人気ブログランキングへ
タバコ消費量世界3位のロシアで喫煙を規制する動きが強まっているが、首都モスクワではレストランやバーでの喫煙が2年以内に全面禁止になる見通しだという。
筆者がモスクワに駐在していた90年代には、モスクワのどのレストランに入っても、タバコのけむりがもうもうとしていた。その中で人々はニコチンたっぷりのタバコを吸っていて、とても我慢できずに外へ飛び出した記憶がある。
ところが、2000年にタバコを吸わないプーチン大統領が登場してから、タバコ規制が進み、08年には世界保健機関(WHO)のタバコの規制に関する枠組み条約に加盟した。これにより、タバコの広告などが禁止された。さらに政府は禁煙場所を増やすほか、タバコ販売への規制を強め、価格も値上げして喫煙者を大幅に減らす政策を進めている。
モスコー・タイムズ紙の10日電子版によると、モスクワ市では独自のタバコ規制案を作成し、国よりも厳しい規制でタバコ喫煙者を締め出す方針だ。とくにレストラン、バー、仕事場では2年以内に全面禁煙に踏み切る計画だという。
さらに、市の規制案によると、アルコール類の販売箇所を大幅に減らすほか、酒類販売業者の数を制限する計画。これらに違反した業者に対しては、罰金額を増やして対応する方針だ。嗜好品であるタバコとアルコールの消費量を制限して、市民の健康増進を図る考えだという。
ところで、WHOの調査によると、ロシア国民全体では40%が喫煙している。男性の喫煙率は60%、13歳から15歳の少年も4人に1人が吸っているという。
こうした規制の推進論者であるプーチン氏が大統領に返り咲いたことから、さらにタバコや酒類の規制が強まるのではないかとの見方がでている。だが、ゴルバチョフ共産党書記長が始めた禁酒法が悪評を買い、国民の人気が急速に下がった苦い経験もある。それでなくても人気が下がり気味のプーチン大統領だけに、「行政があまり過激にやりすぎないで」と、モスクワ市の動きを心配しているかも。(この項おわり)