飯島一孝ブログ「ゆうらしあ!」

ロシアを中心に旧ソ連・東欧に関するニュースや時事ネタを分かりやすく解説します。国際ニュースは意外と面白い!

ロシア軍派遣情報をウクライナ大使館に通報・逮捕された主婦に同情集まる!

2015年02月04日 11時36分02秒 | Weblog
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ウクライナ紛争を巡り、ロシア軍派遣の情報をウクライナ大使館に通報し、国家反逆容疑で主婦が逮捕される事件が先月あった。この主婦には幼子を含む計7人の子供がいることから市民の同情を呼び、これまでに4万人から釈放を求める署名が寄せられた。また、ロシア当局がウクライナ大使館を盗聴していた疑いも浮かび、思わぬ波紋を投げかけている。

インタファクス通信によると、この主婦はロシア中西部のスモレンスク州に住むスベトラーナ・ダビドワさん。昨年春、近所にあるロシア軍施設から軍人がいなくなったことを聞き込み、軍隊がウクライナへ派遣されたのではないかと思い、モスクワのウクライナ大使館に通報した。この事実を把握したロシア当局が今年1月21日、スベトラーナさんを国家反逆容疑で逮捕した。

彼女には、夫アナトーリさんとの間に4人の子供がいて、1人はまだ生後2カ月の乳飲み子。そのほか、アナトーリさんの先妻の子供3人の面倒も見ている。このため、弁護士や市民がスベトラーナさんの釈放を求める運動を開始、これまでに4万人の署名を集めた。署名簿は下院議員らを通じて大統領府に提出された。その後、スベトラーナさんは現在地を離れないとの誓約書を提出、拘置所から釈放された。

スベトラーナさんは逮捕後、モスクワに護送され、取り調べを受けていた。裁判で国家反逆罪と判断されれば最高20年の禁固刑が言い渡される。裁判所は3月19日までの拘留を認めたが、世話をしなければならない子供が7人もいるという事情を考慮し、自宅軟禁の措置を取った。

一方、ウクライナのペレビーニス外相は3日、「スベトラーナさんはウクライナ大使館に通報したというが、ロシア当局はどこからその情報を得たのか」と述べ、大使館がロシア当局に盗聴されていた可能性を強く示唆した。さらに同外相は「スベトラーナさんの行動は市民として当然の行為だ」と持ち上げ、ロシア当局の対応を批判した。

ロシア当局はウクライナ紛争で国民の警戒心を高めようとスベトラーナさんを逮捕したのだろうが、逆に市民の反感を買う結果になった。さらに、国家による盗聴疑惑まで表面化し、ウクライナとの関係が一層悪化するというおまけまでついた。プーチン大統領はこの問題をどう処理するのだろうか。(この項おわり)




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