5月2日、金曜日の職場の仕事を早めに切り上げて、午後5時頃から首里城近辺の散策をする。目的は、首里城近辺にドバトがいるかどうかを確かめるのと、ギョボクとシウンボクの写真を撮ること。ギョボクの開花期は5月から7月、シウンボクの開花期は4月から6月と文献にある。ギョボクは首里城近くの別の公園に、シウンボクは首里城近辺の民家の庭にそれぞれあることを既に確認している。
首里城公園近辺を散策し、そこからギョボクのある公園に行く。ところが、そこにあったはずのギョボクが、消えていた。ギョボクのあった場所にはヒカンザクラが植えられてあった。せっかく足を運んだのに「何てこった!」であった。そこで、はたと気付いた。シウンボクを撮っていない。シウンボクのある場所は、首里城公園を挟んでギョボクのあった公園とは反対側である。時刻は既に6時半、戻ったとしても7時頃になり、薄暗くなって写真は撮れないはずと、その日は諦めた。「何てこった!」であった。
去年の6月、同僚のSさんからの情報でシウンボクのある場所を知り、写真を撮りに行った。花は咲いていなかった。近所の人に訊くと、「4月頃に満開になるよ。」とのことであった。で、先日それを思い出して、「撮りに行かなくちゃ」だったのである。
5月4日、再び首里城公園近くまで行って、今回は真っ先にシウンボクへ向かう。紫の花が樹冠いっぱいに咲いて、まるで紫の雲のように見える、ということから紫雲木という名前である。その景色を期待したが、残念ながら、花の盛りは過ぎていた。
シウンボク(紫雲木):添景・公園
ノウゼンカズラ科の半落葉高木 原産分布はペルー 方言名:なし
青紫色の花が樹冠を覆うようにして咲き、その様が紫色の雲のように見えるのでシウンボク(紫雲木)という名。ジャカランダという名前でも知られている。枝にヘビが絡みやすいから「蛇絡んだ」ということ・・・では無い。ジャカランダは属名。
『沖縄の都市緑化植物図鑑』に落葉樹とあり、『新・緑化樹木のしおり』には半落葉樹とあった。半落葉樹とはたぶん、「葉を落とすけれど全ての葉を落とすことは無い」ということだと思う。そうだとすれば、私が見た限りでは半落葉樹が正しい。
高さは10~20mほどになり、成長も速い。枝が横に広がって幅を取るので民家の狭い庭には不向き。自然に傘状の樹形になると文献にあるが、枝は少々暴れる。
(半)落葉の後に、枝先に花序を出して多くの花がつく。花は樹冠を覆うようにして咲き、全体が青紫色の見事な景色となる。開花期は、『沖縄の都市緑化植物図鑑』に「4~6月、10月」とあり、『新・緑化樹木のしおり』には「4~8月」とある。私の見たシウンボクは4月が盛りで、5月まで咲いている。10月にも咲くかどうかは未確認。
陽光地を好み、耐潮風性は弱い。やや乾燥気味にすると花つきが良いとのこと。
花
葉
記:島乃ガジ丸 2008.5.6 →沖縄の草木目次
参考文献
『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
先週(2007年1月19日)、ケダマン見聞録『立ち裸ルカベ』を書いたが、『立ち裸ルカベ』は、元々は政治向きの話の予定であった。沖縄県民過半数の悲願である基地撤去は、日米安保が『立ちはだかる壁』となっている、という要旨であった。元より暢気な私の脳味噌は、タチハダカルカベが『立ち裸ルカベ』に変化してしまったのである。
『立ち裸ルカベ』の中で、「裏の筋肉を鍛え」どーのこーのとあるが、「裏の筋肉」についての確かな知識を、実は、私は持っていない。ただ、筋肉は、強く固いよりも柔軟で粘り強い方が、「生き残る」という意味では有利であろうというイメージを持って「裏の筋肉」という言葉を使った。強く固いは剛堅(ごうけん)、柔軟で粘り強いは強靱(きょうじん)と表せるが、強靱は、「なかなか滅びませんぜ」という雰囲気を持っている。
サキシマハマボウの幹や枝は、とても強靭には見えない。直径3センチ程度の枝なら人の手で簡単に折れそう(植物を愛する私はそんなことしないので、実際そうであるかどうかは不明)である。海岸近くに多く見られ、潮風に当たり、台風の暴風にも晒される。台風後、細い枝は折られているみたいだが、幹や太い枝は残っている。見た目よりもなかなか強靭な肉体の持ち主のようである。萌芽力も強いようで、台風で細い枝や葉っぱを落とし坊主になったとしても、すぐに枝が生え、葉が出る。
ドラゴンボールZに出てくるピッコロ大魔王は再生能力を持っており、ほんの数秒で無くなった腕も元通りになるのだが、ああいう体こそ「生きる力」という意味では最も強靭な肉体と言えるだろう。よって、サキシマハマボウはやはり、強靭なのである。
サキシマハマボウ(先島黄槿):公園
