飯島一孝ブログ「ゆうらしあ!」

ロシアを中心に旧ソ連・東欧に関するニュースや時事ネタを分かりやすく解説します。国際ニュースは意外と面白い!

露のウ侵攻から2年、ウ在住のロシア語作家はこう考える!

2024年02月22日 14時24分18秒 | Weblog

ロシア軍がウクライナに侵攻して2年が経過し、各紙誌が色々な角度から今日の状況を伝えている。その中で印象に残った記事は、22日付けの毎日新聞朝刊が掲載したウクライナ在住の国民的作家、アンドレイ・グルコフ氏のインタビューだ。両国を知り尽くした作家だけに両国民の感情をズバリ突いていると感じた。

グルコフ氏はソ連時代にロシアのレニングラードで生まれ、子どもの頃、ウウライナの首都キエフ(現キーウ)へ移住した。ロシア語で小説を書き、『ペンギンの憂鬱』(新潮社刊)で一躍有名になった。両国の国民感情を知り尽くした作家だけに、両国民の気持ちをうまく代弁していると思い、要旨をまとめてみた。

グルコフ氏はウクライナ軍が昨年6月に始めた「反転攻勢」に大いに期待した。だが、夏には早くも期待がしぼみ、ウクライナの人々は現実を直視する段階に入ったという。つまり、欧米からの支援は十分でなく、終戦は誰にも想像ができないと明確に認識した。人々は希望を捨てたわけではないが、何年も戦争状態が続くことを受け入れているというのだ。

この後、グルコフ氏はロシア人とウクライナ人の違いを指摘する。曰く、ロシア人は自由よりも安定を重視するが、ウクライナ人にとっては安定より自由が重要だ。一方、ロシア人はウクライナの文化や言葉を破壊し、ロシア人になることを強制する。ウクライナ人はこうした押し付けを最も懸念する。ウクライナ人は個人主義的で、集団主義のロシア人とは大きく異なるとしている。

続けてグルコフ氏は、ロシアは侵略をやめることはなく、どんな停戦も一時休止にすぎないと断定。プーチン大統領は世界地図からウクライナという文字を消したいだけでなく、米国などの民主主義国家に屈辱を与え、「ロシアが決めたら彼らは何もできない」と誇示したい考えを持っていると断言する。

さらに同氏は、ウクライナとロシアの将来の関係について、「ロシアの暴力はこの国に深い憎しみを植えつけた。子供たちは自国の東側には『手が血まみれの敵』がいて、西側には友人やパートナーがいると学びながら成長する」と指摘する。

その半面、文化的な影響力は敵意を和らげるので、ウクライナの若者文化などにロシア人が影響を受けるようになれば、変化があるかもしれないと語る。「ウクライナは独立した主権国家で独自の文化を持つ。そのようにロシアが認識を改めれば、40〜50年後には新たな関係が始まるかもしれない」と将来に希望をつないでいる。(この項終わり)