日本は東日本大震災からようやく復興に向けて動き出したが、ロシアでは来年春の大統領選を1年後に控え、政界が事実上動き出した。その先陣を切ったのは、メドベージェフ大統領自身で、それに対し、プーチン首相は「まだ早すぎる」と抑えにかかっている。
メドベージェフ大統領は昨年秋ごろから大統領選を意識した言動を続けてきた。それは最大のライバルであり、庇護者つまりパトロンでもあるプーチン首相に向けて自分の存在感を示すことだった。具体的には、首相から大統領再選への「お墨付き」をもらうことである。
ところが、首相は「大統領選が近づいたら話し合って決める」といい続け、はっきりした態度を示していない。次期大統領選は来年3月に予定されており、すでに1年を切ったのに未だに首相の態度は煮え切らない。そこでBRICS首脳会議出席のため訪中するのを機に中国マスコミのインタビューに応じて、改めて再選への意思を示して首相の決断を促したという構図だろう。
これに対し、プーチン首相は自分も大統領選に立候補することを排除しないとしつつ、「まだ選挙まで1年ある。もし我々が変なシグナルを出せば、行政機構の半分が変化を期待して止まってしまう」と時期尚早だと答えたのだ。裏を返すと、大統領選を巡って政界はメドベージェフ派とプーチン派に二分されている状態にあるということになる。
メドベージェフ大統領は、あと1年弱しか残っていないとあせっている感じがするが、プーチン首相はまだ1年あると余裕しゃくしゃくの状態といえる。つまり、首相は結論を先送りにすれするほど、自分にとって有利だと踏んでいるからだ。それだけ国民の支持率が高いし、3分の2の議席を占める最大与党を握っているという自信もあるからだ。
ところが、大統領は早く立候補を宣言して選挙運動を進めなければプーチン首相に勝てないという状況にある。最新の世論調査でも首相が27%の支持を得ているのに対し、大統領は18%と9%の開きがある。ただ、最近首相の支持率が下がり気味なのに対し、大統領の支持率が上昇傾向にあるのが救いである。
では、大統領は首相の意思表示に関係なく、立候補を打ち出せばいいではないかという意見もあるが、首相の支持なくそうすれば潰されるのは目に見えている。軍や情報機関を握っているプーチン首相の恐ろしさは、身近でいやというほど目にしている。とてもそんなことは出来ない、というジレンマ状態にある。
ロシアの新聞を見ても、識者の意見は様々だが、メドベージェフ大統領がプーチン首相と話し合って決めざるを得ないという点では一致している。憲法上の権限では大統領の方が圧倒的に優位なのに、実際は首相が実権を握っていて、この件でも決定権を持っているからだ。
さて、これから二人はどうするのか。順当に行けばプーチン首相が影響力を行使しつつ、今年秋くらいまで結論を引き延ばして、メドベージェフ大統領に立候補を認めることになると思うが、ぎりぎりの段階で首相がメドベージェフ大統領に引導を渡し、自分自身が立候補するか、あるいは第三者を候補者に選ぶかも知れない。結局、民主主義とは言うものの、実際には双頭体制の二人に決定権が委ねられているのが、ロシア国民の最大の不幸といえないだろうか。
メドベージェフ大統領は昨年秋ごろから大統領選を意識した言動を続けてきた。それは最大のライバルであり、庇護者つまりパトロンでもあるプーチン首相に向けて自分の存在感を示すことだった。具体的には、首相から大統領再選への「お墨付き」をもらうことである。
ところが、首相は「大統領選が近づいたら話し合って決める」といい続け、はっきりした態度を示していない。次期大統領選は来年3月に予定されており、すでに1年を切ったのに未だに首相の態度は煮え切らない。そこでBRICS首脳会議出席のため訪中するのを機に中国マスコミのインタビューに応じて、改めて再選への意思を示して首相の決断を促したという構図だろう。
これに対し、プーチン首相は自分も大統領選に立候補することを排除しないとしつつ、「まだ選挙まで1年ある。もし我々が変なシグナルを出せば、行政機構の半分が変化を期待して止まってしまう」と時期尚早だと答えたのだ。裏を返すと、大統領選を巡って政界はメドベージェフ派とプーチン派に二分されている状態にあるということになる。
メドベージェフ大統領は、あと1年弱しか残っていないとあせっている感じがするが、プーチン首相はまだ1年あると余裕しゃくしゃくの状態といえる。つまり、首相は結論を先送りにすれするほど、自分にとって有利だと踏んでいるからだ。それだけ国民の支持率が高いし、3分の2の議席を占める最大与党を握っているという自信もあるからだ。
ところが、大統領は早く立候補を宣言して選挙運動を進めなければプーチン首相に勝てないという状況にある。最新の世論調査でも首相が27%の支持を得ているのに対し、大統領は18%と9%の開きがある。ただ、最近首相の支持率が下がり気味なのに対し、大統領の支持率が上昇傾向にあるのが救いである。
では、大統領は首相の意思表示に関係なく、立候補を打ち出せばいいではないかという意見もあるが、首相の支持なくそうすれば潰されるのは目に見えている。軍や情報機関を握っているプーチン首相の恐ろしさは、身近でいやというほど目にしている。とてもそんなことは出来ない、というジレンマ状態にある。
ロシアの新聞を見ても、識者の意見は様々だが、メドベージェフ大統領がプーチン首相と話し合って決めざるを得ないという点では一致している。憲法上の権限では大統領の方が圧倒的に優位なのに、実際は首相が実権を握っていて、この件でも決定権を持っているからだ。
さて、これから二人はどうするのか。順当に行けばプーチン首相が影響力を行使しつつ、今年秋くらいまで結論を引き延ばして、メドベージェフ大統領に立候補を認めることになると思うが、ぎりぎりの段階で首相がメドベージェフ大統領に引導を渡し、自分自身が立候補するか、あるいは第三者を候補者に選ぶかも知れない。結局、民主主義とは言うものの、実際には双頭体制の二人に決定権が委ねられているのが、ロシア国民の最大の不幸といえないだろうか。