飯島一孝ブログ「ゆうらしあ!」

ロシアを中心に旧ソ連・東欧に関するニュースや時事ネタを分かりやすく解説します。国際ニュースは意外と面白い!

モスクワ青空市場の暴動で警察の不祥事が明るみに!

2013年08月01日 11時39分54秒 | Weblog

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  モスクワの青空市場で先週末、群衆が警官を襲う事件が起きたが、警官がこの事件を放置したとして31日、警官6人が解雇された。プーチン大統領は事態を重視し、緊急会議を招集して対策に大わらわだ。

  この事件は、7月27日、モスクワ市内のマトベーエフスキー市場で起きた。ルスロフ夫妻が少女のレイプ事件で逮捕されたイトコの拘置に抗議してクドリャショフ警官に襲いかかり、頭を何度も殴りつけた。市場にいた群衆がこれに呼応して建物を壊すなどの乱暴を働き、一時は騒然となった。

  その後の調べで、この暴動を放置したとして警察の責任者が職務怠慢の容疑で逮捕されるなど、計6人が解雇された。プーチン大統領は31日、ソビャーニン・モスクワ市長代行、コロコルツェフ内相らを緊急招集し、対応策を協議した。

  プーチン政権が事態を重視しているのは、解雇された警官が青空市場関係者から賄賂をもらって事件を傍観したとの噂が広まっているからだ。政権側は公務員の汚職撲滅に力を入れているが、今回の事件で綱紀粛正の効果が上がっていないことを裏付ける恐れがある。

  もうひとつの問題は、青空市場で働く労働者にチェチェンなどカフカス地方から不法に入国した移民が多いことだ。治安当局はこうした移民が治安悪化の温床になっているとして警戒を強めている。

  事件が起きた青空市場は市内に51ヶ所ある市場の一つだ。青空市場はカフカスの野菜や果物が安く販売されているとして観光客にも人気のスポット。だが、06年以降、何度も暴動が起きていることから市当局は15年までに閉鎖し、ショッピング・モールなどに改装する計画を進めている。

  マトベーエフスキー市場も15年まで閉鎖され、その間に近代的な建物に改装されるとみられている。だが、モスクワっ子の日々の胃袋を満たしてきた青空市場が閉鎖されて一番困るのは一般市民だ。当局が早く手を打たないと市民の不満が高まり、9月の市長選に思わぬ影響を与えかねない。(この項終わり)