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ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

瓦版032 粗食小食の悪魔

2007年06月01日 | ユクレー瓦版

 週末の夕暮れ時、いつものようにユクレー屋へ行く。ユクレー屋は、門から建物まで十メートルほどは離れているが、その門の辺りからマナの笑い声が聞こえていた。もう吹っ切れたんだろうか。ずいぶんと元気になったみたいだ。中へ入る。

 「やー、外からも笑い声が聞こえていたよ。元気みたいだね。」(私)
 「ほいさ。明日に生きるマナなのさ。何にする?ビール?」(マナ)
 「うん、だね、ビール頼みます。それにしても、マナには元気が似合うよ。」と言って私は、既に早い時間から飲んでいるケダマンの隣に座る。
 「賑やかそうだったけど、何の話してたんだい?」(私)
 「先週、ウルトラの米を地球で育てようかなんて話をしただろ?その米が育ったら高さ20メートルくらいになるってガジ丸が言ってただろ?そんな大きな稲の収穫作業をするなんて想像話でちょいと盛り上がっていたんだ。俺たちはよ、稲の茎を登って、その先にある籾の一粒にやっと辿り着くんだ。その籾にしがみついて、齧っている自分を想像したんだな。俺はさ、毛むくじゃらだろ。まるで野鼠みたいだぜ。」(ケダ)
 「まあ、確かに。それにしても、金儲けを逃がしたのは残念だったな。」(私)
 「うん、それはまったく残念だった。」(ケダ)

 なんて会話をしていたら、マナがビールを持ってきて、そして、話に加わった。
 「あんたたちさあ、マジムンでしょ?別に食べなくたって生きていけるんでしょ。それがさあ、何で金儲けしようなんて思うのさ?」(マナ)
 「まあな、確かに俺たちに金は必要ないんだけどな。金は何ていうか、まあ、欲望の一つの対象ということだな。欲を満足させるための道具みたいなものだな。」(ケダ)
 「でもさ、マナ、ケダマンはそれを遊びの一つとして捉えられるんだけどね。普通の人間の中には、欲を満足させることそのものが人生になっている人も多いんだよ。」(私)
 「だってさ、欲があるから人は生きてるんじゃないの?」(マナ)
 「いや、生きるのに必要な欲ってのは、実はさほど多くはないんだ。もう十分満たされているのに、もっともっとと欲しがってしまうんだな。一種の病気だな。」(私)
 「そんな人間に、『ダンナ、美味い話がありますぜ。濡れ手に粟の儲け話ですぜ。あっしが手伝いしますぜ。』なんて悪魔の囁きが聞こえてくるんだぜ。」(ケダ)

 その時、突然、もわーっとした空気が流れてきて、
 「呼んだか?」と声がして、怠け者の悪魔グーダが現れた。
 「わっ!」と我々三人は驚いて、同時に声を上げる。
 「急に出てくんなよ。びっくるするじゃないか。」(ケダ)
 「呼ばれて、飛び出てジャジャジャジャーンさ。」
 「あんた、ハクション大魔王か?まったく。」(ケダ)
 「まあ、悪魔なんだけどな。急に名前が呼ばれたから、急に出てきたのさ。」

 グーダはいかにも悪魔の格好をしているが、そう悪い奴では無い。マナも前に会っているので、そう怖がってはいない。少し経って落ち着くと、
 「何か飲む?」とグーダに訊いた。
 「うん、そうだな、泡盛の水割りをジョッキでちょうだい。」
 「何か食べる?・・・って、悪魔も何か食べるの?」
 「人間の食べ物はあまり食わないな。まあ、食って食えないことは無いから、たまには食うこともあるけどな。でも、人間の食い物を食っても、俺たちには何の役にも立たないんだな。悪魔にはそれとは別の食い物がある。好物の食い物もあるよ。」
 「それって、本かなんかで読んだことあるけど、人の不幸ってこと?」
 「まあ、早い話が、そういうことだ。」
 「私、前にすごく悲しいことがあったんだけど、そういうのが食い物になるの?」
 「いや、一般には、悲しみは悪魔たちの食い物ではない。まれにはそういったゲテモノ食いの悪魔もいるがな。悲しみのほとんどは愛情から出るものなんだ。愛がある故に悲しみは生まれるんだな。愛は、悪魔の最も嫌うものとなっている。悪魔の好物はそれと対極にあるもの、つまり、憎しみとか怒りとか、妬みなんかが我々の好物となる。」
 「グーダもやっぱり、そういうものが好物なの?」
 「いや、私は”まれには”の方だ。仲間からはゲテモノ食いと呼ばれている。元々、粗食小食でやってきているしな。だからこうやって、今でも痩せっぽちなんだ。」
 「え?、本で見る悪魔は皆痩せているみたいだけど、違うの?」
 「うん、人間界は憎しみ、怒り、妬みで溢れているからな。悪魔が食うに困ることは昔からちっともないんだが、人口が増えている分、そういったものは昔より今の方がずっと多くなっている。食い過ぎて、肥満体になっている悪魔も増えているんだよ。」

