折々の記

日常生活の中でのさりげない出来事、情景などを写真と五・七・五ないしは五・七・五・七・七で綴るブログ。

意気軒昂~職人気質、高い理想を目指すKさん

2010-06-28 | オーディオ談笑会



モチーフ、デザイン構想から仕上げまで約半年、彫刻に2ヶ月。
すべて手彫りによるベートーヴェンの交響曲第九番『合唱』第4楽章
『歓喜の歌』の原文の一部



先日、今年2度目のオーディオ談笑会が主宰者Kさん邸で開かれた。

いつも談笑会にKさん邸に伺って、驚かされるのが、その都度、ホールに新たな試み、工夫がなされていることである。

今回も欄間にベートーヴェンの第九の『歓喜の歌』の原文の飾り文字が手彫りで見事に彫り込まれ、それが周囲の雰囲気と実に調和していて、一同驚きの声を上げてしまった。

そこで、Kさんに今回の趣向について話を聞いた。

以下は、その節、我々に対し、熱く語ったKさんのコメントである。

― 今回、装飾文字を使ったレリーフを作ったのは、かねてから、私がクラシック音楽の最高峰と位置付けているベートーヴェンの第九の『歓喜の歌』の原文を室内のどこかにデザインしたいと思っていたから。

― 苦労したことと言えば、これまでも数次にわたって室内をリニューアルしてきたけど、その際は重厚さ、荘厳さを如何に雰囲気として醸し出すことができるかを念頭においてきました。今回もそういう方向性を踏襲し、中世ヨーロッパ、特にドイツで発展したブラックレターという独特の書体を使ったのですが、このブラックレターの文献等の調査に東奔西走したというのが、先ず一つ。

― 次に、「歓喜の歌」のどの個所の原文を採用すべきか。文字サイズ、間隔など配置をどうすのがベストか、これらの決定にも苦労しました。

― 第三番目としては、こうして決定した290の文字からなる実質2行の文章を一字のミスなく彫り上げること、これには特段の根気と集中力が要求されました。

― 更には、壁面全体と調和させながら、いかに重厚なイメージを出すか、

これらが苦労した点ですかね。

―これまでのステップが山登りの何合目あたりかと問われれば、大雑把ですが5~6合目でしょうか。

―最終的な部屋のイメージですが、南側の縁側からの照明がロマネスク調のステンドグラスを介して室内全体をほんのりと照らす、そんな一種神々しい雰囲気づくりをすることです。最後は宗教音楽に行き着きたいからです。そのためには洋室側3つの窓枠には自作ステンドグラスを嵌め代えすること、和室側では西側の襖戸をクラシックなものにすること、畳フロアをイメージチェンジさせること、そして縁側(南側)には工夫した照明を設けること、などに順次取り組んでいく予定です。 特にステンドグラスの製作には全能力を注入することになります。完成までには2年を予定しています。

Kさんの話を聞いていると、Kさんがこの場所を単なるオーディオマニアのための場所でなく、その規模は小さいと言え、本格的なコンサートホールの雰囲気にいかに近づけるか、その理想、目標にむかってひたすら熱い情熱を燃やし続けているということがひしひしと伝わって来る。

まさに、ことこのコンサートホールに関しては、理想主義者であり、完全主義者であり、また、頑固一徹の職人気質の人であるKさんの一面を存分にうかがわせる話であった。



ベートーヴェンの『歓喜の歌』の飾り文字が彫り込まれている壁面の一部

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