飯島一孝ブログ「ゆうらしあ!」

ロシアを中心に旧ソ連・東欧に関するニュースや時事ネタを分かりやすく解説します。国際ニュースは意外と面白い!

ロシアとの北方領土交渉で日本側に名案はあるのか?

2016年02月12日 23時27分13秒 | Weblog
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日露両国政府は15日、東京で外務次官級協議を開き、北方領土交渉の今後の段取りについて協議する。今年は奇しくも2島返還を取り決めた日ソ共同宣言(1956年)から満60年になる。安倍晋三首相は領土返還に力を入れており、成功すれば大きな外交得点になるが、ロシア側の厳しい姿勢を覆す策はあるのだろうか。

日露両国は首脳が相手国を交代で訪問することで合意していて、今年は昨年訪日できなかったプーチン大統領が日本に来る番である。そのためには準備が必要で、ロシアのラブロフ外相が今春にも来日し、岸田外相と会談しなければならない。そこで、今後の日程調整と交渉の段取りを決める必要が出てくる。

このところ、ロシア側の外交攻勢が目立ち、この先鋒を務めているのがラブロフ外相である。1月の年頭記者会見では、「(日本との)平和条約の締結は領土問題の解決と同義語ではない」と述べ、北方領土が第二次世界の結果、旧ソ連領になったと強調した。さらに、日ソ共同宣言で2島返還が明記されたことについて「『返還』ではなく、善意による『引き渡し』だ」と主張した。

これは、ロシアの常套手段で、交渉が本格化する前に、相手のハードルをできるだけ高くしておこうという作戦である。ロシアとすれば、共同宣言からビタ一文負けられないという意思表示なのだろう。

一方、4島返還という日本の元々の主張も国際法上、無理な注文であることを理解しておく必要がある。サンフランシスコ平和条約(1951年)で日本は4島のうち、国後、択捉の2島は領有権を放棄している。ロシアもこの点はしっかり把握しており、歯舞、色丹島以外は頑として返還を認めようとしないのである。

両国政府は今、「現実的な解決策を探る」ことで一致しており、2島プラスアルファーのアルファー部分をどうするかが最大の焦点といっても過言ではない。安倍首相も、2島返還を軸に解決しようとしているとの見方が強い。

だが、自民党は戦後長らく4島一括返還をかかげており、2島返還だけでは世論が納得しないだろう。この点、日本政府はどういう決着を考えているのだろうか。「さすが」と納得できる名案を政府に期待したいところだが。(この項おわり)
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