  肥満体の悪魔をケダマンが想像して、皆に見せてくれた。そのひょうきんな格好に皆が笑って、場が賑やかになった。一人、マナだけが真面目な顔して、話を続ける。
 「ゲテモノ食いということは、グーダは悲しみを食べてるの?」
 「そう、悪魔にとって悲しみは粗食ということになる。そういえば、マナの涙も私の食い物の一つになったよ。あんまり美味くは無かったけどさ。」 
 「あー、そりゃあ不味そうだ。俺は食いたくないな。ハッ、ハッ、ハッ。」とケダマンが笑い、「何さ」といった顔をしていたマナもつられて笑い、場はさらに明るく賑やかになった。その夜の宴会は、悪魔の帰る時間である明け方まで楽しく続いた。
     

 記:ゑんちゅ小僧 2007.6.1


ジェンダーってナンジャー

2007年06月01日 | 通信-社会・生活

 パソコンを始めて3年余りになる友人のHは、3年経った今でも、メールさえ満足にできない。「写真送るのはどうするんだっけ?」などとたびたび訊く。覚える能力も衰えているには違いないが、なにより、覚えようとする意欲が足りないのである。「わからん時は訊けばいいさあ」くらいに思っているようである。
 そういう私もまた、Hのことをとやかく言う資格はあまり無いのである。テレビを観ていて解らない言葉が出てきても、まず調べない。で、覚えようとしない。

 女子高生の使う言葉が解らないのは、別に恥ということにはならないと思うが、頻繁に使われている政治経済などの用語が解らない。特に、最近の外来語はほとんど解らない。解らない言葉はおそらく無数にある。解らないので、思い出すこともできない。クライアントとかリベンジとかを最近、何となく分るようになったくらいだ。が、そういった言葉も、「日本語に訳せるだろう、日本語にしてしゃべってくれ!」と思ってしまう。
 ロハスって言葉も最近よく耳にしており、何となく分るようになった。健康的で環境に優しい生き方ということではないかと認識している。
 最近聞いた言葉では他に、ジェンダーというのがある。男女同権とか、雇用機会均等法とかの話題の中で出てきたので、そういう関係の言葉だとは思うが、「ジェンダーってなんじゃー!」なのである。「一般庶民の分る言葉を使ってくれ!」と思ってしまう。

 話の流れから、「女の特性、男の特性をそれぞれ平等に生かせる社会」をジェンダーは連想させたが、当たっているかどうかは不明。強いて調べようとしない、覚えようとする意欲が足りないオジサン(開き直りでは無い、他にやることがあるのだ)なのである。それはともかく、もしもそうであるなら、ジェンダーという考え方は正しいと思う。

 離婚後300日問題のニュースを観ていて、そんな理不尽な法律が大昔から改正されずにいたのかと思った。それはまるで、「夫の浮気より妻の浮気は罪が重い」みたいではないかと思った。何年か前に、自分は浮気する友人のTが「女房の浮気は絶対許さん」と言っていたのを思い出す。彼はまた、「家族を養う稼ぎができないんだから、女房が夫に従うのは当然だ」などとも言っていた。それは今の社会が、「女の特性、男の特性をそれぞれ平等に生かせる社会」じゃないからだろうと私は思うのである。
 法改正が、「離婚を助長する」、「家族制度が崩壊する」とかの理由で反対されたらしい。反対したのはおそらく、妻は夫に従い、子供は親に従いを当然だと思っている歳取った政治家たちである。人間を型に嵌めるのが好きな保守層である。離婚は手続きの問題では無い、心の問題である。家族は形では無い、心の繋がりである。

  離婚後300日規定は、極端に言えば、男が女の生殖を管理支配するために作られたと思われる。さっさと撤廃すれば良いのにと私は思うのだが、テレビの報道番組を観る限りでは、世の女性たちの「法改正しろ!」という声はちっとも盛り上がっていないみたいである。何故だろう。「法改正しろ!」は、男の私でも思っているのに。
 と思っているからといって、じつは、私が女性の味方というわけでは無い。一夫一婦制は好きじゃないなあ、と思う立場から物申しているだけである。不届き者です。
          

 記:2007.6.1 ガジ丸