飯島一孝ブログ「ゆうらしあ!」

ロシアを中心に旧ソ連・東欧に関するニュースや時事ネタを分かりやすく解説します。国際ニュースは意外と面白い!

プーチン首相は経済危機を乗り切れるか!

2009年03月01日 16時01分50秒 | Weblog
 ロシアの経済危機はますます深刻化しているが、プーチン首相は懸命に鎮静化を図っている。企業家らに対しては「カタストロフィーは起きない」と説得する一方、野党勢力に対しては「違法な行動とは断固戦う」と脅しつつ。この硬軟両様の対応でロシアの難局を乗り切れるかどうか。

 プーチン首相は2月27日、モスクワ郊外の公邸に与党「統一ロシア」の幹部を招いて演説した。すでにクドリン財務相が、ロシアの歳入は1年間で3割減ること、基軸通貨ルーブルの価値が昨年秋以来、3分の1下がったことなどを明らかにしていて、国民の間に危機感が広がっている。

 プーチン首相は演説で経済状況が悪化していることを認めつつも、政府は今年の予算総額は減らさないこと、国防産業や医療・教育などの国家プロジェクトは優先して実施することなどを約束した。

 その半面、「政府への批判は許すが、法律の範囲内で行うべきだ」と述べ、バルト三国などで起きたような暴動を断固取り締まる姿勢を示した。野党は政府に対する批判キャンペーンを開始しており、これをけん制する狙いもある。

 プーチン首相がこうした発言をしたのは、経済危機が表面化した昨年秋以降、首相の支持率が低下している上、メドベージェフ大統領から再三政府批判がなされているからだ。2月の世論調査では首相の支持率は昨年8月の62%から48%に落ちている。こうした状況が続けば首相の責任問題に発展する可能性が強い。そうなった場合、首相が辞めるのか、それとも大統領が辞任するのか。政権内で権力闘争が起きるのは必至で、ロシア政治が不安定化するのは避けられない。