ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

キシモフリクチブトカメムシ

2014年08月08日 | 動物:昆虫-カメムシ・セミ

 牛肉ではない霜降

 首里石嶺に住んでいる頃、近くにスーパーが4軒あり、出勤の日(年毎に週休3日から4日、最後は5日と時短が進んで少なくなっていった)には職場から近いRスーパーで買い物することが多かった。Rスーパーには、牛肉では私が最も旨いと感じている山城牛があった。値段が高いので滅多に食えなかったが、消費期限が間近になって半額になったステーキ肉をたまに購入し、食べていた。そのステーキ、たぶん霜降だったと思う。
 首里石嶺から宜野湾市我如古に移ってからもたまに(年に数回)Rスーパーへ立ち寄ることがあるが、運悪く「半額」に出会わないので、私の大好きだった山城牛を、私はもう3年以上食っていない。・・・食っていないけど、それがとても残念だとは思わない。半額といえど豚肉や鶏肉に比べるとずっと高いので貧乏な今は手が出せない、ということもあるが、牛肉が食いたいという欲求が年齢を重ねるとともに薄くなってきた。

  過日、私の畑に今まで見たことのないカメムシを見つけた。「見たことないのに何でカメムシって判るんだ?」と聞いて欲しい。「形を見て何の仲間であるかはだいたい判るようになったのだ」と威張りたい・・・のだが、じつはそのカメムシ、いかにもカメムシの形をしていたのでそう威張るほどのものでも無いのであった。
 カメムシと判ったが、何という名のカメムシかはもちろん不明。図書館から図鑑を借りて、撮った写真と見比べて、キシモフリクチブトカメムシと断定する。
 「黄色い霜降模様の口の太いカメムシとい うことだな」と勝手に漢字を充て、勝手に名前の由来を想像した。「黄色い」は霜降模様の脂身に当る部分が僅かに黄色、に見えなくもない。霜降模様は高い確率で確かだと思える。口太は写真ではよく判らない。
 霜降は確かに霜降だ、と思いつつ「そういえば、長いこと霜降ステーキを食っていないなぁ」と思い出し、先日、今住んでいるアパートの近くにあるSスーパーで、賞味期限間近で半額となったニュージーランド産ステーキ肉を買い、食べた。
 久しぶりのビフテキなので美味しく料理しようと七輪の炭火で焼いた。それは美味しかったが、「オクラの炭火焼きの方が旨いかも、牛肉はもういいか」と思った。オジーと呼ばれる日も近いオジサンは、牛肉はもう卒業かもしれない。

 
 キシモフリクチブトカメムシ(黄霜降口太亀虫):半翅目の昆虫
 カメムシ科 トカラ以南の琉球列島、台湾、インドなどに分布 方言名:フー
 名前の由来は資料が無く不明。カメムシは「頭部の突き出た形がカメに似ていることから」で、亀虫という標記は広辞苑にもある。漢字は他に椿象ともあったが、その意味は不明。黄霜降口太については私の想像。黄色い霜降状の文様があり、口が太いのであろうということにした。霜降文様は認められるが、黄色では無く、白色に見える。口が太いかどうかは、私の写真では確認できなかった。『沖縄昆虫野外活用図鑑』には「体は淡褐色で不規則な黒紋がある」とあった。よって、私の想像の黄霜降口太、自信は無い。
 体長は11~15ミリ。成虫の出現は周年。寄主は鱗翅目やハムシ類の幼虫とのことなので、農夫にとっては益虫となる。
 マメ科植物を食草とするシロチョウ科の幼虫を捕食するため、ゴールデンシャワーやセンナ類の葉上でよく見られるらしい。私の畑ではグヮバの葉上にいた。グヮバについている蓑虫を狙っているようであった。幼虫の体は楕円形で朱赤色に黒斑がある。
 
 横から
 
 子供

 記:2014.8.7 ガジ丸 →沖縄の動物目次

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
 『沖縄身近な生き物たち』知念盛俊著、沖縄時事出版発行
 『名前といわれ昆虫図鑑』偕成社発行
 『いちむし』アクアコーラル企画発行


自由が目指すもの

2014年08月08日 | 通信-社会・生活

 先月8日の台風8号による畑の被害は酷く、その修復には約一ヶ月を要し、数万円の費用も費やした。野菜を作っているのにその野菜が収穫できず、他所から買わなければならなかったのでそれに要した金もある。金が無けりゃ生きていけない身の上だ。

 自由の好きな私は、他所から食料を得なくても生きていける自由を望んで自給自足を目指しているわけだが、海へ行って魚を釣り、畑の大豆で豆腐を作ってそれらが蛋白質。畑の芋(甘藷)が炭水化物、ビタミンは野菜から、油も畑のゴマや大豆から取り、食い物全てを自産したい。そして、(私が)生きるに必要な酒類も自産自作したい。
 他所から電気を買わなくても電気が使えるようにしたいため、今、風力発電機作りにも少しずつだが努力している。住むところも財産と呼べるような家では無く、粗末な、建築現場のプレハブの、それも6畳1間位の小さなものでいいから、それを畑の傍に置き、独りのんびりと生活できたらいいと思っている。誰にも邪魔されない自由がそこにある。住む場所と畑が近ければ車が要らない。ガソリンを使わない生活ができる。ということはつまり、石油からも自由になれるわけだ。煮炊きの火は薪を使えばいいのだ。
 できれば、着るもの(葉っぱでは無く、布製の、いちおう社会に出て、見られても指を指されない程度のもの)も自産自作したい。それらができたらいいなぁと願っている。まあ無理だとは思うが、それはつまり、金が無くても生きていける自由ということ。

