ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

サキシマハマボウ

2017年07月17日 | 草木:公園街路

 先週(2007年1月19日)、ケダマン見聞録『立ち裸ルカベ』を書いたが、『立ち裸ルカベ』は、元々は政治向きの話の予定であった。沖縄県民過半数の悲願である基地撤去は、日米安保が『立ちはだかる壁』となっている、という要旨であった。元より暢気な私の脳味噌は、タチハダカルカベが『立ち裸ルカベ』に変化してしまったのである。
 『立ち裸ルカベ』の中で、「裏の筋肉を鍛え」どーのこーのとあるが、「裏の筋肉」についての確かな知識を、実は、私は持っていない。ただ、筋肉は、強く固いよりも柔軟で粘り強い方が、「生き残る」という意味では有利であろうというイメージを持って「裏の筋肉」という言葉を使った。強く固いは剛堅(ごうけん)、柔軟で粘り強いは強靱(きょうじん)と表せるが、強靱は、「なかなか滅びませんぜ」という雰囲気を持っている。

 サキシマハマボウの幹や枝は、とても強靭には見えない。直径3センチ程度の枝なら人の手で簡単に折れそう(植物を愛する私はそんなことしないので、実際そうであるかどうかは不明)である。海岸近くに多く見られ、潮風に当たり、台風の暴風にも晒される。台風後、細い枝は折られているみたいだが、幹や太い枝は残っている。見た目よりもなかなか強靭な肉体の持ち主のようである。萌芽力も強いようで、台風で細い枝や葉っぱを落とし坊主になったとしても、すぐに枝が生え、葉が出る。
 ドラゴンボールZに出てくるピッコロ大魔王は再生能力を持っており、ほんの数秒で無くなった腕も元通りになるのだが、ああいう体こそ「生きる力」という意味では最も強靭な肉体と言えるだろう。よって、サキシマハマボウはやはり、強靭なのである。
 
 サキシマハマボウ(先島黄槿):公園
 アオイ科の常緑高木 原産分布は沖永良部以南、熱帯アジア 方言名:ヤマユーナ
 オオハマボウと全体の形、花の色形が似ていて、先島(宮古、八重山、与那国地方)に多く見られるからこの名があると思われる。ハマボウ(黄槿)はアオイ科の落葉低木で、ブッソウゲ、ムクゲなどと同じフヨウ(Hibiscus)属。オオハマボウも同じフヨウ属であるが、本種サキシマハマボウは別で、サキシマハマボウ(Thespesia)属である。
 「花はオオハマボウによく似る」と文献にあるが、見分けはしやすい。オオハマボウの花の中央部にある暗紅紫色部分は割と大きく、目立つが、本種の場合は小さくてそう目立たない。葉の形は同じくハート形であるが、本種の方が縦長で、また光沢が強い。
 高さについての記述がどの文献にも無いが、よく見かけるものは3~4mほどのもの。海岸近くの街路樹、公園の植栽樹として多く用いられている。花は明るい黄色で、夕方には桃色に変わる。一日花。開花期は5月から6月。
 なお、ハマボウはその分布の南端が奄美大島となっており、沖縄島には自生がないようである。写真で見る限りでは、オオハマボウによく似ている。
 
 昼の花
 
 夕の花
 
 実

 記:島乃ガジ丸 2007.1.20 →沖縄の草木目次

 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行