飯島一孝ブログ「ゆうらしあ!」

ロシアを中心に旧ソ連・東欧に関するニュースや時事ネタを分かりやすく解説します。国際ニュースは意外と面白い!

メドベージェフ露大統領、プーチン首相と「水面下の戦い」に突入!?

2011年05月14日 13時58分39秒 | Weblog
 プーチン首相が年末の下院選を目指して幅広く国民を結集する「全露国民戦線」を設立したのに対し、メドベージェフ大統領は13日、反対はしなかったものの、その組織とは距離を置く考えを示した。これにより大統領は来春の大統領選を巡り、プーチン首相と「水面下の戦い」に突入したとの見方が強まっている。

 首相が設立した「国民戦線」は、首相が党首を務める与党「統一ロシア」の周辺に労組、ビジネスマンの団体、青年組織を結集し、与党の支持率を上げようというものだ。下院選では与党の候補者名簿のうち25%を非党員グループに振り分ける方針だ。首相はすでに非党員グループの代表を集めて調整会議を開き、組織拡大に動き出した。

 これに対し、メドベージェフ大統領がどういう態度をとるかが注目されていたが、13日の国営メディア職員との会合で「この組織(国民戦線)は選挙に関する法律に適合しており、正常な選挙の手法として納得がいく」と容認した。その一方で「他の政党も選挙運動への参加を目指して努力していて、今のところどの政党が有利かはいえない状況だ」と述べ、いかなる政党にも所属していないことを示唆した。

 有力紙コメルサントによると、政治評論家のマカレンコ氏は大統領の発言について「メドベージェフ大統領は次期大統領選への立候補を巡る水面下の戦いに事実上参戦した。今後2人の競争が激しくなるだろうが、たとえプーチンが立候補しなくても誰が出馬するかを決めるのはプーチンだ」と述べ、大統領候補の決定権はあくまでプーチン首相が握っていることを強調した。

 また、グドゥコフ世論調査機関レバダ・センター代表はモスコー・タイムズ紙とのインタビューで「国民戦線」が国家の垂直型権力機構を強化することにつながるとの見方を示し、「プーチン大統領(当時)による00年のテレビの統制強化、04年の州知事選廃止に続く第3段階にあたり、ソ連時代に実行された非政府組織を中央の統制下に組み込むやり方だ」と語っている。

 「国民戦線」を巡る2人の応酬は、下院選を直接のターゲットにしながら実際は大統領選に向けてどちらの陣営が主導権を握るかの争いである。大統領はいち早く大統領選に出馬する意向を打ち出したが、首相は「(候補者を決めるのは)時期尚早」といいながら、下院選対策で一歩リードした形。大統領はこれからどういう対抗策に出るのか。次の一手に注目したいが、絶対多数の与党を抑えている首相に本当に対抗できるのだろうか。
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