飯島一孝ブログ「ゆうらしあ!」

ロシアを中心に旧ソ連・東欧に関するニュースや時事ネタを分かりやすく解説します。国際ニュースは意外と面白い!

プーチン政権、反体制派組織への締め付けを強める!

2015年01月08日 00時57分46秒 | Weblog
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プーチン政権はウクライナ紛争で米欧との対立を深める一方、国内では議会に議席を持たない反体制派組織への締め付けを一層強めている。直接行動に走りがちな反プーチン勢力を封じ込め、挙国一致体制で米欧に立ち向かうためとみられる。

プーチン政権が反体制派締め付けの最大のターゲットとしているのは、11年暮れから12年春の大統領選まで続いた反プーチン運動の立役者、アレクセイ・ナバリヌイ弁護士(38)だ。ブログで汚職追放運動を呼びかけ、13年のモスクワ市長選では次点となり、プーチン大統領の側近のソビャーニン市長を脅かした人物である。その後、新党「国民同盟」を立ち上げ、大統領権限の縮小などを盛り込んだ憲法改正を訴えている。

プーチン政権は、反体制運動を扇動したとしてナバリヌイ弁護士を逮捕した。その後、横領罪で逮捕・起訴したが、モスクワ市長選ではいったん釈放して市長選への立候補を認めた。だが、選挙で大方の予想を上回る30%近い得票を獲得したため、プーチン大統領の「政敵」とみなされ、ことあるごとに迫害を受けている。昨年暮れには、取引のあった企業から約840万円を着服したとして有罪判決を受けた。

 さらに、経済紙「ベドモスチ」によると、政権側はナバリヌイ弁護士の実弟や側近を絵画の窃盗や横領容疑で逮捕・起訴するなど、ナバリヌイ氏らの政治活動を封じる動きを強めている。このため支持者約1500人が昨年暮れ、クレムリン近くの広場で抗議集会を開いたのに対し、当局は無許可集会だとして約100人を拘束した。

 また、法務省や検察当局は外国とつながりがあるNGO(非政府組織)に対し、外国から資金援助を受けているかどうかを調査している。これまでに21のNGOが外国から資金を受け取ったとしてリストアップされている。その中には自然環境保護団体、人権保護団体などが含まれているという。

 プーチン政権は上院、下院で議席のない反体制派を徹底的に痛めつけ、市民の間に反体制運動が広がらない方針を取っている。このため、最もリベラル派が多いモスクワ市議会でも、「ヤブロコ」や「市民綱領」などの野党は議席を持てないでいる。また、第2の都市ペテルブルグでも州知事選で野党は有力候補を擁立できない状態が続いている。

 こうした政権側の方針がロシアの民主主義を押さえつけ、市民の声を政治に反映できないようにしていることは明らかだ。この状態が長く続けば、再び11年秋のような反プーチン勢力による大規模な集会・デモが起きないという保証はない。プーチン政権はウクライナ紛争と同様、相手を力でねじ伏せる強引な政策が自分たちにはね返ってくることを肝に銘じるべきだ。(この項おわり)