アオイ科の常緑高木 原産分布は沖永良部以南、熱帯アジア 方言名:ヤマユーナ
オオハマボウと全体の形、花の色形が似ていて、先島(宮古、八重山、与那国地方)に多く見られるからこの名があると思われる。ハマボウ(黄槿)はアオイ科の落葉低木で、ブッソウゲ、ムクゲなどと同じフヨウ(Hibiscus)属。オオハマボウも同じフヨウ属であるが、本種サキシマハマボウは別で、サキシマハマボウ(Thespesia)属である。
「花はオオハマボウによく似る」と文献にあるが、見分けはしやすい。オオハマボウの花の中央部にある暗紅紫色部分は割と大きく、目立つが、本種の場合は小さくてそう目立たない。葉の形は同じくハート形であるが、本種の方が縦長で、また光沢が強い。
高さについての記述がどの文献にも無いが、よく見かけるものは3~4mほどのもの。海岸近くの街路樹、公園の植栽樹として多く用いられている。花は明るい黄色で、夕方には桃色に変わる。一日花。開花期は5月から6月。
なお、ハマボウはその分布の南端が奄美大島となっており、沖縄島には自生がないようである。写真で見る限りでは、オオハマボウによく似ている。
昼の花
夕の花
実
記:島乃ガジ丸 2007.1.20 →沖縄の草木目次
参考文献
『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
去年だったか高校の同窓会があった。200人ばかりが集まったが、その多くは10年ぶりに会う。話を聞くと、もう孫のいる奴もたくさんいた。
私が今、定期的に付き合いのある同級生は、模合(正当な理由のある飲み会)仲間と養老会(養老の滝で始まったのでこの名)仲間であるが、・・・今手元に模合メンバーと養老会メンバーの名簿がある。重複している者を除き、かつ、女性を除くと合わせて22人の同級生がいる。それを見ると、22人のうち孫がいるのはたったの1人。私の周りは晩婚が多いようだ。結婚した年齢を見ると、22人のうち、20代後半5人、30代前半5人、30代後半4人で、40代後半が1人。うむ、なかなかの晩婚集団である。さて、残りの7人はというと、まだ独身なのである。もしも、その残りの7人がこれから結婚するとなると、これはもう、大晩婚と言うべきであろう。
サキシマスオウノキはバンコンである。といっても、成長が遅く、子孫を残す能力を持つのに何年もかかるという意味では無い。この場合のバンコンは板根ということ。地際に生える根が板状になるのである。地盤の軟弱な場所で大きな体を支えるのに、衝立のような板根が役に立つらしい。この板を、昔は船の櫂としても利用したとのこと。
さて、話は戻るが、晩婚とはいったい何歳からだろう。晩婚を辞書でひくと、「年をとってからの結婚。婚期をすぎてからの結婚。」(広辞苑)とあった。曖昧である。それじゃあ婚期とは何歳から何歳までかと、今度は婚期をひく。「結婚に適当な年頃」(同)とある、これもまた曖昧。ならば、「結婚に適当な年頃」とは結婚適齢期のことだと判断して、それを調べる。結婚適齢期とは、「結婚するのにふさわしい年齢」(同)とのことであった。結局曖昧なまま。まあ、世間の結婚する平均年齢から、だいたいこの辺りは晩婚である、と判断すれば良いのだろう。私はしかし、晩婚だろうが大晩婚だろうが、結婚したいと思う時が、その人の「結婚適齢期」だとは思っている。
サキシマスオウノキ(先島蘇芳の木)
アオギリ科の常緑高木 南西諸島、東南アジア、他に分布 方言名:シーワーギー
漢字が文献に無く、勝手に先島蘇芳の木としたが、先島は間違いない、スオウも蘇芳以外には考えられないので、おそらくこれで当たっていると思う。しかしながら、スオウノキを見たことが無く、どの文献にも写真が無いので、本種とスオウノキが似ているかどうかについては不明。スオウノキは染料として有名で、本種も染料となるところから、両者似た色の染料ということなのかもしれない。ただし、スオウノキはマメ科。
高さ5~10メートル。マングローブ林内に多く自生するが、山中でも見られる。公園木としても利用される。花は黄緑色の小さな花。染料になり、薬用にもなる。上記の通り、地際の根は板根となる。板根は船の櫂などに利用されたとのこと。
葉
板根
記:島乃ガジ丸 2006.10.20 →沖縄の草木目次
参考文献
『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
先月、作家の森村桂が亡くなった。「天国にいちばん近い島」の作者であることは知っていたが、不勉強の私は、森村桂をずっとモリムラケイと読んでいた。訃報を知らせるニュースで、「モリムラカツラ」と耳にし、初めて自分の思い違いに気付いたのだった。
