飯島一孝ブログ「ゆうらしあ!」

ロシアを中心に旧ソ連・東欧に関するニュースや時事ネタを分かりやすく解説します。国際ニュースは意外と面白い!

ロシア専門家「福島原発事故の規模はチェルノブイリと同じレベル」!!

2011年04月06日 11時20分02秒 | Weblog
 福島第一原発の事故処理は事故から3週間たっても難航しているが、ロシアの原子力専門家は「福島原発の事故の規模は原子力施設事故の国際評価尺度でチェルノブイリ事故と同じレベル7に達した」と語った。インタファクス通信が6日、伝えた。

 日本の経産省原子力安全・保安院は3月18日、福島原発事故を米スリーマイル島原発事故と同じレベル5とする暫定結果を発表した。これに対し、国内でも状況はさらに悪化して、チェルノブイリ事故より一つ下のレベル6に達したとの見方が出ている。今回のロシア専門家の意見はさらに一つ上の史上最悪のチェルノブイリ事故と同じレベルと明言している。 

 同通信のインタビューに答えたのは、元ソ連(現ウクライナ)チェルノブイリ原発副所長で同事故処理政府委員会情報国際関係局長のアレクサンドル・コワレンコ氏。チェルノブイリ事故の処理に当たったほか、1988年にアルメニアで起きた大規模地震で被害を受けた原発の事故処理にも関与している。

 インタビューに答えてコワレンコ氏は、福島原発事故で日本政府も東京電力も情報開示を軽視しただけでなく、組織的な面でもチェルノブイリ事故の教訓を軽視していると述べた。とくに事故直後に従業員らを大量動員して原子炉の冷却作業に当たるべきだったと指摘し、初動の遅れを手厳しく批判した。さらに、事故後、原発から少なくとも半径30キロ以内の地域は長期間立ち入り禁止にすべきだったと述べ、日本政府の対応の甘さを強調した。

 また、国際原子力機関(IAEA)が福島原発から40キロ離れた地域で高濃度の放射線が検出されたことを憂慮していると述べたうえ、「福島原発事故の規模はすでにチェルノブイリ事故と同じレベル7に達している。この点で私は多くの専門家の意見と同意見だ」と語った。

コワレンコ氏は結論として今回の事故を「チェルノブイリ事故と同様、人災だ」と決め付け、「東電指導部が茫然自失状態になり、きちんと行動しなかったことが、中規模の事故を現状のようなカタストロフィー(悲惨な結末)にした」と言い切った。

 一連の事故処理に当たって日本政府と東京電力の対応の遅れと、それ以上に事故の深刻さについての認識の甘さが気になっていた。このインタビューで疑問が解けた感じだ。この溝を埋めるには、チェルノブイリ事故を経験したロシアの原発専門家を招いて率直な意見を聞き、今後の事故処理に生かすしかない。我々には余り時間は残されていない。菅政権はいまこそ過去の行きがかりを捨て、ロシアの支援を受けるべきだ。
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