ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

知らしむべし

2013年12月20日 | 通信-沖縄関連

 高校の漢文に、ことわざみたいなもの、または慣用句といったようなものがよく出てくる。その内のいくつかを私は今でも覚えている。「虎穴に入らずんば虎子を得ず」、「国破れて山河あり」、「背水の陣」、「朋有り、遠方より来たる」など。
  「朋有り、遠方より来たる」は「また楽しからずや」と続き、論語の1節。同じく論語からの1節に「民は之に由らしむべし、之を知らしむべからず」というのがある。これも高校の時に習って今でも覚えているものの一つだ。「人民を為政者の方策に従わせることはできるが、その理由を理解させることは難しい。俗に、人民はただ従わせればよく、理由や意図を説明する必要はない」(広辞苑)ということ。特定秘密法が話題になった時に「そういうことなんだろうな」と私の脳に思い浮かんだ1節。
          

 友人のKから先日、「こんな話知っていた?」と、「こんな話」の内容が載っているサイトを見るようにと勧めるメールがあった。翌日、ネットのできる場所へ出かけ、彼の勧めるサイトを見た。沖縄の、反戦平和の立場にある団体を非難するような内容であった。私もまた、個人として反戦平和を願う立場にいるが、その団体と付合いがあるわけでもない(そもそも私は、どの団体とも挨拶以上の付き合いは無い)ので、その団体がいかに非難されようとも、「そんなこともあるだろうな」くらいにしか思わない。
 右が左を非難する時に誇張表現があるように、左が右を非難する時にも同じく誇張表現がある。自分たちが有利になるような情報操作もあるであろう。よって、私はどちらの主張もそのまま鵜呑みにはしない。右の人も左の人も欲深き人間であることには変わりないので、その欲から発生するみっとも無い言動は、どちらにもあると思っている。

  沖縄戦当時の様子を記録した米軍のフィルムがあり、沖縄戦の悲惨さを伝えるためにそのフィルムを買い取り上映する「1フィート運動」なるものがある。以前にテレビでもその中のいくつかを放映していたので、私も少しは観ている。少し観た限りでいえば、「沖縄戦の悲惨→戦争の悲惨」を期待した私にとっては不満のある内容であった。私が観た限りでは、それは「沖縄戦の悲惨→沖縄の悲惨」に編集されているように感じた。
 「沖縄の悲惨」を伝えることによって「戦争を二度と繰り返してはならない」を言いたいのだと思う。それに対しては何の異論も無いが、その言葉の中に「沖縄では」という気分が隠されているような気がする。さらに勘繰れば、「だから沖縄に基地があってはならない」とか「だから沖縄には特段の配慮をせよ」などが含まれているかもしれない。そういったことが私は好きでない。我が主張を有利にするための意図的編集は気持ち悪い。
          

 「沖縄の悲惨」では無く「戦争の悲惨」を伝える。それによって、沖縄人も日本人もアメリカ人も等しく「悲惨」を味わったことを伝える。また、悲惨だけを伝えるのも片手落ちだ。アメリカ軍も日本軍も沖縄で互いに酷いことをしたかもしれないが、一方、アメリカ軍は日本軍の負傷兵を保護した。赤十字の精神である。日本軍の将校が「敵は負傷兵を手厚く保護しております。それを見ると攻撃の矛先が鈍ります」と上官に言ったとの記録があるらしい。人道主義のアメリカ軍も、日本の将校も人間の心を持っている。そういったフィルムがあれば、それらも沖縄の悲惨と同じように発表して欲しいと願う。

 記:2013.12.20 島乃ガジ丸

 参考文献
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『1フィート運動10周年記念誌』10周年記念誌編集委員会編集


ウミネコ

2013年12月20日 | 動物:鳥

 海の陸上動物

 古い歌謡曲・・・歌謡曲なんて今でも使うだろうか?もう死語になっているのだろうかなんてことはさておいて、歌謡曲の中でも演歌だったと思うが、歌詞の中にウミネコが出てくる歌があった。と思い出して、「何ていう歌だっけ?誰が歌っていたっけ?」とこの項を書き始める1時間も前から記憶を、脳味噌の中をいじくりまわしているが、どうしても出てこない。・・・怖い。認知症はこんなことが続いて、その内発症だろうか?
 あんまり考えると心にも悪影響を与えるので、歌のことはもう忘れて、話を「海の陸上動物について」に替えよう。海の陸上動物って何?言葉が矛盾しているがね。
 いえいえ、矛盾は無い。私が言う海の陸上動物とは、生身の動物のことでは無く、言葉としての動物、漢字表記の動物。陸上動物の漢字がついた海の生物のこと。

  今回紹介するウミネコはその一つ、ウミネコは鳥の一種で、漢字では海猫と表記する。陸上動物の漢字がついた海の生物は他に、私でも知っている有名どころで馬、豚、牛がある。海馬は「うみうま」と読み、タツノオトシゴの別称、海豚はイルカの漢字表記、海牛はウミウシ、ナマコに似た浅い海底に生息するムニャっとした奴。
 などと思い出しながら、もっとないだろうか?と広辞苑を開いた。あった。海馬はタツノオトシゴの別称でもあるが、アシカの漢字表記でもあった。他に、海鹿があり、これはアメフラシの別称とのこと。アメフラシとはウミウシに似たムニャっとした奴。海狸なんてのもあった。ウミダヌキと読み「ビーバーのこと」(広辞苑)とのこと。

 タツノオトシゴも、イルカも、ウミウシも、アシカも、アメフラシも、ウミダヌキもみな、おそらく見た目からその名、その漢字表記となっている。ウミネコは、その見た目がネコに似ている、わけでは無い。ネコに似た鳥がいたならちょっと驚くよね、ジブリアニメの世界ならいても可笑しくないが。・・・ウミネコは鳴き声がネコ。

 
 ウミネコ(海猫)
 チドリ目カモメ科の冬鳥 九州以北では留鳥 方言名:不詳
 名前の由来は『野鳥ガイド』に「ミャーオ、ミャーオと猫のような声で鳴くので」とあった。同じ意味で別名ネコドリ(猫鳥)ともある。
 沖縄では冬鳥で、見られる時期は10月から3月とのこと。日本各地に生息し、九州以北では留鳥。カモメの一種で、日本では最も普通のカモメとのこと。
 全長47センチほどで、海岸、河口、港などに生息する。『沖縄の野鳥』に「県内(沖縄)で見られるのはほとんどが若鳥で、全身褐色の地に、濃褐色斑が体中にあり・・・」とあった。私の写真は北海道稚内での成鳥、沖縄ではまだ成鳥も若鳥も見ていないか、あるいは、気付いていない。ミャーオ、ミャーオの鳴き声も生では聞いたことが無い。

 記:2013.12.15 ガジ丸 →沖縄の動物目次

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野鳥』沖縄野鳥研究会編、(株)新報出版発行
 『いちむし』アクアコーラル企画発行
 『検索入門 野鳥の図鑑』中村登流著、株式会社保育社発行
 『野鳥ガイド』唐沢孝一著、株式会社新星出版社発行
 『沖縄 宮古の野鳥』砂川栄喜著、(有)ボーダーインク発行