飯島一孝ブログ「ゆうらしあ!」

ロシアを中心に旧ソ連・東欧に関するニュースや時事ネタを分かりやすく解説します。国際ニュースは意外と面白い!

日露首脳が合意した北方領土をめぐる「新アプローチ」を探る!

2016年06月01日 22時21分02秒 | Weblog
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安倍晋三首相がプーチン大統領と5月6日、ロシア南部のソチで会談した際、両首脳が北方領土交渉で合意したという「新アプローチ」を巡って論議を呼んでいる。日露双方の政府が中身を明らかにしていないため、重要な内容を含んでいるのでは、との臆測が広がっている。

 首脳会談以降の日本の新聞の論調を見ると、新アプローチは日本の経済協力と北方領土との取引を提案したものという見方が強い。首脳会談で安倍首相が示したとされる8項目の提案を含んでいて、プーチン大統領もこれを評価していると伝えられている。

その一方、安倍首相がプーチン大統領とサシで話し合った35分間に、領土問題でこれまでと違う提案をしたとの説も出ている(朝日新聞の「記者有論」参照)。日本側はこれまで「北方四島が日本に帰属するものだと認めてくれれば、実際にはすぐ返してくれなくてもいい」と主張してきたが、ここにきて「四島の帰属の確認」にもこだわらない考えをロシア側に伝えたというのである。

いずれにしろ、領土交渉の成否はプーチン大統領の胸三寸にかかっているため、領土問題を解決するには大規模な対露協力を提案するか、日本側の領土要求のハードルを下げるしか手はないだろう。そのうえで相手を交渉のテーブルにつかせ、説得するしか交渉の道はない。

そのためにはまず、安倍首相が国民の信頼を得ていることが最低の条件といえる。昨今の首相の言動を見ると、悲願の憲法改正に前のめりになり、国民をだましてでも改正に突っ走ろうという姿勢が見え隠れする。こういう状態では、安倍首相を信頼しろといわれても、とても信頼できないだろう。安易な妥協も、国益を軽視した作戦も、ともに国家の将来を危くしかねないからである。
(この項終わり)

 



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