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ロシア・サンクトペテルブルクでのG20首脳会議を前に、米国の著名なシンクタンク「ピュー・リサーチ・センター」が世界各国でロシアのイメージについて世論調査を行ったところ、「否定的」が39%で、「肯定的」の36%を上回ったことが分かった。
5日のコメルサント紙(電子版)によると、この調査は世界の人々3万8千人を対象に行われた。国ごとの調査で肯定的なイメージが圧倒的多数を占めたのは、ギリシャ(63%)と韓国(53%)の2カ国だけだった。
逆に、否定的なイメージが最も多かったのはイスラエルで77%、次いでヨルダン(70%)、トルコ(66%)、そのあとにフランス、日本、エジプトの64%が続いた。米国は否定的が43%、肯定的が37%だった。
同センターはこの結果から、ここ数年、ロシアのイメージが悪化していると結論づけている。とくに悪化の著しい国はヨルダンで、前回の07年調査に比べ23ポイント増加、次いでエジプトが16ポイント増えている。イメージが良くなっている国はインドネシアとアルゼンチン。年代別では18歳から29歳の若い世代で良くなっている。
ロシア下院外交委員会のカラシニコフ副委員長は「西側でのロシアの否定的イメージは、多くは価値観の違いに由来している。最近ロシアで同性愛者への西側の対応を批判する傾向が強まっていることも一因だろう。一方、中東ではシリアへのロシアの対応に不満を抱いている人が多い」と分析している。
また、コサチョフ・ロシア国際人文協力局長は「西側には、我が国の信用を失墜しようという一貫した流れがある。つまり、何事もロシアが悪いという前提があり、否定的な情報への社会的な要請があるからだ」と悲観的な見方をしている。
プーチン政権は、ロシアのイメージアップのため様々な手段を講じているが、かえってイメージが悪化しているのが実態だ。その背景には「ロシアは何をするかわからない」という固定観念があるからで、この観念を解消するには事あるごとに行動で示していくしかないだろう。(この項終わり)