作者にもその作品にもあまり興味は無かったので、「天国にいちばん近い島」を私は読んでいない。が、天国にいちばん近い島がニューカレドニアにあるということは知っている。ニューカレドニアのどの島かについてまでは関心を持てないが、きっと、のんびりしたとこなんだろう。たぶん、「ちゅらさん」のふるさと小浜島みたいな所なんだろうな、と想像する。
コバノナンヨウスギは、その自生地がニューカレドニアのノーフォーク島だけだという。世界中見渡しても、この島にしか無かったらしい。コバノナンヨウスギが幸せになる木という話は聞かないけれど、「この木はこの島だけに与えよう」って、なんだか神様に選ばれた島みたいで面白い。「天国にいちばん近い島」の辺りは、神様に目をかけられているのかもしれない。
コバノナンヨウスギ:街路樹・公園樹
ナンヨウスギ科の常緑高木。分布はオセアニア。方言名:無し
別名をシマナンヨウスギという。現地では50mを超す大木となるらしいが、沖縄では20m程度。台風で倒されたというのはあまり見たこと無いが、枝が引きちぎられているのはよく見る。
そのすらっとした容姿は、スギ科、ヒノキ科のほとんど無い沖縄では貴重。ホテルの庭に植栽されているものは、クリスマスツリーとして利用されたりする。
すらっとしているとはいえ、大木になるので狭い民家の庭には不向き。何年か前に、邪魔だから撤去してくれと頼まれ、切り倒しに行った。ナンヨウスギは、大木になると芯が太く堅くなる。白い樹液はゴムのように粘り気がありノコに絡みつく。悪戦苦闘した。
記:島乃ガジ丸 2004.10.20 →沖縄の草木目次
参考文献
『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
現場近くに墓地公園があったので、昼飯食った後、ちょっと散歩した。墓地ではよく見かける木、コバテイシに実がたくさん生っているのを見つける。その実を5個ばかり収穫する。種がアーモンドに似ている風味であると文献にあって、食ってみようと思ってのこと。将来、浮浪者になった時、こういったことがきっと役に立つであろう。
果実の皮を剥く。甘酸っぱい匂いがする。匂いは食えそうだが、果肉は木質で硬い。果肉をペンチで剥がしていく。果肉よりずっと硬い種が出たきた。それをペンチで割る。中に白い仁がある。小さい。果実は長さ50ミリほど、種は35ミリ、仁は20ミリ。長さは申し分ないが、いかにも細い。長さ20ミリの爪楊枝みたいなもの。食う。確かにアーモンドの風味に似てなくもない。お菓子に使え、酒のツマミにもなれそう。
しかし、ペンチを使って皮を剥き、果肉を剥ぎ取り、種を割って、やっと取り出したのが長さ20ミリほどの爪楊枝なのでは、10個ばかりでやっと1個のアーモンドと同等の大きさなのでは、食料と位置づけるにはちょっと厳しい。10個の仁を取り出すのに急いでも20分はかかる。20分の労働がアーモンド1個では全く割に合わないのである。
コバテイシ(こばていし):公園
シクンシ科の落葉高木 原産分布は沖縄以南 方言名:クヮーディーサー
コバテイシ、その漢字も由来も文献に無く不明。コバと頭に名のつく植物はいろいろあるが、それらと同じく、葉が小さいので小葉、ということはおそらく無い。なぜならコバテイシの葉は、どう見ても大きい(長さ15~20センチ)からだ。別名にモモタマナともあるが、花が桃に似ているわけではないし、葉がタマナ(キャベツのこと)に似ているわけでもなく、これも不明。方言名のクヮーディーサー、クヮーは硬いという意味だが、コバテイシの材が特に硬いということもなく、これもまた不明。申し訳ない。英語名のIndian almond及びTropical almondについては『沖縄の都市緑化植物図鑑』に「種子の仁部分に油脂成分を含み、食味がアーモンドに似ていることに由来」とある。
陽射しの弱い冬場は葉が落ちるが、枝が横に広がり、大きな葉と共に沖縄の灼熱の陽光を遮ってくれる。公園や駐車場などの緑陰樹に適する。昔から墓の周辺には多く植えられていて、今でもよく見かける。そのためか、人の泣き声を聞いて成長するという言い伝えも残っている。ウムマーギ(→関連)はたぶん、このことであろう。
高さは20mほどになる。陽光地を好み、成長は速い。耐潮風性が強いので海岸近くの植栽にも向く。花は目立たないが3月から8月に開花。果実は独特な形で比較的大きい(5センチ)ので目立つ。枝先に鈴生りにつける。一応食える果実、その採種期は9月から11月。沖縄では数少ない紅葉する樹木としても知られる。
花
実
根元
種
記:島乃ガジ丸 2005.12.4 →沖縄の草木目次
参考文献
『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行