ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

不注意から災い、懺悔

2013年05月10日 | 通信-その他・雑感

 なっぴ畑に水道は引いていないので、水は雨水に頼っている。水タンクに雨水を溜めて必要な時に使っている。水タンクは2つあり、一つは容量2トン、もう一つは1トン。雨樋からの水は2tタンクに流れるようにしていたが、先日、タンクが満杯になったので2tタンクからパイプを繋いでそこから溢れた水は1tに流れるようにした。
  最初から2つのタンクを繋ぐ予定だったので、もう少し注意深く考えてタンクの高さを決めれば良かったのだが、注意深く考えない私なので2つのタンクを繋ぐパイプは私の身長より15センチほど低い位置となってしまった。パイプの向こう側は洗い場になっていてしょっちゅうその下を通っている。行きは立って歩くのでパイプが目に入るが、帰りは概ね座った体制から立ち上がってそこを通るのでパイプがほとんど目に入らない。帽子を被っている時は全く目に入らない。よって、不注意者の私は毎回のようにパイプに頭をぶつけている。パイプを繋いだのは4月23日で、それから昨日まで17日が経過しているが、まだ慣れていない。17日間でだいたい174回くらいはぶつけている。
          

 去年(2012年)、東京在の友人I氏が沖縄に来た時、彼をなっぴ畑に案内した。その帰り、なっぴ畑の近くに住み着いている痩せた老猫を見て、「可哀そうだね」と彼は言い、「お金は私が出すから餌を買ってあの猫にあげてよ」と続ける。野良猫に餌を与えるのを私は好まない。野良は野生として生きればいいのだと思う。食うために闘う、闘って負けたら食えない、食えなくなったら死ぬという野生の法則で生きて行く。そこに人間の気まぐれな「可哀そう」が加わると、野良は甘え、野生の力を失くす。死ぬまで面倒をみてくれるのであればいいが、気まぐれは却って野良には不幸であろう。
 「野良には不幸」などと、いかにも「私は思慮深い人間です、なまじな薄情けはかけません」みたいな言い様をしているが、じつは私は、ちっとも思慮深い人間では無い、野良に対し薄情けよりずっと酷いことをした、懺悔しなければならないことがある。

 先日、畑に出ると、畑小屋の屋根裏から猫が飛び出して逃げた。「あっ、しまった、こんな空間は猫が好きであることを忘れていた、住み着いて子供でも産んだりされたら面倒だ、出入口を塞ごう」と思ったのだが、塞ぐのを忘れたままその日は帰った。
  翌日、それを思い出して対策を考えた。屋根裏は2mほどの高さがあるので目で確認はできないが、猫がいる可能性は高い。で、先ず、ゴキブリ用の殺虫剤を屋根裏に少し撒いて猫を追い出した後、同じ殺虫剤を壁や床に浸み込むほどたっぷり撒いてやれば、その匂いを嫌って猫はここに住み着くことはなかろうと考え、その通り実行した。
 猫はその時外出中だったようで、殺虫剤を少し撒いても猫は飛び出して来なかった。なので、次の作業、殺虫剤をたっぷり撒いた。その後、農作業をして2時間ほど経って小屋に戻って一服していると、屋根裏からミャ、ミャという仔猫の声がした。
 「子供でも産んだり」という面倒なことは既に起こっていたのだ。その可能性もあるということを不注意者の私は考えなかったのだ。ゴキブリ用とはいえ、あれだけたっぷりの殺虫剤、仔猫にとってダメージは大きかろう、死ぬかもしれない。翌日、ミャ、ミャは聞こえなかった。「あー、悪いことしたなぁ」と脚立に乗って屋根裏を覗いた。仔猫はいなかった。猫は子育ての時引っ越すということを思いだした。ホッと安堵する。
          

 記:2013.5.10 島乃ガジ丸


ジュウニマダラテントウ

2013年05月10日 | 動物:昆虫-甲虫目

 農夫を騙す虫

 広辞苑でテントウムシを引くと「テントウムシ科の甲虫の総称・・・アブラムシ・カイガラムシなどを捕食するものが多いが、植物の葉を食うものもある」とある。テントウムシについては既に6種類を紹介しているが、その内、ナミテントウ、ナナホシテントウ、ダンダラテントウ、キイロテントウ、ハイイロテントウなどは「アブラムシ・カイガラムシなどを捕食する」ので農夫にとっては益虫、ニジュウヤホシテントウは「植物の葉を食うもの」なので害虫となる。害虫は1種だけだったが、もう1種見つけた。

  広辞苑のテントウムシの次の項目に『てんとうむしだまし』というのがある。「テントウムシダマシ科の甲虫の総称」のことだが、また「ニジュウヤホシテントウ・オオニジュウヤホシテントウなど、作物を加害するテントウムシ類の、農業上の別称」ともあった。農業上の別称とは「農夫の目から見た名前」と言い換えても良かろう。
 農夫の目から見ると、テントウムシの類は農夫の味方である。しかし、その中に「アブラムシ・カイガラムシなどを捕食することはせず、植物の葉を食うもの」がいる。
 「何だ、おめぇ、アブラムシ食っているのか と思っていたら、おらの大事な野菜を食っているじゃねぇか、騙しやがったな!」ということで、テントウムシ騙しとなる。
 今回紹介するジュウニマダラテントウは農夫を騙す奴のもう1種。

 私の畑なっぴばるにもテントウムシはやってくる。今のところナナホシテントウ、ダンダラテントウの2種しか見ていないが、それらもそう多くは無い。農夫を騙さないテントウムシならばもっとたくさんやってきて欲しいと願うのだが。
 なっぴばるには、テントウムシは少ないが、それの、たぶん100倍位の数のハムシ類がいる。特にウリハムシがごっそりいる。おかげでヘチマ3株、キュウリ2株、シブイ(冬瓜)2株が実を着けぬ内に枯れた。奴らは農夫を騙さない農夫の敵。

 
 ジュウニマダラテントウ(十二斑天道):甲虫目の昆虫
 テントウムシ科 琉球列島、台湾、フィリピンなどに分布 方言名:グスーマヤグヮ
 名前の由来については「上翅には6対(12個)の円状黒班があり」と『沖縄昆虫野外活用図鑑』にあり、12の斑でジュウニマダラなのであろう。
 テントウについては広辞苑に「店頭虫とする説がある」とあった。八百屋の店先にやってくるといった意味であろうか。漢字では天道虫と表記されている。天道は「天地を主宰する神」の意があるので「神の使いの虫」ということだろうか。
 漢字表記では他に瓢虫、紅娘とも広辞苑にあるが、紅娘とはいかにも可愛いらしい。写真を撮ってアップで見るとテントウムシの顔は概ね可愛い。私の主観だが。
 『沖縄昆虫野外活用図鑑』に「微毛で覆われず、体に光沢をもつテントウムシ(ナナホシテントウ、ダンダラテントウなど)は、アブラムシやカイガラムシなどの農業害虫を捕食するので益虫と呼ばれる」とあり、逆に「体表が微毛に覆われているテントウムシ(ニジュウヤホシテントウや本種など)は主に草食性で、・・・などの農作物を食べる種が多く、害虫と呼ばれている」とある。本種もウリ科植物を食害するとのこと。
 体長は8ミリ内外、成虫の出現は3月から11月。寄主はカラスウリなど。
 
 腹側

 記:2013.4.15 ガジ丸 →沖縄の動物目次

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
 『沖縄身近な生き物たち』知念盛俊著、沖縄時事出版発行
 『名前といわれ昆虫図鑑』偕成社発行
 『いちむし』アクアコーラル企画発行