飯島一孝ブログ「ゆうらしあ!」

ロシアを中心に旧ソ連・東欧に関するニュースや時事ネタを分かりやすく解説します。国際ニュースは意外と面白い!

ウィキペディアのロシア語版、ネット規制法案に抗議して24時間閉鎖!

2012年07月11日 11時25分56秒 | Weblog
 オンライン百科事典「ウィキペディア」のロシア語版サイトは10日、ロシア下院で「外国人スパイ法案」が採択されようとしていることに抗議して24時間閉鎖された。この法案は、子供に健康被害をもたらすような情報サイトを排除する目的でブラックリストの作成を認めているが、ウィキペディア側は「規定が拡大されて運用される危険性がある」と警告している。

 この法案は、与党「統一ロシア」のシジャーキン議員ら6人が提案したもので、ポルノ、薬物使用や自損行為を促すようなサイトを禁止するのが狙いとされる。米国で1938年に採択された法律を事実上コピーした内容だという。

 この法案は先週、下院で審議され、賛成多数で基本的に了承された。今後、法案の語句などが吟味され、最終的に採択するかどうかが審議される。ニコフォロフ報道担当大臣は「審議は秋に再開され、法案は最終的に可決されると思う」と語っている。

 ウィキペディア側は10日、自らのサイトに黒い帯びを掛け、「自由な知識のない世界は考えられるだろうか」とのキャッチフレーズを掲げ、「この法案に反対しよう」と利用者に呼びかけている。ウィキペディア側は「この法案は中国で起きたような、インターネットの事実上の検閲につながる」と強調している。


 この法案に対し、各方面から批判の声が上がっていることから、プーチン大統領は10日夜、「法案が不備と分かれば、議会に対し、それ相当な修正を要請する用意がある」と述べた。必要なら法案の修正に応じる意向を示したもの。大統領はこの日、新設されたオンブズマンや大統領付属人権会議の代表らと会談した際に語った。

 議員立法とはいえ、こういう検閲まがいの法案がすんなり通ってしまいがちな議会の雰囲気に不安を感じる。保守的な与党に牛耳られている議会の危うい現状が浮き彫りになったと言えるが、それ以上に、与党をチェックすべき健全な野党が存在しないことが問題だ。新生ロシアが始まってから、まだ20年しかたっていないためだろうか。(この項終わり)