないと収穫した際に買い取ってくれない可能性がある」とのこと。

 私の畑にもウージが数本ある。自家用だ、自家で何するかというと、いつかウージの汁で酒を作ってみようと思っている。よって、数本でも害虫に食害されて枯らされたら困るのだが、今のところ私のウージに虫害の痕跡は見当たらない。なので、ウージの害虫がどういうものかもまだ調べていない。ミナミアオカメムシはイネの害虫らしい。同じイネ科であるウージも食害するかどうかは不明。なるべく、敵で無いことを祈る。私の畑は農薬を撒かないので、敵はできるだけ少ない方が良い。

 
 ミナミアオカメムシ(南青亀虫):半翅目の昆虫
 カメムシ科 本州~南西諸島、台湾、東南アジア、他に分布 方言名:フー
 名前の由来、資料は無いがだいたいの想像はつく。ミナミ(南)は日本では南の方に多く見られるから、アオ(青)は体が緑色をしているから。カメムシは広辞苑にあり、亀虫と漢字表記され「頭部の突き出た形がカメに似ていることから」。
 「日本では南の方に多く」と書いたが、分布は広く、本州~南西諸島、台湾、中国、東南アジア、オーストラリア、アフリカ、南ヨーロッパ、南北アメリカとのこと。
 「体が緑色をしているから」と書いたが、体色や斑紋によって緑色型、黄帯型、無紋黄色型、緑紋型の4つに分けられるとのこと。最も普通に見られるのは緑色型で、私の写真もそれ。ちなみに、青を広辞苑で引くと、その第二義に「緑色」とある。
 体長は13~16ミリ。成虫の出現は3~11月。寄主はマメ科植物、及びイネ科植物で、イネの穂にに寄生して黒変米を起こさせる害虫とのことだが、水田の少ない沖縄ではその被害も少ないらしい。個体数も少ないと思われる。私は今回初めて見た。
 
 ミナミアオカメムシ子虫

 記:2014.8.12 ガジ丸 →沖縄の動物目次

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
 『沖縄身近な生き物たち』知念盛俊著、沖縄時事出版発行
 『名前といわれ昆虫図鑑』偕成社発行
 『いちむし』アクアコーラル企画発行
 『学研生物図鑑』本間三郎編、株式会社学習研究社発行
 『昆虫の図鑑 採集と標本の作り方』福田春夫、他著、株式会社南方新社社発行