  もしも私が仙人になれるのなら、なりたい。何でも、仙人は霞を食って生きていけるらしい。そうなれば、物を食わなくていい。食料が必要無い。食べることから自由になれるわけだ。スーパーに食料を買いに行かなくてもいい、畑で野菜を作らなくていい、料理しなくていい、などといった自由はまた、スーパーに食料を買い(金が必要となるが)に行ってもいいし、畑で野菜を作ってもいいし、料理してもいいという自由でもある。
 もしも仙人になれたら、着るものも布一枚でいい。何でも、仙人は暑さ寒さに強いらしい。であれば、裸で生活してもいいわけだが、裸だと猥褻物陳列罪で御用になる恐れがあるので、やはり、布一枚くらいは身に着けることにしよう。
          

  もしも仙人になれたら、私は完全なる自由を得ることになるが、仙人になることはきっと難しい、というか、無理。であれば、上記した通り、食料や衣類、電気も自産し、畑の近くに住処があって、ガソリンを使わない生活を目指すのが次善の策。あと10年生きるか、20年生きるか、30年生きるか、あるいは、来年ポックリ逝くかもしれないが、とりあえず「これが私の生きる道」と歌いながら歩いて行こうと思う。
 ただ、食料や衣類や電気を自給自足できたとしても、それで、「私は完全なる自由を得た」などとは思わない。私は実は、多くの籠の中にいて、それらに守られて生きている。多くの籠とは、例えば国であり、県であり、市町村であり、大元の憲法であり、法律などである。まとめて言えば社会である。社会に守られて私は生きている。
 社会と離れて、山奥で一人生きていくことはできるかもしれない。食料を自産し、食って旨いと思う。酒を自産し、飲んで旨いと思う。だけど、それはだけでは楽しく無い。人との関わりが必要だ。私の自由が目指すものは、楽しく生きるということである。
          

 記:2014.8.8 島乃ガジ丸


ホソヘリカメムシ

2014年08月08日 | 動物:昆虫-カメムシ・セミ

 ビール好きの敵

 毎年3月になると5月の幸せのためにエダマメを播く。例年だと市販の種を1袋買い、自分が食べる分だけである1畝(約3坪)分、ちょうど1畝1袋で足りている。
  この春(2014年)はしかし、4畝分を播いた。1畝は私が播いたが、残りの3畝は知人のTが播いたもの。彼は、「畑、ちょっとやってみたい」とエダマメ播きの時期である少し前にやってきた。「自分で作ったエダマメでビールなんていかが?」と訊いたら、大いに乗り気になって、種を3袋も買ってきたのだ。

 エダマメは、首里石嶺の小さな畑付きアパートに住んでいる頃から毎年播いていて、4、5年前から始めた宜野湾の30坪の畑ナツヤでも毎年播いて、ナツヤではたいてい、収穫は上出来で、十分満足できるほどビー ルの肴になった。ところが今年は・・・。
 5月、エダマメの収穫時期になったが、収獲量は、私の畝からは私がビールの肴にする5~6分ほどしかなく、Tの3畝からは、全部足して、私の1畝の2倍くらいしか収穫できなかった。エダマメは私の好物(ビール付きという条件付きで)なのでガッカリ。

 エダマメ不作の原因はよく判らないが、ただ、2種の虫が多く付いているのには早くから気付いていた。1種はコフキゾウムシ、これは去年もいたが、そう多くはいない。もう1種はホソヘリカメムシ、これは、去年は気付かなかった。今年はしかし、夥しくいた。子虫も青年虫も成虫もエダマメに集っていた。彼らがエダマメの果実、あるいは葉を食べているのを観察はしていないが、エダマメ不作の犯人はたぶん彼らだ。

 
 ホソヘリカメムシ(細縁亀虫):半翅目の昆虫
 ホソヘリカメムシ科 本州以南、南西諸島、台湾、朝鮮、他に分布 方言名:不詳
 ヘリカメムシのヘリは、漢字で書くと縁となっている。文献にあるヘリカメムシの仲間の写真を見ると、たいてい胴の横の部分に平たい縁(ふち)がついている。それで、ヘリという名が付いているのかもしれないが、正確なところは不明。ホソという名は、その通り、体が他のヘリカメムシに比べて細いからであろう。
 体が細いのと、後ろ足の大腿の部分が太いのが特徴的。『沖縄昆虫野外観察図鑑』に「子虫は・・・形や行動がアリにそっくり」とあった。擬態ということであろうが、アリに擬態することで敵に襲われにくくなるのは何故か?・・・素人の私には理解不能。
 体長15ミリ内外。成虫の出現時期は周年。寄主植物はセンナなどのマメ科植物や、イネなどのイネ科植物。私の畑のエダマメにたくさんついていた。
 
 斜めから
 
 子虫1  アリそっくり
 
 子虫2
 子虫1より少し成長した姿、成虫の形になりつつある。

 記:ガジ丸 2006.7.2 →沖縄の動物目次
 訂正追記:2014.8.3

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
 『沖縄身近な生き物たち』知念盛俊著、沖縄時事出版発行
 『名前といわれ昆虫図鑑』偕成社発行
 『いちむし』アクアコーラル企画発行